https://www.mag2.com/p/news/595231
市民運動の参加者に「活動家」のレッテルを貼る際など、エセ保守方面が好んで使用する「プロ市民」という蔑称。しかし現実に戦後日本を破壊してきたのは左翼でもパヨクでもなく「プロ自民議員」だった。投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹兵輔氏によれば、彼らはまさに「カネの亡者」。米国と経団連に従属し日々蓄財に励む“不正・腐敗・裏金のプロ集団”は、どのように国民から金を掠め取っているのか?売国の実相を暴く。(メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』より)
自民党国会議員376人が世界に誇る“国民の金にたかる技術”
日本の国会議員は、衆議院(465名)と参議院(248名)で合計713名います。
政党によっては人数合わせで、有名人を担ぎ出して国会議員に埋め合わせるような風潮も見られるため、議員定数が多すぎるのではないかとさえ思えますが、人口比で世界各国と比べるとそうでもないのです。
人口100万人当たりでは、イギリスの国会議員数は約22人、フランスは約14人、南アフリカやドイツは約8人、韓国は約6人、日本は約5人なのです。意外や日本は標準的です。
日本より少ないのは、ロシアの約4人、ブラジルの約3人、中国の約2人などとなっています。
そして、驚くべきことに米国は、人口100万人に対して1・7人しか国会議員はいないほどに少ないのです(人口3億3589万人で上院100議席・下院435議席の計535名)。
これらの状況を見ると、日本はこれでも、まあまあという国会議員数なのです。
議員数が少なすぎても、民意は反映されにくくなり、多すぎても 「リンゲルマン効果」 で一人一人の議員の手抜き・怠慢現象が生じますから、民主主義国家としては、日本の議員数は許容の範囲内ともいえるのです。
国会議員の「高額報酬と高待遇」が生み出す特権意識
さて、いっぽうで日本の国会議員の報酬と待遇は、非常に恵まれています。世界で3番目といってよいほどの高待遇だからです(ランキングは後述)。
●月額歳費(給与)=129万4000円(年額1552万8000円)
●期末手当(賞与)=317万5000円(年額635万円)
※これらだけでも合計2187万8000円です
マスメディアは国会議員の「年収」を報じる際に忖度して、この2187万円だけを報じるケースもままあります。国会議員の報酬はこの金額の2倍以上あるにも関わらず、少なめに見えるようにするためです。マスメディアも国民を舐めているのがよくわかります。
国会議員はこれらの他に、次のような「もっともらしい」名称でも報酬を得ています。非課税で、使途の明細さえ問われないのですから、名目とはまったく関係なしの単なる「裏給与」にすぎません。
●調査研究広報滞在費(旧「文書通信交通滞在費」)=月額100万円(年額1200万円
※非課税の手取り額で領収書不要で、課税年収に換算すると約1900万円に相当
●立法事務費=65万円(年額780万円)
※非課税の手取り額で 使途の公開も不要 、課税年収に換算すると約1100万円に相当
以上が公費として一人あたりに支給される金額です。
これらを合計すると、年間4168万円です(課税収入に換算すると年間5187万円に相当)。
自民党とマスコミの“共犯関係”
国会議員の報酬が、どうしてこんなに高額になってきたかといえば、それは国会で議員たちがお手盛りで収入アップの法改正を行い、さらにマスメディアもそれをロクに報道せず、批判せず…を続けてきたためなのです。
マスメディアが政府・自民党と根本で癒着し、寄り添ってきたのは、そもそも敗戦時、東京大手町にあった国有の一等地を各大手新聞社の本社として、政府から激安価格で譲り受けた歴史があるからです。
今では新聞購読料が減少して、そうした不動産賃貸収入が経営の柱になりつつあります。
旧安倍政権の時に「安倍晋三記念小学校」をつくるとしていた籠池夫妻経営の森友学園問題では、9億5600万円の評価額の「国有地」を9割引きにし、さらに土壌汚染対策費として1億3200万円を支給し、たったの実質200万円というタダ同然で森友学園に譲ろうとした経緯が事件として騒がれました。
しかし、これと同じことを敗戦直後に日本の大手新聞社もやっていたのです。そして大手新聞社系列の全国放送のテレビ局も、優先的に政府から免許を認められてきたのです。
