久々の聴き比べシリーズです。

今回は、King Crimson 40周年記念リマスターシリーズ最終盤である、"Lark's Tougues In Aspic" (太陽と戦慄)のリマスター。
というか、例によって、ロバート・フリップとスティーブ・ウイルソンによる、原盤からのリミックスシリーズ。

Lark’s Tongues in Aspic(2CD)/Discipline Us

¥1,702
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最終のマスターテープをいじるだけじゃなく、個々のダウントラックのリマスターからリミックスまでも手掛けるため、音質的な改善度が非常に高いもの。

ついにこのシリーズも事実上最後のアルバムで、真打登場とでもいう感じですね。

さて、今回の聴き比べは、全部CDです。
オリジナルLPも入れようと思ったけど、アナログシステムが不調でね。
LPの再生ができず今回は断念しました。

①1989リマスターのDifinitive Remastar
②40周年2CDバージョンに付属の、30th Anniversery Remaster
③    同          40th Anniversary Remaster(最新リマスター)

となります。

しかし失敗したなあ。
ボックスセットは高いしヘビオタ用なので買いませんが、輸入盤のDVD付き盤がPAL方式のみの恐れがあったので、2CDバージョンにしたけれど、2枚目が30th Anniversary Remaster だとはね。
自分は買わなかったからいいけど、リマスターを逐一買う人にとっては詐欺も同然。
買わなかった自分も、一昔前のリマスターをオマケに付けられたみたいで釈然としません。

せっかくだから聴き比べの対象にでも入れようかと。

さて、肝心の聴き比べ。
こういうのは音の悪そうな方から聴き始めるのが、基本です。
そして対象とする曲は、"Easy Money"と"Larks Tougues Part2"の、ともに導入部分。
パーカッシブで重層的で、フリップのギターもギンギン鳴ってます。

まずは、①1989リマスター。
今まで聴いてきた、あの音です。
これだけ聴けば特に不満はありません。この時代だものなあ。
おそらくLPに比べてもあまり差はないのではないかと。

①を聴いた後で、②30周年リマスターを聴くと、かなり違いがわかりますね、やっぱり。
一番違うのは、フリップのギターの音にエッジが立ち、くっきりとしていること。
そして、全般的に音の分離が全然違う。
特にEasy Money で強く感じますね。
おそらくジェイミー・ミューアが叩いているであろう、各種パーカッションの分離がよくなってます。
デジタル機器と技術レベルの進化でしょうか。

そして③今回の40thリマスター。
②を聴いて③を聴いてすぐわかるのが、更なるヌケの良さ。①→②→③と、音楽全体にかかっているモヤがだんだんと晴れていくイメージ。
いわゆるS/Nの高さが増してます。
フリップのギターのエッジは立っているけれど、①→②で感じた変化ほどは感じません。
むしろ全体に、分離もヌケも、お行儀よくクッキリハッキリと整理され、高音質になりましたという感じですかね。
低音部分に改善傾向が著しいし、音像的には奥行き感が出ました。

もちろん、スティーブ・ウイルソンの仕事ですから、リマスターになって高品質になったけどなんだか痩せて迫力不足になってしまったということはありません。
しっかりとエネルギー感を保持しているのはさすが。

でも、それなりに古いリマスターである①などは、分離面でははっきりと劣るにせよ、アナログ的なカオス感がかもしだす70年代エネルギーを再生するのに秀でている気がします。
以前の聴き比べで書いた、弱点が長所に変わるアナログマジックによるエネルギー感ですね。

話は逸れますが、このアナログマジックの存在は、やはりLPには勝てません。
ベースにあるスクラッチノイズなども味方にした、混然一体の骨太なサウンドはすごい迫力。

どちらに魅力を感じるかはその人次第と思いますが、両方ともにそれぞれ良さがあるからなあ。

自分でも何をどのくらい書いたのかわからなくなってしまったので、記事をテーマ分けしてみました。


最初は、ミュージシャン名で完ぺきにリスト化しようと始めたところ、ある程度進んだところで、「テーマは100個までしか設定できません」と無情のメッセージが。。


仕方なく、かなりのテーマ名を削除して、やり直し。

ある程度はカテゴリーで括ることにしました。


思い入れのあるミュージシャンでも、記事は1回に留まっている人については、カテゴリーの中のひとりになってしまったのが心残り。


思いがけなく、あのアルバムの紹介をしてなかったな、とかこのアルバムだぶってるじゃん、うわ、この記事今では書けんな、などというのもありましたが、記事の内容には一切修正を入れませんでした。


けっこう大変な作業でしたが、なんとか終了。

こうしてみると、やっぱり長く聴いている思い入れのあるミュージシャンの記事数が多いねえ。


前作"Infinte Arms"で初めて彼らの音楽に触れ、USインディにカテゴライズされながらも、カントリーをルーツにしたしなやかでハートフルで独特の湿度感を持つ音楽に魅かれて、ずいぶん聴き込んだものです。

自然にあふれるアウトドアで聴くのが似合うロック。

そして新作がリリースされました。

Band Of Horses の最新作、 "Mirage Rock"

Mirage Rock/Sony

¥1,075
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前作があまり売れなかったのか、今回は日本盤のリリースはないようですね。

また、あの世界に浸って深まりつつ秋の空気感を感じよう、などと思いながらCDの封を切って聴いてみると。

違う。

同じグループだよな。

あのアルバムを2年前にリリースした、あいつらの新作だよね。

時々、おお、らしい曲があるじゃないのと思っても、6~7割はメンバーがかなり入れ替わった?と思うような変わりよう。

自分にとって彼らの奏でるロックといえば、優れたメロディラインと、しっとりとしながらも爽やかなボーカル、バッキングもメリハリが効いている。
全体としてしなやかで、昔ながらのアメリカンなカントリーロックとは、一味もふた味も違ってる。

