RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~ -3ページ目

RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~

こンな髪形してますが、アラフォーのおっさんです。
このブログでは、過去に体験した奇妙な恋愛話を綴ってます。
一部不快な表現も含まれておりますので、予めご了承ください。

『アタシ毎日不安で、最近ずっとおかしくなってたンです。』

――な、なンやぁ???

私が手の痣を指摘したとたん、美紅ちゃんは突然泣き出した。
どうやら触れてはいけないところに不用意に触ってしまったようだ。

『自分ではどうにも出来なくって、考えれば考えるほど出口が見つからなくて・・・。
それで、気が付いたら冷蔵庫の中のモノ全部食べてしまってたンです。
でも、しばらくしたら苦しくなって、それで指を突っ込んで吐きました。』

過食症



――か、過食症ってヤツか?

『食べたモノを全部吐いてしまうと、またスーパーに買いに行って、それで同じコト繰り返してました。
リンさんに電話をかける前までずっと毎日です。』

「そ、それで今は?」

『先週リンさんが“大丈夫”って言ってくれたから、もうしなくなりました。
ホントですぅ!ホントにやってませんから!!』

――いやいや、誰もウソやとはいってないがナ・・・

どうやら極度のストレスが溜まるとこンな行動をとってしまうようだ。
だいぶ前にTVでこンなコトを取り上げていたような気がするが、実際に見たのは初めてだった。

「まあまあ。俺は別に非難してるわけじゃないから、安心してよ。
ほら、落ち着いて。泣きやんでヨ。」

『アタシのコト、嫌いになりましたぁ?』

「だ~か~ら~!そンなコトナニも言ってないがナ!」

『うそ!』

――なンでやねン(^^;)

たった今、告白したばっかりなのに、“吐きダコ”を見つけたくらいで嫌いになれるヒトっているんだろうか?
クーリングオフでも2週間の猶予があるのに、美紅ちゃんの疑いようは度を超えているみたいだ。

「ほんの今、美紅ちゃんのコトが好きヤって言ったトコやがナ。
別に手足にタコや魚の目があったって、好きな気持ちは変わらンよ。」

『え、なに?』

「だから、美紅ちゃんのコトが好きやって」

『もう1回!』

「おいおい、何回言わせるンやナ(´ヘ`;)
俺は美紅ちゃんが大好きや!」

『じゃ、抱いてくれますかぁ?』

――ちょっ、ちょっと・・・

美紅ちゃんは若いから体に自信があるだろうケド、私には人前で裸になれないワケがある。
これは仲良くなってから少しずつ機会を見て説明するつもりだったが、今日いきなり裸になるには私のココロの準備が出来ていない。

『やっぱり・・・・。』

「な、ナニが?」

『やっぱり風俗で働いてる女なンて、ダメですよネ?』

「そ、そンなコト言ってないがナ!」

『じゃ、抱いて!』

――お、おい!

美紅ちゃんはいきなり自分の服を脱ぎ出した。
さすがに直視できなくて視線を逸らしていたが、あっという間に下着まで脱いでしまったようだ。
私は俯いたまま床を見つめ、ナニも出来ないまま硬直している。

『リンさん!ナニしてるのヨ!』

「え!?」

今度は私の両肩をつかみそのまま体を預けてきた。
いきなりだったので避けることもできず、ちょうど押し倒された格好になってしまった。

「お、おいおい!ちょっと待ってヨ!」

『だ~め!覚悟しなさい!!』

――いや、そンな、これじゃアベコベやンかぁ!

騎乗


・・・・自粛します・・・・・・・・・・・・・・・

『うふ♡リンさんって、エッチのときは可愛いのネ!
全身性感帯みたいで、すっごく責め甲斐があるワ。
それに、毛が全然ないからとっても舐めやすいし♡』

――しまったなぁ・・・
完全に立場が逆転してもうたがナ。

無理に抵抗すると不自然でもあるし、それに美紅ちゃんはまた泣き出しそうになるので、私はされるがままに従った。
最初は私のカラダに体毛がないコトに驚いたようだが、が、しかし、さすがに美紅ちゃんもプロだ。
私のカラダの隅々にまで舌を這わして、どこにツボがあるか的確に探り当てた。

『リンさんって、いつからこンな敏感なのぉ?』

「え、そ、それは・・・」

『あ、もしかして元カノに開発されたぁ?』

「え、あ、い、いや・・・」

『あ、言わないで!言っちゃダメぇ!!』

「え?」

『アタシも言わないから、リンさんも前のヒトのコトは言わないでね!』

「は、はぁ・・・」

『そして、これからはアタシだけを見ててくださいネ♡』

「あ、ああ、も、もちろん!」

『やったぁ!』

美紅ちゃんはまたもや私に飛びかかってきた。
今度はしっかりと抱きとめて、そのまま抱き上げた。
ふと窓を見ると、西日になったせいなのか、カーテンから光が差し込んでいる。