ゆえに根源的な部分で、日本のマスメディアは裏で政府・自民党と癒着し繋がっているため、マスメディアの積極的な政府・自民党批判はタブーとなるのです。
今日の日本では、「しんぶん赤旗日曜版」と「週刊文春」ぐらいしか、スクープ記事を発することがありません。大手マスメディアはそれをしぶしぶ後追いして報じる構図です。
これは笑えない話であり、非常に恐ろしいことです。プーチン独裁のロシアのマスメディアと変わらない状況だからです。
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日本国に寄生する国会議員の収入は上場企業社長をも上回る
さて、国会議員の課税収入相当額での5187万円というのは、上場企業の社長の平均年収4676万円をゆうに上回ります(全国の上場企業および上場企業に匹敵する資本金5億円以上かつ従業員500人以上の3805社対象の労務行政研究所の2021年の調査データ)。
議員の報酬(主に歳費)を世界のレベルで比較すると、2019年の1ドル110円の換算レートでは、党や会派に支給されるものを除いた金額では以下の通りです(英国LOVEMONEY.COM LIMITEDによる)。
- 1位・シンガポール:9772万円
- 2位・ナイジェリア:5280万円
- 3位・日本:3014万円
- 4位・ニュージーランド:2159万円
- 5位・米国:1914万円
- 6位・イタリア:1576万円
- 7位・オーストラリア:1554万円
- 8位・ドイツ:1466万円
- 9位・カナダ:1437万円
- 10位・オーストリア:1296万円
- 11位・ノルウェー:1197万円
- 12位・アイルランド:1170万円
- 13位・オランダ:1145万円
- 14位・イギリス:1126万円
- 15位・デンマーク:1106万円
日本は、世界第3位ということになっていますが、前述の通り、実際のところは5000万円強ですから、第2位のナイジェリアにも匹敵する水準です。各国の詳細はわかりませんが、他の特権や特典も合わせれば、日本はナイジェリアを超え、第1位のシンガポールをも越えて世界第1位となるかもしれません。
国会議員の収入はまだまだあるのです。
前述の他に、政党や役職によっても異なりますが、政党交付金の分け前が所属議員にも分配されるからです。
●政党交付金(政党助成金)の国会議員分け前分=年額最低1000万円~3000万円程度
このように政党交付金の分け前といった配分があるので、最低額の交付金1000万円を得たとしても、公費支給分と合計すると5168万円になるわけです。
まさに優雅なヒモ生活。働かずともカネが入る国会議員
この政党交付金の分け前1000万円も非課税です(手取り1000万円の課税年収は約1500万円ゆえに課税年収の換算での合計額は7687万円にも相当します) 。ものすごい高額収入を得ている計算になります。
たとえば、解散がない任期6年の参議院議員は、6年間で課税換算収入で4億6122万円、手取り収入で3億円強の報酬を得る計算です。
衆議院議員の場合は解散があるため、 任期の平均が2・8年となっていますから(解散から解散までの期間)、少なくとも衆議院を一期務めただけでも、参議院の半分弱の高額収入が得られるわけです。
日本の国会は、憲法の規定で、世界でも稀な会期制となっています。主要国は、会期のない通年制がふつうです。
会期中の執拗な野党の抵抗で、法案審議が長引いて結局廃案になることに業を煮やしたかつての田中角栄元首相は、常会や臨時会、特別国会等を延長して、事実上の通年制にすべきだと主張していたことがあります(会期中に議決されなかった法案は審議未了で会期末で廃案になるため)。
実際問題、毎月国会議員としての報酬を得ながら、 国会は1年のうち半分程度の会期しか開かれていません(2020年は194日、21年は180日、22年は222日、23年は205日)。
高額報酬を毎月得ているなら、通年国会にすべきともいえるのです(地方議員の場合は、はるかに楽チンで県議会が80日前後、市議会が70日前後、町村議会はたったの40日前後)。
国会も地方議会も、1年中議会を開いていれば、忙しくて議員の利権アサリの口利きや、利益誘導を行う活動時間も少しは減るはずでしょう。
ともあれ、ロクに仕事をしていなくても高額報酬が得られるのが議員というご身分なのです。
国会議員が不祥事を起こし、所属政党を離党したとしても、議席にだけはしがみついて辞職しないのは、国会議員がこれほどのオイシイ高額報酬を得られるからなのです。
国民にたかる寄生議員。優雅なヒモ生活はいつまで続く?
