憲法改正の投票用紙はどうなる? | たまき雄一郎ブログ

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先週は国民民主党特別党員の方に憲法審査会を傍聴していただきました。これからも開かれた憲法の議論をしていきたいと思います。

 

今国会の会期は6月23日までです。今日を除くと憲法審査会は残り3回しか開けません。先週も述べた通り「緊急事態における国会機能維持を可能とする憲法改正」の論点は出尽くしています。早く憲法改正の要綱案を示して具体的な議論すべきです。

 

国民投票法56条3項で定める投票用紙の「別記様式」

 

今週は国会による憲法改正が発議された後、実際に国民投票で使用される投票用紙について詰めの議論をしました。橘法制局長の答弁で、衆参の国会議員20人から構成される国民投票広報協議会の役割が大きいことが示されました。

 

衆議院インターネット審議中継より

 

憲法審査会発言要旨(2024年5月30日)

 

 憲法審査会も今国会、残り3回となった。何度も言うが、「起草委員会」を速やかに設置し条文案づくりに着手しよう。このままだと、もう間に合わない。せめて「要綱形式」で議論することを始めよう。また、今日も議論となった国民投票法のネット規制についても何度も申し上げてきた。ケンブリッジ・アナリティカ事件の当事者であるブリタニー・カイザーを呼ぶべきと10回以上提唱してきた。しかし進んでいない。全てが遅い。中谷与党筆頭幹事には、改めて改憲に至るスケジュールと戦略を明示していただきたい。


 以上を申し上げた上で、橘局長に国民投票法の「投票用紙」について質問したい。国民投票法56条第3項には「投票用紙は、別記様式に準じて調整しなければならない。」と定められているが、もし複数の憲法改正案がある場合は、それぞれの項目ごとに賛成または反対を示す複数の投票用紙を用意するのか。また、条文ごとの賛否を問うのか、事項ごとに賛否を問うのか答えてほしい。

橘法制局長答弁:複数の改正項目があれば、それぞれに賛否を問う複数の投票用紙を作る。また、条文ごとではなく、項目・テーマごとに投票用紙を作ることになる。

憲法審査会事務局配付資料(抜粋)

 

 そして、本日配布された「資料2」には、「複数案が発議された場合の区別のための投票用紙等の文言を含む」とされているが、例えば、賛否を問う改正項目を「緊急事態条項」という文言で投票用紙に記すのか、「投票困難時における国会機能の維持条項」という文言で記すのかで、賛否に大きな影響を与えると思う。こうした区別のための文言も広報協議会が決めるのか。あわせてお答えいただきたい。

橘法制局長答弁:広報協議会で決めることになる。

 次に、「緊急事態における国会機能維持を可能とする憲法改正」について申し上げる。もはや論点は出尽くしており、これ以上発言するすることはないが、先週、立憲民主党の本庄幹事が欠席していたので同じ質問をする。答えていただきたい。


①まず、選挙困難事態には繰延投票で対応できる言ったが、そもそも、繰延投票で何日間までなら延期できると考えるのか。70日以上を超えてもいつまでも繰延可能なのか。


②次に、2011年に野田内閣で閣議決定されているとおり、仮に法律で選挙期日を延期できたとしても、その間の議員任期を延期することはできない。仮に、繰延投票で70日を超える長期にわたって選挙期日を延期する場合には、その間、国会議員が不在になる。私たちは、70日を超える長期にわたって参議院の緊急集会で対応するには憲法上限界があると考える。いわゆる「スーパー緊急集会」を認めるなら憲法改正が必要ではないか。そして、こうした長期にわたる議員不在の状況を生み出す判断を、選挙管理委員会に委ねて良いと考えているのか。あわせて答えていただきたい。


③最後に、政府見解では、最初の選挙期日さえ解散から40日以内に設定されていれば、繰延べられた投票期日は40日を過ぎても問題ないとしているが、逆に言えば、形式上でも選挙はスタートさせておく必要がある。そうなると「期日前投票」で大きな問題を生じる。投票が困難だから選挙期日を延期したのに期日前投票ができるのはおかしいし、選挙困難事態に選挙活動ができるのもおかしい。また、仮に違反行為があっても、災害で職員も被災していれば警告もできない。それでも繰延投票で対応できると考えるのか。


 やはり「長期にわたって」「選挙の一体性が害されるほど広範に」選挙が困難な事態、すなわち、選挙困難事態に備えて、選挙期日の延期とその間の議員任期の延長ができる規定を憲法に設ける必要があると考える。