これも昨年のリリース組。
例によって、積ん読ならぬ、積ん聴モードで今年になってようやく聴き始めた、好盤。

なにか捉えどころがないけれど、良いロックであるのは確実だよね。
そんな思いで聴いてきたけれど、捉えどころのなさというのは相変わらず残ってます。

リズムもメロディも曲のカタチも、次々に在りようが変わっていくような、変幻自在のロック。

ニューヨークのUSインディ、 Cymbals Eat Guitars
彼らのセカンドアルバム、 "Lenses Alien"
Lenses Alien/Cymbals Eat Guitars

¥1,887
Amazon.co.jp

グループ名もアルバムタイトルも、実に捉えどころがないですね笑

Kate Bush のレビューで、新作は彼女の思うままの時間軸で曲を創っていると書きましたが、彼らにも同じことを感じました。
しかし違うのは、Kate は自分の時間軸で創った結果、現在という時代性から取り残されることになったけれど、彼らの音楽は現在そのものとして鳴り響いているということ。

このサウンドを斬新と呼べるのかどうかはわからないけれど、今の時代の彼ら独自の音として鳴っているのはたしか。

緩急と強弱のコントラストがはっきりついて、突き抜けた鳴り方をするロック。
バンドの構成としてはとてもオーソドックスなのに、不思議と強く感じる個性は、このコントラストの自由さがもたらすものでしょう。

そしてグループ名は、ギターを食ったシンバルですが、圧倒的に目立ってるのはギターのような気がしますけどね。シンバルは鳴ってるかどうかわからんくらい、抑え目。







余談ですが、このアルバムにはジャケットが2種類あります。
ひとつがさきほどのもの、もうひとつはデザインとしてスッキリとしたもの。

どうやら前者がオリジナルで、彼らが大好きな作家へのオマージュとしてのコラージュだったそうですが、このコラージュを気に行ってもらえるかどうかが不安になったようで。

まあ、個人的にはコラージュはガチャガチャし過ぎで、創り直しのデザインの方が好みだけど、止めたはずのデザインも含めて2種類出回っていていいんでしょうかね。

この捉えどころのなさは、自分が捉えきれない大きな魅力を持っているためなのか、焦点の合わない散漫さゆえなのか。

自分の中で音楽が像を結んだ時、とっても魅力的なロックとして鳴っているのか、個性的だけど散漫なイメージだけが残るのか。

飛び道具なのか、スタンダードなのか。

USインディのミュージシャンに共通するハードルのような気がします。



NMEが企画した、最も偉大なギターソロ50、というのがありました。
その中から、自分としてこれはいい、というのをいくつかピックアップ。

White Stripes 。これ見て、彼らを見直しました。


Dinosaur Jr 。名曲+とっても気持ちいいギター


サンタナ in Woodstock 。グルーブ!


これこそ、Radiohead !


やっぱり Jimi Hendrix はすごい。1分20秒あたりから


そして、、Jimmy Page! 6分10秒過ぎ。
絶句。最高だ。。
ここまでいいなーと思って聴いていた他のが、全部すっ飛んだ。


うーん、やっぱり楽器の王様はエレキギターだ。

これも2011年にリリースされた素晴らしいアルバム。

Tim Hecker "Ravedeath 1972"
Ravedeath 1972/Tim Hecker

¥1,475
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Pitchfork で紹介されてて、ジャケットと音の世界観に一目ぼれして、即購入。
でもなかなか聴き始められず、やっと聴けたのが11月。
それ以降、何かと言えばこれ聴いてますね。
すぐに眠りたい時もね。

自分の中では、Autechre などと並び評価されるべき「音」がすごい音楽だと思ってます。
ベストテンを選べば、、入ってたんじゃないかな。

一般性は低いでしょう。
この音楽を好む人がたくさんいるとは思えません。

ここには聴きやすいメロディはおろか、はっきりとしたリズムも、魅力的な歌もない。
聴きようによっては、不快な、不安をあおられるようなノイズが流れているだけ。

このノイズ。
まるで不定形の生き物のようなノイズ。

このノイズの蠢きに耳を澄ましていると、意識が浮遊します。
時間間隔を忘れ、その中を漂うだけ。

強い催眠作用。
いつのまにか現実世界から引き離されている。

Tim Hecker はカナダに在住のミュージシャンでこのアルバムが6作目となります。
アイスランドのレイキャビックにある教会で収録したのだそう。
パイプオルガンをメインの音源に使用してるらしいです。
なかなかそうとは聴こえない曲が多いけど。

基本無機的な音にも関わらず有機的なうねりが感じられるのは、教会という空間のライブ感とパイプオルガンという物理的な音がもたらすものなのかもしれませんね。

ノイズがノスタルジーと美しさを身にまとっています。







Autechre のようだと言ったのは、1音へのこだわり方、特に音を微粒子まで分解して組み立てたかのような粒子感がハンパじゃないからです。

音の細部へのこだわり。
自分が好きな、評価するミュージシャンはそれを持つ人が多いですね。

もちろんこの人の音楽もそうであり、その音楽たちを聴くときはそれなりの態度がリスナーにも求められます。
特にこの音楽は、わかりやすいメロディやリズムがないので、聴き流すとただの雑音です。