ところで、この政党交付金は、赤ちゃんからお年寄りまで、国民一人当たり250円の税金で、年間315億円が各政党に配られるものです。
これは、1988年発覚のリクルート事件などを経て、「政治改革」をタテマエに1994年に導入された制度です。
ただし日本共産党は、支持しない政党にも税金が配られるのは、憲法19条の「思想及び良心の自由」に反する憲法違反の制度として、導入時から一貫して受け取っていません。よってその分は他の政党に「無駄に配分」されています。
ちなみに、年間315億円の政党交付金のうち、自民党が半分以上の160・53億円、立憲民主党が68・35億円、日本維新の会が33・94億円、公明党が29・08億円、国民民主党が11・19億円、れいわ新選組が6・29億円、社民党が2・88億円、参政党が1・89億円、教育無償化を実現する会が1・18億円受け取っています(2024年度のNHK試算分による)。
自民党の政党交付金160・53億円を2024年1月時点の自民党所属の国会議員数376名(衆議院259名、参議院117名)で割ると、 一人あたりで約4300万円近くの公費が国から自民党本部に支給されている計算になるわけです。
この一人当たり4300万円近い政党交付金から、国会議員の分け前として、役職などに応じて最低1000万円から3000万円程度まで分配されています。
こんな制度のおかげで、昨今は政党交付金だけが目当てといってよいほどの新党までチョロチョロ生まれる状況になっています。
それでも自民議員は「カネが足りない」どの口で言っているのか
国会議員といっても、とりわけ与党・自民党の議員はカネの亡者ですから、収入はこんなものだけではすみません。
経団連傘下の大企業から年間55億円前後の政治献金(合法ワイロ)が自民党に入るため(約半分の20数億円が自民党本部の資金団体受け皿の国民政治協会へ、残り半分は各議員が支部長を務める政党支部へバラ撒かれる)、「税制」や「労働法制」などに関する主だった政策は、経団連の言いなりで押しすすめられます。
投票権を有しない企業が、政策をカネで買う構図なのです。
自民党は、他の野党と比べても、猛烈にカネまみれの利権政党であることがわかるでしょう。政権を長く握る者ほど腐敗していく──というのは、16世紀の政治哲学者マキャベリが「君主論」 で喝破した通りだからです。
ちなみに、総務省公表の政治資金収支報告書によれば2022年の自民党の本部収入249億円のうち、 政党交付金の占める割合は64・3% (160億円)です。税金頼みの構造なのです。
1994年の政党交付金導入時には、企業・団体献金(合法ワイロ)は 近いうちにやめるという約束がありましたが、これまでいっこうに辞めようとはしてこなかったのです。
約束を破っているのに自民党と癒着したマスメディアはほとんど批判してきませんでした。
そのうえ、表向きの政治献金どころかパーティ券という偽装献金まで集めて「裏ガネ」づくりに励んできたのが、今回の騒動を起こした自民党だったのです。
政治献金は、企業・団体献金分とその偽装に使われる個人献金分も併せて、一日も早く禁止すべきでしょう。そうでなければ、政党交付金という公費支給を始めた意味がないからです。税金の無駄遣いに終わっています。
このことは、マスメディアが声を大にしてこぞって批判し、訴えるべきことなのですが、それをやらないマスメディアの怠慢には呆れるばかりです。日本の民主主義を壊すのはマスメディアともいえるでしょう。
