カラパイア:サハラ砂漠は緑豊かな場所だった。4000年前の岩絵に牛の姿 2024年05月12日より転載します。
貼り付け開始、
https://karapaia.com/archives/52331684.html
アフリカ、スーダン北部の町ワディハルファの東、ほとんど雨が降らないサハラ砂漠の最も荒涼とした地域で16の岩絵が見つかった。これら岩絵に共通しているのは、必ず牛の絵が描かれていることだ。
現在の乾燥しきった砂だらけの砂漠の環境を考えると、大量の水や草が必要な生き物である牛の絵が岩に描かれている状況は不可解だ。
つまり、今回見つかった牛の岩絵は、かつてサハラが牧草地が広がる緑に覆われていたという過去を証明するもっとも重要な証拠だと言えるという。
気候科学者、考古学者、地質学者はこの時期を「アフリカの高湿度期」と呼んでいる。これはアフリカ大陸全体で夏のモンスーン降水量が増加した時期で、およそ1万5000年前に始まり、5000年前頃に終わった。
スーダン北東部の乾ききった砂漠 / image credit:Julien Cooper
この「緑のサハラ」は人類史において重要な時期にあたる。
この時期に北アフリカでは農耕が始まり、動物が家畜化されたのだ。およそ8000~7000年前のこの短い「湿潤の狭間」に地元の遊牧民が、隣国であるエジプト北部や中東から牛やヒツジ、ヤギなどの家畜を導入した。
そこには水たまり、川、沼、滝があり、ゾウ、サイ、チーターなどいわゆるアフリカの動物たちがあふれていた。つまり、今日とはまったく異なる光景が広がっていたのだ。
牛は単なる食料やミルクの供給源だけではなかったようだ。岩絵や考古学記録を詳しく調べてみると、牛がかなりデフォルメされて描かれていることがわかる。
角は変形され、皮膚は装飾され、首には人工的なひだ、つまりペンダントのようなものが描かれている。
大きな墓地に人間と共に埋葬された牛の例もあり、人間、動物、集団のアイデンティティの密接な関係を象徴しているといえる。
かつてこの地域では人間と動物の間に強い絆があったことがわかる / image credit:Julien Cooper
サハラに気候変動の危機 およそ紀元前3000年頃に湿潤期が終わり、すべては急速に悪化し始めた。湖や川が干上がり、枯れた草原を砂が飲み込んだ。
当時の人類は、砂漠化した土地を捨てるか、新たな乾燥期に適応するしか生きる術はなかった。
水のある土地を求めてサハラを捨てた者たちにとって、最良の地はナイル川流域だった。この過酷な時期がエジプトやスーダンの都市農耕文明の勃興につながったのは偶然ではない。
岩絵が見つかったワディハルファ周辺のような砂漠では、ほぼ人がいなくなった。居残った人たちは、ヒツジやヤギを優先して牛を見捨てた。
この状況は、牛と密接な関係にあった遊牧民にとって、アイデンティティやイデオロギー的にも、食料や移動パターンなど人間の生活のあらゆる面においても大きな転換点となった。
岩絵のもっとも一般的なモチーフは牛だった / image credit:Julien Cooper
スーダンの古都ケルマでは、集団のリーダーたちが死ぬと牛の頭蓋骨で囲まれた立派な墓に葬られた。ひとつの墓に4899個もの頭蓋骨が置かれた例もあった。
現在でも、南スーダンやアフリカ最東北端の多くの地域では牛を文化的に奉る同様の習慣が残っている。
古代サハラと同じように、牛が装飾されて特別扱いされ、葬儀において重要な役割を担っている。
急速な気候変動と環境の悪化にさらされつつある現在、経済や生計の問題を超えて、どのように現状に適応していくかを私たちは考えなくてはならない。
文化のもっとも基本的な共通項のひとつは私たちが共有する風景との関係だ。環境が変化すれば、好むと好まざるにかかわらず、新たなアイデンティティ、シンボル、意味を生み出すことを強いられるものなのだ。
この発見は『The Journal of Egyptian Archaeology』誌に掲載された。
References:New rock art discoveries in Eastern Sudan tell a tale of ancient cattle, the ‘green Sahara’ and climate catastrophe / written by konohazuku / edited by / parumo
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カタールの砂漠に刻まれた謎の岩絵
