ブログでの音楽のレビューをしばらく諦めることにしたのは、この本に浸ることもひとつの目的でした。

これだけはケジメを付けておきたい。


ジェイムズ・エルロイ、アンダーワールドUSA三部作の最終話、「アンダーワールドUSA」。


8月にブログで、「足取りの重い本」として取り上げたもの。

三部作とも上下巻、それぞれの一冊が分厚い。

そしてJFK暗殺から、ニクソンのウォーターゲート事件近くまでの時代をベースにした物語で、登場人物に連続性があります。

そして三部作の出版にトータル15年くらいかかってる。

前作からは優に10年の月日が。。


なので、楽しみにしていた最終話をしっかりと読むためには、最低でも前作である「アメリカン・デス・トリップ」を再読してからでなければならないと、決心したのでした。

合計、分厚い本4冊です。

それから2ヶ月半が経ちました。


本日、ようやく読了。


これだけの読後感を与えてくれる本は、そうそうありません。

まあ、苦労した分、成功した時の感激は大きい、というところも若干ありますが^ ^


なにしろ本一冊が重いので、通勤で持ち運ぶのにも二の足状態。

ひたすら平日の夜と土日に読み進んだわけです。


とにかく、登場人物の多さと、錯綜する物語の重さに圧倒されます。

JFK暗殺からキング牧師暗殺、ロバートケネディ暗殺、FBI長官フーバーの恐怖政治などが、史実とフィクションが混然一体となりながら描きこまれて行きますが、そこに編み込まれるプロットの複雑さと、それが終盤へ向けて収斂していく、エルロイ節。


そして、何よりも、登場人物ひとりひとりが持つ、過大なる情念。

ほとんどが悪人なんだけど、強烈に心を揺さぶられる出来事や人物との出会いで、その信じるところが変わり、その情念に身も心も焼きつくされていく。


このあたりはエルロイが描きだす物語が常に強烈に持つところであり、この世界にハマりたくて読んでいるに等しいわけで。


もちろん読み進むにつれて、彼ら彼女らには思いっきり感情移入してるんですが、それが突如の破滅を迎えるのもまた、エルロイ節。


わかっちゃいるんだけどねー、常にそこでショックを受けて茫然とする、僕ら読者。

今回も、コイツには生き延びてほしいというヤツらが、大勢破滅しました。


読み終わった自分も、現在茫然としています。

ついに読み切ったという満足感と、これでもう読めないという喪失感と。


いまだに上巻の最初のあたりを読み返したり、プロットの綾を探りなおしたりして、余韻に浸ってます。


素晴らしい本であり、すごい作家ですな。


でも、一応念のため、エルロイの本は読者を選びます。


読みやすさ、軽さ、面白さ、エンタテイメント性、などは求めてはいけません。

残酷なシーンが苦手な人は止めた方がいいです。

我慢強さも必要かも。

シリーズものは、一作目から読むこと。

ながら読みもできません。


ドストエフスキーなどを苦にしない人なら楽しめるかもしれませんね。


さて。


読むのを抑えてた本を買って読むことにするかな。

読み返したい本もたくさんあるし。


ごぶさたしております。


いろいろと思うところあり、ブログの更新をしないでいました。


一番の理由は、ブログをやっていると音楽の聴き方が変わるためです。


音楽を楽しむためだけに、音楽に浸るためだけに聴くのではなく、レビューするために、感想をひねり出すために聴くことが増えてくる。


自分の趣味として、自分の嗜好に合わせて、自分のために音楽を聴いているわけだけれど、ブログのために、週数度のアップのために聴いている気がする瞬間が出てきた。


音楽を聴く時間軸が自分のペースからずれます。

じっくり熟成するべき音楽に対して、短時間で評価をくだしてしまう。

気に入らなかったわけじゃないのに、ひととおり聴いたらその後1年以上聴かないアルバムが出てくる。


すると、音楽がよそよそしくなってきました。

以前のように、聴く音楽それぞれと親密な関係を築けない。

もちろん自分の感情や記憶にしっかりと寄り添ってくれる音楽もたくさんあるけれど、自分との距離が縮まらない音楽がたくさん残るようになった。


自分は、誰のために、何のために、音楽を聴いてブログを書いてるんだろう。

これじゃ、自分がもっとも嫌っている音楽の消費をしてるだけなんじゃないのか。


その答えが出ないままブログを続けていたのですが。


Girlsのレビューがきっかけでした。


世の中は絶賛モードなのに、何度聴いてもそれほど良いと思えない。

自分は、気に行ったアルバムも気に入らないアルバムも、そのままストレートにレビューすることにしているので、これもちゃんと書かなきゃということになります。


「No 」は、「Yes」 よりも慎重に言わなければならないと思っています。

何かを否定するのは、肯定するよりも一層の誠実さが必要になるはずです。


だから「No」のレビューを書くために、何度も聴きました。

本当に「No」でいいのか。この意見をGirlsが好きな人に読ませていいのか。


すると、気に入ったアルバムを聴く時間が減るだけじゃなく、それらよりも遥かに多くの時間を「No」を言うために割くことになります。

ただでさえ、音楽聴く時間が少ないのに。

本も読む時間がないのに。


明らかに本末転倒です。


気に入らないアルバムはレビューしなければいいだけですが、世の中で絶賛されてたら反論したくなる天の邪鬼でもあるし、このブログにおいてはダメなものはダメとはっきり言おう、その理由も含めて、と決めていたのでそれも難しい。


