■「不登校」 苦しむわが子を理解し、寄り添うにはどうすべきか? | タマちゃんの暇つぶし

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日刊ゲンダイDIGITAL:「不登校」「ひきこもり」を考える 苦しむわが子を理解し、寄り添うにはどうすべきか?公開日:2024年05月16日より転載します。
 
貼り付け開始、

https://hc.nikkan-gendai.com/articles/280435
 

 これまで不登校やひきこもりに苦しむ子どもたちに共通する背景に、親との関わりにおける「感情不全」が大きいことを解説してきました。

 不登校やひきこもりに至る子どもたちの多くは、その繊細さが故に、何げない親からの一言にも“PTSD級”に打ちひしがれたように感じる心の痛みを生じ、親の期待に応えられぬ自分に絶望的な自己嫌悪を持ち、親から見捨てられるかのような想像を超えた恐怖心に怯え苦しみます。そして、ありのままの自分と同値とも言うべき本能的な一次感情を表現することはおろか、押し殺し続け、自ら感じることさえわからなくなるほどに、苦しんだ挙げ句の感情不全に陥っていくのです。

 そしてその感情不全を抱えたまま、ひきこもってから無為に20年、30年と時を経て中高年を迎え、今やひきこもりの半数以上が中高年という現状を迎えつつあります。そんな苦しみの中にいるわが子を理解し、寄り添うにはどうすれば良いのでしょうか?

 何度も繰り返しているように、私はひきこもりや不登校の原因は、親だけが悪く、親だけの力で立て直せと言うつもりは毛頭ありません。親子で性格の違いが大きく、また繊細な子は隠すことに長けているので、感度で子にはるかに劣る親御さんにはもう察しようがない、というのは決して責められることではないと思うのです。問題は、そこに気づいたところで「これから何ができるか」ということです。


 身内はもちろん、学校や医療福祉関係者、支援事業者の方々、そして社会で出会っていく多くの人との出会いと支えが重要なことは言うまでもありません。しかし、一見、学校でのいじめや社会経験上での挫折などに傷つき、そこを契機として始まった不登校やひきこもりであっても、その挫折から立ち直れないレジリエンス(復元力)の乏しさには、感情不全が大きく、その感情不全を乗り越えることこそが不可欠であり、そこには重要な他者である親の支援は大変有用です。できればここで書かれているような傾聴・共感をお子さんに合う形でなされたならば、これ以上ない大きな力を発揮することを知っていただきたいのです。

■不登校やひきこもりは病院で解決するのか?

 親御さんの中には、不登校やひきこもりはなんらかの精神疾患だから病院で診てもらえばいい、と言い放つ方もおられます。もちろん、不登校やひきこもりの中には精神疾患を患っている場合も少なくありません。しかし、じゃあ通院治療で解決するのでしょうか? 仮に100万人超とも試算されるひきこもりの大多数を精神科で強制的に治療をすれば解決するかと言えば、多分、「否」でしょう。

 たしかに、精神医療につながることで改善するつらい症状も一部はあるでしょう。また、強い希死念慮や自殺企図となれば、緊急での入院という選択肢も検討されなければなりません。でも現実的には、眠れないから睡眠薬だけは処方しにもらいにメンタルクリニックに通ってはいるけれど、あとはひきこもり生活……という方も現実は多々おられます。

 私は、精神疾患だからひきこもっているというよりは、ひきこもるほど困っていたから精神疾患も発症し、さらにその精神疾患によってひきこもり問題が複雑化して、よりこじらせているという理解の方が正確なのではないかと認識しています。

 仮に本人が一念発起して精神医療を受診しても、精神科医でもひきこもりの治療を積極的かつ丁寧に扱ってくれるところは必ずしもそれほどは多いとは言えないため、通っても期待通りにいかず失望される方も多いかもしれません。ちょっと前ならパーソナリティ障害だと診断され、今だと発達障害だからと診断されて、そこから「性格だから治らない」「特性だからしょうがない」などと打つ手なしという対応をされるケースも少なくないのが現状でしょう。

 もちろん、運良く熱心で相性も合う主治医と出会え、また就労支援も含めたデイケアなど社会的治療にもつながることも可能で、本人にそこに通うというモチベーションがあるならば、大いに力強い助けとなることでしょう。一方で、その多くはそもそもそういったモチベーションすら欠けており、本人が足を運ばないからといって家族が医療機関や保健所などの行政機関に相談しても、これまた運良く担当してくれる方が親切ならば親身に対応してもらえることもありますが、「精神疾患じゃない」「本人が来なければ何もできない」などと、事実上の門前払いを受けることも現実には少なくないようです。

 心理カウンセリングは、ひきこもりだけでは自費で健康保険が効かず、またひきこもりに効果のある医科学的に確立した治療などはまだ存在しません。草の根ではそういった問題にも対応できる優れた凄腕のセラピストは存在するとは思うのですが、公的制度としては確立していないため、当たり外れも大きいというのが現実かもしれません。(つづく)

▽最上悠(もがみ・ゆう) 精神科医、医学博士。うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。
 
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