ところが、今回のアルバムからは前作で感じられた彼らの良さをあまり感じ取ることができません。
琴線に触れてくるものが少ない。

どことなく粗く、彼らの特徴であるしなやかさが欠落してる気がします。
ストレートで粗雑なカントリーロックにしか聴こえない曲もあります。

メロディラインの美しさはかなりの部分残っているのに。
それを支えるサウンドスケープが変わってしまった。

どうやら前作では何人かいたプロデューサーを今作では一人に絞り、その人の方針によりオーバーダブや編集作業は極力少なくし、バンドの音をそのまま出すのだ、となったらしいです。

その手法は、シンプルでダイレクトに良さが出てくる場合もあるけれど、彼らの音楽はある程度のトリートメントがプロダクションにおいて必要だろうと思います。
その独特のしなやかさや湿度感を醸し出すために。

それがなくなって、彼ららしさがかなり後退してしまった。
他のミュージシャンでも簡単に奏でられる、ストレートで粗雑なカントリーロックのようなアルバムになってしまったのだろうと、想像します。

それとも、前作が突然変異で、その前まではこの路線だったのでしょうか。

いいほうの、らしさ。


あいかわらずの美メロ。


うーん、、


これもね・・


最初聴いた時は、これは酷評すべきかというくらいに印象が違っていたけれど、そりゃあ、何度も聴けば天性のメロディメーカーとしてのセンスや、ボーカルの魅力的な声によって、だんだん馴染んできてまあいいんじゃないの、レベルにはなるんですけどね。

リスナーがイメージするそのミュージシャンらしさと、ミュージシャンの目指すところ、プロデューサーが目指すところのかい離。

進歩なのか、後退なのか、シンプルになったのか、粗くなったのか。
たぶん、決めるのはリスナーだと思うので、決めてしまいます。

こりゃ、違うだろ、と。

Led Zeppelin 復活コンサート実録盤、"Celebration Day"
ついに発売になりました。

ジミーペイジのフレーズがもたつき気味でもいいじゃないか。
ロバートプラントのボーカルで高音が出なくてもいいじゃないか。
ジェイソンボーナムのドラムはやっぱりジョンとは違うけどいいじゃないか。

ここには Led Zeppelin しか出せない音が鳴っている。
彼らが彼らであることを証明する音が鳴っている。
音がそこに揺るぎなく存在している。

やっぱり、すごい。
これだけのソリッドな音を出せるバンドは彼らだけだ。



昨日の会社のそばのタワレコ、すごかったなあ。
いつもと明らかに年齢層が違うおっさん達が、特設コーナーに群がってる。
発売日前日入荷の法則を知っていて、久しぶりにそれを生かそうと買いに来た往年のロックファン。
おそらくタワレコに来るのは、年に数回あるかなしかだろうに。

彼らのロック好きに、再び火が点きますように。
Ambient Music は環境音楽だけど、人によってイメージはけっこうバラつきがあるんじゃないだろうか。

環境の一部としての音楽。

もともと Brian Eno が Ambient Music を創り始めた時の考え方はそんなことだった気がする。
その環境に同化する音楽。
例えば空港という空間に置かれて、本来そこが持っていた音環境の一部として溶け込む音楽。
だからその音楽は音量レベルを抑えて、本来の音環境と同化するような流し方をする。

遠くで聴こえる人の話し声や、雑音などと同じく存在する。
能動的に聴くのではなく、受動的に聴こえてくる、音のような音楽のような存在。

しかし Eno の "Music For Airport" は、そこから一歩進んだ音楽なんじゃないかと。
特に、無音に近い状態で聴く時。

このアルバムは、その場の空気感や空間感を創り出し、一変させてくれます。
時間の流れまでが音楽に影響を受けて、とてもゆっくりとしたものになる。

自己の内面に入りこんで行くかのような、空間に自分が溶け出していくかのような、不思議な感覚。
受動的に聴くのではなく、これを聴くことに集中し、むしろ能動的に感じたい。

Music For Airport は、空気感を創り出し、リスナーをそこに浮遊させることができる音楽。
静かに移ろいゆく時間に浸り、そこで浮遊することのできる音楽。

残念ながら、Music For Airport 以降の Ambient 系アルバムには、そこまでの快感は感じられなかった。

そして Eno は彼の Ambient シリーズに、Music For Thinking というコンセプトもくっつけてますね。
思考のための音楽。

自分にとっては、余計なことを思考しないで、頭を空っぽにして空間に浮遊するための音楽だから、このコンセプトにもやや違和感を感じていました。

そして Ambient 系アルバムの新作、 "Lux"

LUX [解説付 / アマゾン限定特典ポストカード付 / 国内盤] (BRC356)/WARP RECORDS / BEAT RECORDS

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移ろいゆく時を感じながら浮遊する、その快感を久々に感じることができました。
何年感かの充電期間が良かったのか。
うれしいなあ。

むしろ重要なのは、聴く環境でしょう。
静かな場所。
そこそこの広さがあるところ。
できれば距離を離したスピーカーで。

そこで空間に浮遊してみてください。





しかし、できるだけ質の高い再生が望まれるのは確かだけど、国内盤のSHM-CD使用盤ってのは明らかにオーバースペックでしょう。
大音量で聴く音楽じゃないし、通常盤CDとそこまで聴き分ける必要はないです。
500円安い通常盤CDも同時に発売してくれたから良かったけど。