なので、ブログを書くことを意識しないでしばらく音楽を聴こう、と決めました。


相当、自由になれましたね。

聴きたい時に聴きたいアルバムを聴きたいだけ聴く。

昔のアルバムにたっぷり時間をかけて聴ける。

音楽に浸ることだけに、専念できる。


もうひとつの理由は、そのことも原因だろうと思いますが、最近の記事の質が低いなあ、と思ったこと。

ふとしたことで、昔の記事を読みなおすことがあって、思い入れたっぷりに書いてる記事が多いと感じました。


もともと文書力もないのが、少しでも読むに値する記事にするには、やはり内容です。

昔の記事が内容に優れていたとは言いませんが、年月かけて思い入れを仕込んだアルバムのレビューは、やはり自分でも気付きがあります。


短期間で数回聴いただけのアルバムに、そこまでの思い入れが出てくるのは稀ですね。

年間ベスト5級のアルバムでないと、そこまでのインパクトはないから。


決して、水増し記事を書いていたつもりはないけれど、
やはりポジでもネガでも、本当に書きたい気持ちが出てこないと、書くべきではないのかもしれない。


YouTubeたくさん貼り付けてミュージシャンの成り立ちやエピソードをくっつけただけで、文章量は多いけれどアルバムをどう聴いたのかには触れず、カッコいいとか、このミュージシャン好きだーとしか言ってないようなブログがあるけれど、そうなってしまうのはいやだし。


本当はこのまま何も書かず、時間が解決してくれるのを待つつもりでしたが、ブログのアクセスを見てみるとアメーバ外から自分の記事を読みに来てくれる人がたくさんいます。

アメーバメンバーだったらわかる記事の更新が、その人たちにはわかりませんからね。


記事を書いてもいないのに、更新を確認しにきてくれる皆さんに申し訳ない。

そのため、この記事を書くことにしました。


そんなわけで、当分は自分のペースで音楽を聴いて行こうと思います。


音楽レビューを再開できる日を楽しみに。


St.Vincent "Strange Mercy"
Strange Mercy/St. Vincent

¥1,221
Amazon.co.jp

アニー・クラークのソロプロジェクト、St.Vincent (たぶん、サンヴァンサン)。

まるで、ポップで端正な芸術作品を聴いているような気分になる音楽。
白紙のキャンバスに、自分の感性で色とタッチを変えながら絵を描いていき、それが音楽として実る。

決して単純ではないけど、難解ではなく、そこからはミュージシャンの個性が溢れんばかりに香って来ます。

音楽性はまったく違うけど、Dirty Projector を聴くときにも同じ感覚を受けますね。

既存の枠やパターンに捉われない。

受け入れるのに、聴き手の感性の柔軟度がある程度必要な音楽。

ノイジーだけどキレがいいギターの音の質感と、割とノーマルなボーカルの声のミスマッチなバランス。
静と動の織りなす、絶妙のアグレッシブなバランス。

全体で俯瞰すると、不思議とニュートラル。

そう、このアルバムが持つ独特のバランス感覚がとても好きです。
まさにクリエイティブ。

アルバム最初の収録曲。彼女の世界観がバランスよく出た曲。




柔らかなる静。


ギターのキレ味がたまりません。


一音一音まで気を配って創られたサウンドスケープ。
どの曲の完成度高く、全部を貼りたいくらいです。

聴いても聴いても、飽きない。

でも、こういう音楽ほど、言葉で語ることのむなしさを感じますね。
とにかく聴いて、感じてほしい。

やっぱり、音楽は自分の耳で聴くものだから。
言葉は時に障害となるし、人の意見も同じこと。


この前の記事でひとことだけつぶやきましたが、今、 Grouplove ってグループが素晴らしいです。
新人でいきなりこれだけのアルバムを創ってしまった。
自分のGirlsショックを埋めてくれてます。
そして、St.Vincent 。

今はひたすらこの2枚を中心に、Clap Your Hands Say Yeah が加わるベビロテ軍団ですね。

この2枚が突き抜けてるのはなぜだろう、と思いながら聴いてます。
レビューは改めて。

ところで、気温がずいぶん下がってきました。
部屋の中も暖かな空気が欲しくなってきます。

そんな時期に、寝る前の静かなひとときを楽しむ音楽は、この人。

Joanna Newsom

すでにレビューは既出ではありますが、去年 "Have One On Me" が出て3枚組だったので、「1年に1枚ずつゆっくり楽しみます」と書きました。
まさにその通りにやっていて、今は2枚目を楽しみ中。



不思議な暖かさを持った音楽。

声とメロディーと極限まで絞ったシンプルなバッキングで、ここまでの世界観を創れてしまう稀有な才能。
う~ん、やはり素晴らしい。

なんだか楽しそうな気分になる、このグループ名。

Clap Your Hands Say Yeah

彼らのセカンドアルバム "Hysterical"

Hysterical/Clap Your Hands Say Yeah

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ちょっとダレ気味だけど何か味のあるボーカルといい、ちゃんと創られたメロディといい、たっぷりノイジーなギターといい、あんまりひねったり捩じれたりしない、いい意味で安心して聴ける正統派のUSインディなのではないでしょうか。

よく聴いてみると、思ったよりもキーボードが効いていて彼らのサウンドのカラフル感はキーボードによるところ大だと納得。

YouTube への監視を強めてるのか、ちゃんと聴ける音楽ファイルがなく、Teaser しか貼れません。。
でも、彼らの音楽の感触はつかんでいただけるものかと。

特にこのTeaserの2曲目にある、タイトルチューン Hysterical がいい。
メロディもいいし、脇でグジュグジュいってるギターがなんともいい味出してます。



強烈な個性があったり、サウンドスケープに優れていたりというグループではないし、どことなく垢抜けないところもあったりして。

でも、何か聴きたい時に、とりあえずCYHSYでも聞いてみよっか~、と気軽に思えますね。
あれこれ考えずにガンガン鳴らせるロックってのは、実はあまり聴いていなかったです、最近。

そういうことで、わりとヘビロテな今日この頃。