本日開催された衆議院農林水産委員会で質問に立ちました。戸別所得補償制度のモデル事業の評価、および、TPPに関して、米の関税がゼロになった場合の影響などについて、質問させていただきました。質疑の概要は以下のとおりです。
(玉木)戸別所得補償制度は政策効果の検証が重要だ。まず、農家の4分の3が評価しているとのアンケート結果がある。さらに、戸別所得補償制度は、小規模農家にばらまかれているとのイメージがあるが、検証結果を見ると異なる実態が見える。むしろ、3000億円の予算の約6割は、全体の1割に満たない2ha以上の大規模農家に集中的に配分されている。さらに、集落営農の新設数も23年度は大幅に増加している(+1459、22年度は439)。これらの結果を踏まえ、戸別所得補償制度の22年度モデル事業に対する大臣の評価を伺いたい。
(筒井副大臣)ご指摘のような政策効果が発揮されたと考えている。また、全国一律15,000円の単価設定が、農地の集約化・効率化を促進している面があり、いわゆる「バラマキ」政策ではない。
(玉木)一方で、改善すべき点もあると思う。戸別所得補償制度については、「多面的機能の発揮」と「自給率向上」が政策目的だったはずだか、まず、小規模農家については再生産可能な所得が十分に補償されていない。生産コストは地域毎に異なるので、せめて農政局単位で、生産コストの違いを反映した単価設定ができるようにすべきだ。農地集積は進めるべきだと考えるが、香川県のような地域では限界がある。また、先般発表された農業再生実現本部における「基本方針・行動計画」では、20ha~30haの農地集積を目指すとされているが、小規模農家は切り捨てとの印象が広がっている。民主党農政が掲げた多様な担い手を認めるという方針を、政策的にも明確に示すべき。(要望のみ。)
(玉木)さらに、自給率向上という政策目的については、残念ながら、十分に達成されていない。特に、麦、大豆の自給率は向上していない。今後、自給率の向上が求められる、いわゆる戦略作物に対する一層の支援強化が必要だと考える。例えば、裏作で麦を作る場合には、二毛作助成が10aあたり15,000円しか交付されないが、これを表作で作る場合と同様、35,000円とすべきではないか。香川県は県の名前を「うどん県」に改名するキャンペーンを行っている。県産の麦の生産を増やし、地域に根ざした作物を推進する意味でも、麦の二毛作助成を35,000円に引き上げるべきと考えるが農林水産省の見解如何。
(筒井副大臣)水田利活用事業における麦への交付金は、主食用米並みの所得を補償できる単価として設定してある。二毛作助成の拡充については、今後、検討したい。
(玉木)戸別所得補償制度は価格下落を誘発したとの指摘もあるが、一方で、22年のモデル事業では、下落を十分にカバーできる交付金が支払われた。結果として、米価が下落しても農家の所得は減らなかった。つまり、戸別所得補償制度は、「所得政策」として、価格の下落に強い制度だということが証明されたとも言える。しかし問題は財源。現在、TPPの議論が行われているが、仮に、コメの関税がゼロになった場合、農水省の資料を基に計算すると、通常のコメの価格は3420円にまで1万円以上低下する。その場合、現在のレベルの農家の所得水準を維持するためには、計算上1兆9700億円が必要になる。今後、東日本大震災の復興費用の確保や、社会保障と税の一体改革もあり、新規の財源調達は、事実上困難ではないか。十分な国内対策なくTPPに参加すべきではないと考える。もし、財源の目途が立たないのなら、コメを除外することも一案だと考えるが、大臣の考え如何。
(鹿野大臣)TPPについては、ご指摘の点も踏まえて、総合的に判断していきたい。
(以上)