日本銀行総裁人事について | たまき雄一郎ブログ

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日本銀行総裁の任期が19日に切れるが、財務省出身の武藤副総裁の総裁への昇格について、民主党をはじめとした野党が反対している。


今日、財務官経験者など武藤氏以外の新しい提案が行われる予定だが、先行きは不透明だ。


私は、今回の民主党の反対は、党利党略という一言に尽きると思っている。


当初、執行部も必ずしも反対の意向ではなかったし、正直、財金分離を理由にしていることも説得力が弱いと思う。伊藤副総裁への反対意見はもっとよく分からない。


確かに、財金分離は大切だ。


かつて、財政支出を抑えたいがために、財政当局が金融当局に無理を言う(低金利を強要する)ことがなかったわけではない。昔は、公定歩合も、事実上大蔵省が決定していた。


しかし、日銀法が改正され、制度上、財金の分離は確保されているはずだ。財金分離を言うなら、日銀法の再改正を具体的に提案すべきではないのか。


武藤氏が副総裁になってからも、財務省は同氏を通じて様々な働きかけをしたと思うが、たぶん、意図したどおりの成果はあげていないと思われる。


また、財務省の主計畑の人が就任することが財金分離に反するという理由も、反対の根拠としては弱いと思う。


国際金融畑の財務官経験者ならいいと言うが、そもそも最終ポストが財務官であっても、それまでに主計局や主税局も経験されていることはよくある話である。


逆に、最終ポストが主計局長や次官であっても、それまでに国際金融畑や海外勤務を経験することも珍しいことではない。


ときに無理なことを言うのが政治だとは思うが、無理にもそれなりの理由は必要だと思っている。参議院の重要性を示すにしても、経済を混乱させるようなことがあってはならないと思う。



福田内閣への支持率が低下しているが、民主党の支持も低下している。私は、今回の反対が、その一因になっているのではないかと思っている。



ただ、財務省の人事管理の一環として、次官経験者が総裁に「天下り」する慣行について、反発があるのも確かである。いつまでも「たすきがけ」人事がまかり通る時代でもないだろう。


民主党としては、武藤氏を昇格させる代わりに、天下りの徹底的な見直しを政府に約束させるなど、建設的な政治的解決が欲しかったと思っている。


そして、実は、今回の件に関して、私が一番心配しているのは、仮に、日本銀行総裁ポストが空白になっても、世界経済に全く影響を与えないことだ。


つまり、日銀総裁のポストが誰であろうが、仮に、空白であっても、世界経済には影響がないほど、日本の経済当局の地位が低下していることが、最大の問題なのだ。


安倍元総理が辞意を表明したときにも、マーケットは殆ど反応しなかった。


せめて、日銀ポストの空白が世界経済に悪影響を与えるくらい、日本経済や日本の金融当局が立派なものであって欲しいと思う。


生意気なことをあえて申し上げるが、日本政治はもっと進歩する必要があると思うし、本質的な問題に早急に手立てを講じるべきだと思う。


与党政治家にしろ、野党政治家にしろ、できないのなら、できる人に変わっていくべきだと思う。


そのためにも、早期に解散・総選挙をして議員の総入れ替えが必要ではないかと思っている。



政治主導の経済混乱をこれ以上長引かせてはダメだと思っている。

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