細部の音が埋もれるようなウルサイところでは聴かないこと。
できれば分解能の高いシステムで、ある程度のボリュームで聴くこと。
そして、ちゃんと聴くこと。

どの音楽にも言えることですけどね。


好きなミュージシャンほど、期待に背かないデキだったアルバムの次のリリースほど、過剰なまでに期待が膨らんでしまうもの。

その期待は裏切られるのか、想像を超えて歓喜するほどよいものか。
最初にCD聴く時にはドキドキものです。

自分にとっては、最重要ミュージシャンの Kate Bush 。
キャリアのピークは The Dreaming にあったにせよ、その後の若干のスランプを見事乗り越え、妖艶なボーカリストとして復活した Aerial をリリースした Kate Bush 。

ひさびさのオリジナルアルバムのリリースとくれば、期待するなっていうのが無理です。

ただ、昨年早々にリリースされていた過去のアルバムからのリメイク盤が、疑問符ふたつくらいつくデキだったのが、かすかな不安といえば不安でしたけどね。

そうしてリリースされたアルバム。

Kate Bush
"50 Words For Snow"

雪のための50の言葉/ケイト・ブッシュ

¥2,500
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もっとも短い曲でも6分48秒、長いのだと13分32秒という雪をテーマにした長めの曲たちが、全部で7曲収録されてます。

彼女の声の変化は、前作のリメイク盤で確認できていたので、特に驚きはありません。
やや艶やかさが後退したけど、声が持つ深みはむしろ深化したかも。

すでに俗世間からは解脱したのでしょうか。
もともと現実味の薄いミュージシャンでしたが、いっそう隔世された感があります。

彼女はデジタルの音質が嫌いらしい。
前作のリメイク盤が登場したのも、過去のアルバムが制作された過程でのデジタル感に違和感を感じ続けてため、ということでの編曲しなおし、録りなおしによるもの。
今作もすべてアナログ録音から仕上げまでアナログで通しているそうで。

それが影響しているのか、音圧が低めです。
静かな曲が多いし、他のCDを聴くのに比べて2ノッチくらい、高めのボリュームが必要。

そしてこの長い尺の曲たちを完全に自分の好む時間感覚で創ってる。
ある種、間延びしたといえるその時間感覚。
これがしんどい。

だから極論すると、全体的に地味で単調な音楽が、ダラダラ続いてるように聴こえます。
音楽に向かって聴いていると絶対に寝てしまうので、最後まで聴き切ることができません。

要するに薄味なんですね。
枯れてきたと言えるかもしれません。

雪というテーマがそうさせるのか。
彼女の音楽が変わってきたのか。



エルトン・ジョンとのデュエット


PVを見ていて気が付きました。
音楽を単独で聴くよりも、映像付きで見た方が音楽もはるかに魅力的になります。

映像があって成立する、音楽単独ではエネルギー不足の音楽。
淡々と続き、核のないサウンドトラックのような音楽。
冗長な時間感覚もこれゆえか。

年齢とともに訪れる、声の変化に合わせて変わったものではないということ。

自分のレーベルを作ったこともあり、これが彼女が今やりたい音楽であり、創りたい音楽のかたちであり、それを思う存分に実現できたのだということでしょう。

Kate Bush という個性が形になった音楽であることは確かです。
彼女の声は魅力的だし、彼女が弾くピアノは音の響きも美しく、フレーズも素晴らしい。
ここで描かれている静謐で美しい世界は、他の人に創れといっても難しい音楽で、十分なクオリティは持っている。

ロッキングオンやPitchfork など、年間ベストアルバムのリストに載せたり、いきなりの高い評価で、今までのアルバムへのスルーはいったい何だったのかというくらい。

しかし自分にとっては少なくとも、Aerial で神々しいまでに放たれていた輝きがかなり失われた、失望のアルバム。
それ単独で輝きを放つ音楽を志向しなくなったのか、制作できなくなったのか。

納得するのは難しい。



毎年のことだけど、年明けてベストテン発表して一息ついたら、ああこのアルバム素晴らしいじゃないの、確実に候補だったな、というのが何枚か出てきます。

今年も例に漏れず、ぞろぞろと出てきました。
買っておいたまま、ブログスランプの時期に新譜にこだわらずに聴きたいのだけ聴こうと、後回しになって年を越しちゃいました。

だからベストテン選びは無理だと思ったんですよね~
そういうアルバムがけっこうあって。

とりあえず、まずはこれです。

Skeletons "People"

People/Skeletons

¥1,065
Amazon.co.jp


こういう一筋縄ではいかない、捻じれたロックは大好きです。
創ったヤツの頭の構造を見てみたくなるような。

USインディ。
2011年は不作と思っていたけれど、自分がちゃんと聴いてなかっただけ。
知りませんでしたが、けっこう活動歴の長いベテランなんですね。
彼らの6作目。

リーダーは映像作家だそうです。
だからこのロックには、どことなく映像的な感覚が感じられるのでしょうか。

そして、70年代ブリティッシュのカンタベリー系のにおいを感じ取ってしまうのは、僕だけでしょうか。YouTubeにはなかったんですけど、Grandma という曲とかね。

それだけ自由に創られたアルバムということかも。
その上、実にポップ。



だんだん曲の表情が変わっていくところが最高。


アルバムタイトル曲のライブ。


こういう捩じれたポップさは、Dirty Projectors や Grizzly Bear の系譜で語られやすいのかもしれませんね。
もちろん、モロ好み。

ただ要注意なのは、こういった個性的で新しさを感じるような音楽は、その芯の部分が実は大切で、音楽として体幹や魅力がしっかりしていないと、何度か聴いて飽きちゃうことがあるんですよね。

人目を惹きやすいだけの美人か、人としても魅力的な美人か。

しっかりと、見極めなきゃね。