貼り付け終わり、
https://karapaia.com/archives/52331684.html
アフリカ、スーダン北部の町ワディハルファの東、ほとんど雨が降らないサハラ砂漠の最も荒涼とした地域で16の岩絵が見つかった。これら岩絵に共通しているのは、必ず牛の絵が描かれていることだ。
現在の乾燥しきった砂だらけの砂漠の環境を考えると、大量の水や草が必要な生き物である牛の絵が岩に描かれている状況は不可解だ。
つまり、今回見つかった牛の岩絵は、かつてサハラが牧草地が広がる緑に覆われていたという過去を証明するもっとも重要な証拠だと言えるという。
かつてサハラは湿潤な環境だった
モロッコからスーダンにかけて広がる広大なサハラ砂漠は、実はかつてはもっと湿潤な環境だった。気候科学者、考古学者、地質学者はこの時期を「アフリカの高湿度期」と呼んでいる。これはアフリカ大陸全体で夏のモンスーン降水量が増加した時期で、およそ1万5000年前に始まり、5000年前頃に終わった。
この「緑のサハラ」は人類史において重要な時期にあたる。
この時期に北アフリカでは農耕が始まり、動物が家畜化されたのだ。およそ8000~7000年前のこの短い「湿潤の狭間」に地元の遊牧民が、隣国であるエジプト北部や中東から牛やヒツジ、ヤギなどの家畜を導入した。
人と動物の密接なつながりがあった
スーダンの岩のキャンバスに、先史時代のアーティストたちが家畜の絵を描いたときは、砂漠は草で覆われた草原だった。そこには水たまり、川、沼、滝があり、ゾウ、サイ、チーターなどいわゆるアフリカの動物たちがあふれていた。つまり、今日とはまったく異なる光景が広がっていたのだ。
牛は単なる食料やミルクの供給源だけではなかったようだ。岩絵や考古学記録を詳しく調べてみると、牛がかなりデフォルメされて描かれていることがわかる。
角は変形され、皮膚は装飾され、首には人工的なひだ、つまりペンダントのようなものが描かれている。
大きな墓地に人間と共に埋葬された牛の例もあり、人間、動物、集団のアイデンティティの密接な関係を象徴しているといえる。
サハラに気候変動の危機 およそ紀元前3000年頃に湿潤期が終わり、すべては急速に悪化し始めた。湖や川が干上がり、枯れた草原を砂が飲み込んだ。
当時の人類は、砂漠化した土地を捨てるか、新たな乾燥期に適応するしか生きる術はなかった。
水のある土地を求めてサハラを捨てた者たちにとって、最良の地はナイル川流域だった。この過酷な時期がエジプトやスーダンの都市農耕文明の勃興につながったのは偶然ではない。
岩絵が見つかったワディハルファ周辺のような砂漠では、ほぼ人がいなくなった。居残った人たちは、ヒツジやヤギを優先して牛を見捨てた。
この状況は、牛と密接な関係にあった遊牧民にとって、アイデンティティやイデオロギー的にも、食料や移動パターンなど人間の生活のあらゆる面においても大きな転換点となった。
歴史の新たな段階
ナイル周辺に移住し、新たな生活を始めた者たちにとって、牛は相変わらずアイデンティティと重要性のシンボルだった。スーダンの古都ケルマでは、集団のリーダーたちが死ぬと牛の頭蓋骨で囲まれた立派な墓に葬られた。ひとつの墓に4899個もの頭蓋骨が置かれた例もあった。
現在でも、南スーダンやアフリカ最東北端の多くの地域では牛を文化的に奉る同様の習慣が残っている。
古代サハラと同じように、牛が装飾されて特別扱いされ、葬儀において重要な役割を担っている。
急速な気候変動と環境の悪化にさらされつつある現在、経済や生計の問題を超えて、どのように現状に適応していくかを私たちは考えなくてはならない。
文化のもっとも基本的な共通項のひとつは私たちが共有する風景との関係だ。環境が変化すれば、好むと好まざるにかかわらず、新たなアイデンティティ、シンボル、意味を生み出すことを強いられるものなのだ。
この発見は『The Journal of Egyptian Archaeology』誌に掲載された。
References:New rock art discoveries in Eastern Sudan tell a tale of ancient cattle, the ‘green Sahara’ and climate catastrophe / written by konohazuku / edited by / parumo
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カタールの砂漠に刻まれた謎の岩絵
貼り付け終わり、