かわいい北大路欣也!映画でも現実でも「父子鷹」 | 独立映画隊

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邦画の感想 ネタバレあります

志村喬、月形龍之介、市川右太衛門、山形勲、原健策、薄田研二、長谷川裕見子、

そして北大路欣也(13歳)・・・。

好きな俳優勢揃いの東映作品である。

「黒頭巾シリーズ」でははすっぱな、なんとなく意地悪い役の多い長谷川裕見子だが、

ここでは夫をひたすら陰で支える女性を演じている。

原健策、薄田研二が善人で、それだけでも途方もなく安心感が広がって泣けてくる。

志村喬の息子が月形龍之介(年上)、市川右太衛門(2つ違い)とはこれいかに。

しかしこの3人がほのぼのと、生まれたばかりの北大路欣也を囲んで笑っている場面など、とんでもない幸福感が漲っていて「これが見られただけでもよし」と思わせてくれる。

右太衛門は融通が利かず、下手に正義感がありながら思慮が浅いため事件を起こして出世の道を断たれた主人公。

長谷川裕見子は内職、薄田研二は老体に鞭打って夜鳴き蕎麦で小銭を稼ぎ、一家の生活費を捻り出し、ちょっとアホな面がある市川右太衛門を、自分たちはそばがきで腹を満たして

二人で支えていく。右太衛門はそんなことは知らないから、外で息子の北大路欣也と大福なんぞを食べている。

二人がそんなに苦労していると知った時、「俺も夜鳴き蕎麦をやる」と右太衛門が言う。

その時に「僕も働きます!」と寝ていたはずの北大路欣也が寝床から飛び出してくる。

この北大路欣也がとてつもなく可愛いのである。

そしてその後、家族の(一族の有力者と長谷川裕見子と薄田研二の)努力の甲斐あって北大路欣也がお城に上がることになる。

そのことを告げに来た月形龍之介の演技に、嗚咽を漏らして泣いてしまった。

月形龍之介にこんな顔されたら、誰でも泣くわな。

かわいい。