ちなみに、今回の派閥の裏ガネ問題を発掘調査して公表したのも、マスメディアではなく日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗・日曜版」と、神戸学院大学・上脇博之教授の緻密な調査によるものでした。
次ページ:議員センセイには「特権」「特権」もいっぱい
国民には悲劇でしかない、国会議員の「特権」「特典」の数々
国会議員には、オイシイ特権や特典がまだまだあります。
有名な特権では、国会議員は会期中逮捕されない 「不逮捕特権」 や、院内での発言などの責任を院外で問われない「免責特権」 がありますが、他にも経済的利益がもたらされる数多くの特権や特典が付与されているのです。
●国会議事堂傍の議員会館の家賃、電話代、水道光熱費はタダです。
●地方選出国会議員なら赤坂にある議員宿舎(82平米3LDK)などは相場の2割程度の家賃(12・6万円)で住めます。
●「海外視察」と称する海外物見遊山の旅行代もタダです。
●JR全線のグリーン車乗り放題パスや私鉄の無料乗車パスも支給されます。
●地元選挙区との航空券の往復チケットも月に4回分タダで支給されます。毎月100万円非課税で支給される旧名称の「文書通信交通滞在費」との重複もよいところでした(今は名称だけが変わり 「調査研究広報滞在費」 )。
●さらに、公設秘書も3名雇えます(年収は政策秘書700万~900万円、第1秘書800万円前後、第2秘書600万円前後)。その給与の年間合計2400万円 が支給されています。
ただし、これらの秘書は強制的に議員の政治資金管理団体に寄付させられているので、国会議員はまさしく銭ゲバ雇用主状態なのです。
公設秘書の選任においても、他人にカネを支給させるのが惜しいケチな議員は、身内や親戚、ひどい例では自宅の家政婦を「エア公設秘書」にしていたケースまであるのですから呆れます。
人口が日本の2・7倍の米国の上下両院議員の総数は535名ですが、議員個人に入る報酬額は、17万4千ドルだけです(1ドル140円換算だと2436万円、1ドル150円換算だと2610万円)。
もっとも、立法経費として上院議員で約2億円分、下院議員で約1億円分まで計上して事務所を設け、スタッフを数十人雇ったりはできます。ただし、これも後払いで細かい明細書の証明が必要で、透明性は日本の比ではありません。そのため、議員個人のポケットに入れられる性格の金ではないのです。
米国と比べ、 日本の国会議員が、いかに曖昧で不明瞭な莫大な報酬をフトコロに入れているかがわかります。
封建領主気取りの自民議員。世襲が蔓延る日本のヤバさ
選挙の時だけ、実現する気もない空疎な公約や耳触りのよいスローガンを並べるだけで、自民党議員は外交・軍事から内政にいたるまで米国の言いなりであり(年次改革要望書や日米合同委員会の密約)、税制や労働法制は経団連の言いなりです。
国民の声など、どこにも反映されない仕組みなのです。
ましてや、自民党議員の4割を占める世襲議員は「家業」として国会議員を代々続けてきたのですから、一族で蓄積してきた財務基盤も盤石です。
ゆえに「一族の特権・利権」を守ることこそが第一義となるわけです。シモジモの国民の声などに聞く耳をもたないのは当然です。
このように日本は、本当にヤバい国になっている──ことについて覚醒し、私たち国民は、選挙では必ず自民党以外に投票し、政治への監視を強化していかなければならないでしょう。
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貼り付け終わり、パチパチ大拍手!