■朝鮮半島への“核”再配備論がアメリカ発で再燃し始めた「真の理由」 | タマちゃんの暇つぶし

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MAG2 NEWS:朝鮮半島への“核”再配備論がアメリカ発で再燃し始めた「真の理由」2024.06.05より転載します。
 
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https://www.mag2.com/p/news/600489
 
Democratic candidate Joe Biden is sharp in the foreground, while Republican candidate Donald Trump is blurred in the background, USA, December 16, 2024
Democratic candidate Joe Biden is sharp in the foreground, while Republican candidate Donald Trump is blurred in the background, USA, December 16, 2024 

5月29日のアメリカの上院軍事委員会で、共和党のウィッカー上院議員が朝鮮半島への「戦術核再配備」について言及。トランプ氏が再び大統領となる「もしトラ」議論の中で無視できない発言として、韓国、北朝鮮が揺れているようです。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂聰教授が、朝鮮半島において戦術核がどう扱われてきたか、1950年代以降の歴史を解説。尹大統領就任後に韓国発で高まった「再配備」論と、アメリカ発の今回では、狙いに違いがあると伝えています。


「もしトラ」で浮上する朝鮮半島への戦術核再配備論に揺れる中朝関係

5月29日、アメリカ議会上院での共和党議員の発言が朝鮮半島をざわつかせた。震源地は、上院軍事委員会。発言の主は同委員会に所属する共和党のロジャー・ウィッカー上院議員だ。

30日の韓国KBSは、午前6時のニュース番組で、「ロシアや中国、イランなどの脅威に対抗するため、2025会計年度の国防予算を550億ドル増額することを求め、(中略)在韓米軍を強化してインド・太平洋での核共有の協定や、アメリカの戦術核の朝鮮半島への再配備など新たな選択肢を模索すべきだ」というウィッカーの発言をトップニュースで伝えた。

ウィッカーは米FOXニュースへの寄稿でも「再配備」に言及していて同調者も少なくない。やはり上院軍事委員会共和党の幹事、ジム・リッシュ上院議員の「核兵器を東アジアに復帰させるオプションを模索することをタブー視してはならない」という発言を『東亜日報』(5月17日)が紹介している。これらは「トランプ大統領の側近らの見解とも通じている」(KBS)というのだ。

トランプ大統領の再登板が現実味を帯びているなか、東アジアで予測される大きな変化の兆しだ。実際、アメリカの政治専門紙『THE HILL』は大統領選挙だけでなく、上下両院でも共和党が選挙に勝つ可能性があると報じたとKBSは伝えた。

朝鮮半島に戦術核を再配備すべきとの考え方は、「もしトラ」の議論の盛り上がりを受けて一つの風潮として今後のワシントンに定着してゆくのだろうか。

朝鮮半島の戦術核兵器は、1950年代から在韓米軍の所属として韓国に配備されてきたが、朝鮮半島の非核化を求める国際社会の流れや周辺国との関係を考慮して1991年に撤去された。再配備は、そうした流れを逆流させる意味を持つことは言うまでもない。実現の可能性については多くの議論が残されるものの、大きな一石が投じられたことは間違いない。

北朝鮮はすでに事実上の核保有国である。核兵器を搭載できるミサイルの種類や精度も日々高めてきている。このことが韓国国民を刺激し続けている。とりわけ文在寅大統領時代の対北朝鮮政策を批判し、強硬姿勢で臨むと公言して誕生した尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権にとっては、優先度の高い課題である。

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尹大統領はアメリカとの核の共有にも積極的だ。象徴的な動きは2023年4月の尹大統領の訪米である。ジョセフ・バイデン大統領との首脳会談後に出された「ワシントン宣言」には、〈拡大抑止に関する協議体「核協議グループ(NCG)」の新設のほか、核兵器を搭載できる戦略原子力潜水艦など米戦略資産の朝鮮半島展開の頻度を増やすといった具体的な拡大抑止の実行策が盛り込まれた〉。韓国『聯合ニュース』は4月27日付で、「拡大抑止に特化した韓米ワシントン宣言 『事実上の核共有』=韓国大統領室」というタイトルで報じている。

もっとも韓国で高まった「核共有」の議論は、最終的には尹政権の前のめり過ぎる反応だったと急速にトーンダウンするのだが、今回はむしろ韓国側ではなく、アメリカサイドから強いラブコールが韓国に向けられた形だ。

ウィッカーが「アメリカの戦術核の朝鮮半島への再配備」を主張する動機は、「北朝鮮に対する核・ミサイル問題で、いますぐ可能な外交的解決策が見当たらない」(KBS)ためだと説明された。しかし、本音はむしろロシアや中国などの脅威に対応するためだと考えられる。ウィッカーは、「NATO(北大西洋条約機構)のような核の責任分担の合意に、韓国や日本、オーストラリアが参加する意思があるかどうか、それを評価する対話を始めるべきだ」とさえ言っているのだ。

アメリカの政界ではいま、中国やロシア、イランが結束してアメリカ中心の国際秩序に挑戦しているとの考え方が定着している。そして、その対抗軸として日本、韓国、オーストラリアを取り込み、アジア版NATOを完成させたいと急いでいるとされる。ウィッカーはそれを「核の共有」まで一気に進めようというのだ──

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年6月2日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。


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