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マネーボイス:これで良いのか日本の医療体制。診療報酬・薬価の改定が招く薬不足と医療崩壊=斎藤満氏2024年6月26日より転載します。
 
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6月から診療報酬が引き上げられました。初診料は30円上がって2,910円に、再診料は20円上がって750円に、そして入院基本料は1日につき50円から1,040円引き上げられました。4月からは多くの薬価も引き上げられ、知らないうちに国民の医療負担が増えています。価格が上がっただけでなく、必要な薬が手に入らない…という事態まで起こっています。(『 マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

【関連】30年ぶり賃上げがもたらす最悪の格差社会。恩恵のない弱者と年金生活者は物価上昇で火の車=斎藤満

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2024年6月21日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

また値上がりした医療費

6月から診療報酬が引き上げられました。初診料は30円上がって2,910円に、再診料は20円上がって750円に、そして入院基本料は1日につき50円から1,040円引き上げられました。

4月からは多くの薬価も引き上げられ、知らないうちに国民の医療負担が増えています。

価格が上がっただけでなく、必要な薬が手に入らなくなり、処方薬を求めて患者が病身の中、4か所も5か所も薬を探して歩けば、病気も悪くなります。なんでも過去に薬価が下げられてメーカーは薬を作っても採算が合わなくなり、さらに円安で原薬の仕入れコストが上がり、採算が取れなくなって薬を作らなくなるケースが多いといいます。ここでも円安か、の思いです。

コロナのウイルス増殖を抑えるラゲブリオカプセルは5日分で9万円もするため、町の医療機関では扱いにくく、処方箋をもらって買いに行くのですが、強い倦怠感と体中が痛い中で、何か所も扱っている薬局を探さねばなりません。途中で座り込みながらもやっと見つけたところが初めての薬局ですと、いろいろ個人情報を記入させられ、長く待たされ、病気が悪化しかねません。

高齢者の医療費負担が増え、高齢者の不安は募るばかりです。高齢化で国の医療負担が増えるのはわかりますが、とることばかりに熱心で、医療体制を守れるのでしょうか。

必要な薬が手に入らない事態も…

このところ日本では抗菌剤や痰をとる去痰薬の不足が深刻です。これら以外にも必要な薬が手に入らないケースが増えています。

一部のメーカーが不正発覚で供給が止まると、その代替薬が不足します。また、政府が過去に薬価を引き下げてきたために、メーカーは採算が悪化し、作っても利益が上がらない薬が増えたといいます。去痰薬はその1つといいます。

生産ラインに限りがある中小薬剤メーカーは、採算の合わない薬より、利益の出る薬に傾斜しがちです。薬局が増産を依頼しても、採算の合わない薬の増産は困難なようです。政府はこのところ薬価を引き上げていますが、メーカーの増産にはなかなかつながらないようです。

また原薬の多くを中国やインドから輸入し、国内で薬品を生産するケースが多いのですが、このところの大幅円安で輸入コストが高まり、薬価が決まっているところへ生産コストが上がり、採算が取れなくなるケースもあります。

また中国の場合は、経済的な採算とは別に、政治的な環境変化で輸入ができなくなるリスクもあり、突然、原薬が手に入らなくなる事態も発生します。

Next: これも国の政策ミス?医療体制が崩壊する危険性

まずは必要な薬の確保

こうしたリスクに対応するため、原薬も国産化が進められていますが、なんといっても国内で作るとコストが何倍にもなります。合理化を進めてコストダウンを図るにも時間がかかります。

その間、国民が必要な薬を手に入れられないとなれば、医療体制が崩壊します。

ここにも国の政策が大きく関与しています。国の医療費を抑えるために薬価を低く抑えすぎて、メーカーが生産できなくなり、しかも円安を放置したために輸入原薬コストも上がり、これも採算悪化で薬の生産を困難にしています。

抑えすぎた薬価の見直しと、円安是正、原薬の安定供給を図る必要があります。当面はメーカーが増産できる適切な価格でいったん政府が買い取ることも検討すべきです。

有効な新薬の未承認対策

これとは別に、ガンやコロナなどの感染症に有効とされる薬が海外では承認され、利用されているのに、日本では承認されないために使えないケースが少なくありません。

海外の薬品が保険適用されなかったり、国内で開発した薬がなかなか承認されなかったりという事案がコロナ禍でも見せつけられました。海外の有力医薬品メーカーの圧力かもしれませんが、国民の命が優先されてしかるべきです。

セルフメディケーション推進と税の矛盾

国の医療費負担を抑えるのに、予防医学の重要性が指摘され、セルフメディケーションの推奨もなされています。

コロナ禍を経験したこともありますが、国民もサプリメントの活用など、健康管理にお金をかけるようになっています。国民が自らの努力で健康を維持し、病気の予防ができれば、国の医療費も軽減され、医療機関も楽になります。

ところが、その一方で政府は口で言うことと裏腹に、税制面ではこれに逆行する動きをしています。

例えば、医療費控除です。少し前から医療費控除は医療機関利用分と、セルフメディケーションを分けるようになりました。つまり、医療機関利用の医療費を医療控除で申告する場合は、セルフメディケーションでかかった費用は控除してもらえません。

逆にセルフメディケーションの費用を医療費控除に使うと、医療機関で使った医療費は控除されなくなります。医療費は諸控除前の所得金額の5%と10万円の少ない方を差し引いた分が医療費控除となります。

医療機関利用分とセルフメディケーションとを分けたことにより、結果として医療費控除が小さくなり、国は税収の減少を抑制できます。

Next: 助かる命が助からない状況も…。国ができることはまたある

予防医学の重要性を説きながら、税制面では自助努力に金をかけた人の医療費控除を制限する姑息なやり方は、増税を避けるために安易な社会保険料負担増に走る姿勢と共通します。

コロナ禍では病院のたらいまわしで助かる命も助けられない事態を経験しました。今、コロナは一服しても、通常医療で必要な薬がなく、助かる命が助からなければ、国の医療体制は破綻しています。

使いきれずに何兆円も余している「予備費」や、いろいろなファンドを作りながら金を積み上げているだけのファンドは、この際まとめて不足薬を発注、買い上げ、薬局に流すようにしてはどうか。

その際、採算の合わない薬は作れない、という事態を解消すべく、採算ラインの価格で買い取る必要があります。薬価の引き上げ手続きを取るより早いのではないかと思います。

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マンさんの経済あらかると 』(2024年6月21日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
 
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