山行報告【奧穂高岳・涸沢岳西尾根(冬合宿・北ア厳冬期アルパイン入門)】3日目 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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人の親になっても頂きを目指し、家族と共に攀じり続けるパパクライマーの記録

1. 行動経過

3日目(1/35:00起床~6:30幕営地出発~8:00白出沢出合~10:00新穂高温泉


2. 山行記録



最終日は下山しただけなので特に書くことなし。夜中に降った新雪は風のあるところではトレースを消していたものの、大半には、前日下山時にテントを張っていた3パーティがいたので、その隊のトレースがきっちりあった。そもそも早朝のサラサラの新雪はシリセードにもってこい。トレース関係なくスルスルと下りてきてしまいました。


3. まとめ

結局、3年連続にして最後にしようと決めていた涸沢西尾根~奧穂高岳ですが、今回も奧穂高岳どころか涸沢岳すら取れず終いでした。結論から書けば、年末に23日で奧穂を取るのはよほどの好条件に恵まれなければ無理であると判断しました。涸沢岳は取ろうと思えば取れますが、パートナーが同モチベーションでなければ危ないです。


わたしが思うに、このルートで年末に奧穂目指すなら、34日の行程に予備日1日追加して、45日必要だと思います。34日の行程だと必然的に奧で一晩過ごすので、予備日の設定は不可欠。結果、スケジュール的には45日見ておかないといけないでしょう。


個人的にはこのルートはこれでお終い。いつか34月あたりに好条件に恵まれるのが分かっているタイミングで23日でサクッと取れればいいかなと思います。次回の年末年始は別ルートに進みたいですね。


ともあれ、3年連続入ると勉強になること多々ありました。3年とも冬型で天気はよくありませんでしたが、状況はまちまちで、1年目は本当の暴風雪で稜線の視界不良が一番危なく、また稜線に出てからのトラバース斜面もアイスバーンになっていて滑落の危険が高かったです。


2年目は12月中ずっと降雪のない状況の中で直前にどかっと大雪が降り、根雪のない状態での入山になりました。天候は悪くなかったのですが、兎に角新雪のサラサラの大雪ラッセルが大変で、それは西尾根だけでなく稜線も同じ。結果、蒲田富士すら越えられませんでした。トラバース斜面はいまにも雪崩そうという状況でした。


今年の条件は結果的に良かったと思います。雪が多く稜線までのラッセルが大変で、初めてスノーシューラッセルしました。でもモチベーションを高く持ち、風が強くても日の出前から行動していれば涸沢岳は取れたでしょう。今思えば残念ですが、それは結果論。やはり現場でのリスク判断は正しかったとしておきます。


2013年冬合宿山行報告1~3

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11455039172.html

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11456175739.html

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11456793606.html


2014年冬合宿山行報告1~3

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11751290101.html

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11751292449.html

http://ameblo.jp/tama-xx/entry-11751301295.html


上記アドレス先画像と見比べてみれば、なんらかしら参考になるかもしれないので、狙っている人は見るといいかも。ルートとしては難しくないので、初心者さんでも雪稜入門として最適だと思います。冬山は登攀技術よりも的確に状況判断できる力こそがもっとも重要なファクターだとわたしは思うようになりました。


今回もっとも良かったことは、出発する直前まで天気図と睨めっこして、天気予報が暴風雪と予報していても、入ってみようと判断できたこと。結果は青空を拝めたわけで、やっぱり部屋の中で人の予報のみに頼って、計画を放棄したり、モチベーションを下げたりするのは間違いだと思います。突っ込んではいけません。でもその予報の中でできることをやる。それが大事だと思います。それこそが重要なファクター、判断力を磨くカギなんだとわたしは思います。


因みに、今回の山行では下山後に宿題を受け取りまして、というのも、わたしたちが目指していたルート上にある穂高岳山荘には、高知県山岳会の避難している4名がいたんです。もし、わたしたちが予定通り山荘まで辿り着いていたら、遭難している4名に会うことになっていたんですよね。


4人のニュースを全く知らない状況で4名に会った場合、わたしたちは一体どう行動するのが正しかったのか。相手からは警察と常時連絡を取れていること、山荘に偶然デポしてあった食糧及び燃料は提供されていること(許可を受けて)、背骨を痛めている人がいること、そういう状況でどう行動するのが正しいのか。


わたしは色々考えました。今回の件は、警察と連絡が取れているため、警察の判断を仰ぎ、たぶん下山するよう言うであろう警察の指示に従って我々は下山する、これが正解です。


しかし、例えば警察と連絡を取れていなかった場合はどうか。食糧や燃料が心許ない場合はどうか。シチュエーションを変えれば、ちょっと即答できないような場面がわりとあることに気付かされました。冬の穂高岳山荘なんかで遭難者に会いたくない!と逃げるのは簡単ですが、結果的にこういったエリアに危険な時期に入るということは、自分の意思とは関係なくこういう状況に遭遇する可能性があるということを我がことのように考えました。



ナイーブな問題ですからことさらここでは展開しませんが、今年は準備山行も含めて、自分達とは関係のない外部的要因について色々考える機会をもらえ、結果的によい合宿になったと思います。話しがそれましたが、そんな感じです。涸沢岳よ、また何時か。待ってろよ!(おわり)