ずっと気になっていた「昭和元禄落語心中」
元々子供の頃から落語好きのわたくし、原作を本屋さんで見た時気にはなっていたんですが、もう何巻か出てしまっていたので、終わってから大人買いって思ってました
そしたらアニメ化されて、メチャ面白かった
毎回やる落語が面白くって、「芝浜」なんか立川談志が気が向いた時にしかやらなかったお話で大好き
落語家でない声優さんの落語が素晴らしい!!!
第二期が来年1月に決定してますが、こうなると原作を読みたくなってくる。
用事で以前の職場に行ったら途中までのセットがあったので、かなりおまけしてもらって買っちゃって、
さっさと記事を書けばよかったのに気づけば最終巻が出てしまった
小冊子には小夏が不良学生時代の時、八雲とのお話が書いてあります。
ネタバレしてるんでお気をつけなさいまし
『与太郎放浪篇』
元チンピラの強次はムショで聞いた有楽亭八雲の落語「死神」が忘れられず、出所したその日に八雲の元に押しかけ、本来弟子を取らない八雲の気まぐれで入門を許され、与太郎の名をもらう。
前座に上がり、ふとした事で知った二代目助六の落語に取りつかれた与太郎は夜な夜な彼のレコードを聞き、師匠の八雲の高座でヘマをして破門を言い渡される。
ここを出されると行くところが無くなると、師匠にしつこく食い下がる与太郎に八雲は3つの約束を持ちかけ、先に逝ってしまった親友助六との話をする。
『八雲と助六篇』
先代七代目有楽亭八雲に同日入門となった菊比古(後の八代目八雲)と初太郎(後の二代目助六)は、性格も出来る噺も正反対だったが、気が合っていた。
足を悪くして追われるように噺家の道を歩くこととなった菊比古は、初太郎改め二代目助六の人の心を掴む楽しい噺に、嫉妬や焦りを感じつつ自分の落語を見つけていく。
同日真打ちになった二人は、お互いを認め合いある時は反発しながらも、未来の落語に夢をはせる。
素行の良くない助六は、ある日師匠と口論となり破門され、菊比古の元カノみよ吉と共に姿を消す。
一人残された菊比古は、八雲の跡を継ぐ申し出をはぐらかし、いなくなった助六に八雲を継いでもらうべく彼の住む田舎町を訪ねる。
助六は娘の小夏二人で暮らしていて、菊比古の東京に帰る申し出を断るも、しばし何者にもとらわれることなく楽しく落語をするうち、落語をする為に東京に帰る事を決める。
東京に帰る直前に菊比古を忘れられないみよ吉が現れ、ある出来事から助六とみよ吉は小夏を残して逝ってしまう。
また独りになってしまった菊比古は、助六の忘れ形見の小夏を引き取り、すべてを終わらせる為に八代目八雲を継ぐ。
『助六再び篇』
都内の寄席がたった一軒になり、落語を楽しむ人達が減っていく頃に、真打ちに昇進した与太郎は、三代目助六の名を継ぐことになる。
そんな時小夏が妊娠したことを知り、助六は父親を誰か決して言わない小夏の子供の父親になりたいと言い出す。
父親になった助六は日々精進して、念願が叶い師匠八雲との親子会の日を迎える。
高座で倒れた八雲は運ばれた病院で引退を口にする。
誰よりも師匠の落語が好きな助六は、なんとか八雲をご贔屓筋だけを集めた高座に引っ張り出すが、噺の途中で八雲の昔馴染みの組の親分が逮捕されてしまう。
声が出ず体力もないと、なおも引退を望む八雲に、今度は刑務所への慰問に連れ出す助六だが、演目「たちぎれ線香」の途中、みよ吉が現れ八雲を抱きしめ、小夏の唄がみよ吉の声と重なる。
ある日寄席に出向いた八雲は終演後に独り「死神」を演じ、そこに親友助六が現れ初めて喋り、火の付いたろうそくを投げさせる。
助六がいつの間にか死神になり、火の回った寄席の中独り佇む八雲を弟子の助六が助け出す。
その後めっきり気が弱くなった八雲は、みよ吉と助六が死んだ責任を、小夏を守るために全部背負ったまま夢か現に入っていく。。。
三途の川の渡し船に乗る前に助六にあった八雲は、今までの孤独を取り戻すように若者の姿になって、二人で語り合いみよ吉にも想いを話し、昔のように助六の噺の後に高座に上がる。
大名人と言われた姿に戻った八雲は、最後の最後に子供達への気持ちを込めて、楽しそうに「寿限無」を演じ、助六にはまた会う事を約束して渡し船に乗る。
八雲が亡くなり15年経ち、小夏の子供信之助は有楽亭菊比古を継ぎ「初天神」を、三代目助六は九代目八雲を継ぎ「死神」を演じるのでした。
初代助六の扇を二代目助六、八代目八雲、三代目助六改め九代目八雲、そして菊比古に引き継いで、まるで落語が代々受け継がれる様に、二代目助六と八代目八雲の想いも引き継がれていくような気がします。
両親であるみよ吉と助六の刃傷を見た小夏はその場に倒れ、八雲は小夏の記憶がなくなったのを幸いに、両親が亡くなった原因が自分にあるかのような話に変えて小夏に話し、真実を語ることなくあちらまで持って行こうとする。
そんな八雲の覚悟と苦悩は読んでいて本当に辛いです。
二代目助六(初太郎)の親代わりだった初代助六が、七代目八雲が生涯後悔してもし切れない因縁の相手だったとは、きっと初代助六が二人を引き合わせたのでしょう。
伝統芸能は決まり事がきっちりあって、それを知るだけでも勉強になります。
私は新作落語も好きですが、なんたって古典落語が大好きです
寄席に行く際の初心者心得も書いてあって、思ったより寄席は敷居が低いのがわかります。
若い頃に行ったきりなので、また行きたくなりました