窓




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

♪小さい頃は神さまがいて
不思議に夢をかなえてくれた
やさしい気持で目覚めた朝は
おとなになっても 奇蹟はおこるよ

カーテンを開いて 静かな木洩れ陽の
やさしさに包まれたなら きっと
目にうつる全てのことは メッセージ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

改札口



『じゃ、また来週の土曜日ね♡
帰ったらまたメールします。
今日もありがとうございましたぁ!!』

――これからもずっと優しさで包んであげれば、きっと美紅ちゃんを幸せに出来るハズだ。

美紅ちゃんには過去にいろいろ暗い出来事があったようだが、少なくとも私の前では明るくて可愛い娘だった。
今日は突然泣き出したりしたので少し面喰ってしまったが、ソレは私が原因を取り除いてやれば良いコトだ。
風俗の仕事はすぐにでも辞めてほしいが、それも追々話し合って決めるコトにしよう。


そう、恋はまだ始まったばかりだ。



つづく

『今日もカラオケですかぁ?』

カップル


レストランを出た2人は、とりあえず先週に利用したカラオケボックスに向かって歩いている。
美紅ちゃんはさっきまで泣いてたクセに、今は満面の笑顔で私の腕にしがみついている。

――今泣いたカラスが、ってヤツかいナ(^^;;

美紅ちゃんは私よりも4歳年下の32歳だと言ってたが、見た目はやはり20代後半にしか見えない。
こうして連れ立って歩いていると周りの目がとても気になるが、彼女はいっこうに気にしていないようだった。

「いや、まさかス○バやド○ールであンな話は出来ないやろう?」

『じゃあ、ホテルへ行きませんかぁ?』

――え?

そりゃあ2人っきりになるならその方が好都合だが、私の良心回路がどこまで機能するか自信が無い。

『ね?そうしましょう!
ハイ、決まり‼︎』

そう言うと美紅ちゃんは私の腕を掴んだままグイグイと引っ張りだした。

――これじゃ、アベコベやがナ・・・


ラブホ




「じゃあ、先ずはシナリオを考えようか。」

ココは繁華街の外れにあるラブホの一室。
土曜日の真昼間なのに利用客は多いらしく、この部屋が空くまで30分ホド待たされた。
待合室にいる間に借用書を読ンでみたが、店長はどうやら金融屋にいたらしく、細かい契約内容が明記されていた。
逆に言うと契約違反がいくつもあるので、債務不履行を理由に一括返済を迫るコトが出来そうだ。

「これはネ、借用書じゃなくて金銭消費貸借契約書と言って・・・」

『・・・。』

「聴いてる?」

『イヤ!』

「ナニが?」

『先に告白でしょう!
そンな話は後でも出来るじゃない。
早くアタシを口説いて‼︎』

――な、なンじゃ、そら?

美紅ちゃん、だんだん敬語じゃなくなって、急に立場が逆転したような気がする。

「え、え~、おほん。」

『早くぅ!』

「では、石川美紅さん。
貴女のコトが大好きです。
私と付き合ってください!」

『はぁい!喜んで♡』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

♪今だけを 愛だけを きみだけを みつめよう

もう かえらぬ過去を ただ 悔やんでみたり
もっともっと 変われる明日を ただ 皮肉ってたり
(ひる)むうちに 時は流れていった

今だけを 信じよう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


なンとなく押し切られた感はあるし、どこかヒトの弱みに付け込んでいるような気がして後ろめたかったのだが、美紅ちゃんも私のコトを求めてくれているのならこんなに幸せなコトは無い。
私は期せずして若くて可愛い彼女が出来てしまった。

ところで・・・・

吐きダコ


――ん、拳ダコか?

ずっと気になっていたのだが、美紅ちゃんの手にあるこのタコのようなモノはなんだろう。
さっきはテーブルの向かい側で良く見えなかったが、今は隣に密着しているのではっきりと赤い痣のようなものがわかる。

「ひょっとして、美紅ちゃんも空手やってるの?」

『え~。できませんよぉ!なンでですかぁ?』

「いや、その手の甲にあるタコ。
俺の拳ダコと似ているケド、ちょっとちがうなぁ・・・」

『・・・・・。』

「ん?どうかした?」

美紅ちゃんの表情がみるみる険しくなってきて、今にも泣きだしそうになっている。
私は何か触れてはいけないモノに触れてしまったのだろうか?

『正直に言いますネ。コレは吐きダコなンです。』

言い終わった途端、美紅ちゃんは顔を覆って泣き出した。

――吐きダコ?ってなンや?
ってか、泣くようなコトなンか?



つづく
『今日はアタシが見つけたお店に行きましょ♡』

――おいおい、デートじゃないンだから(´∀`;A

1週間後の土曜日。
今日は2度目の打ち合わせのタメに、2人は再びN駅へやってきた。
打ち合わせ内容は決して浮かれた内容ではないが、美紅ちゃんの可愛い笑顔が見るとつい顔が綻んでしまう。

『リンさん、お肉は好きですかぁ?』

「む。嫌いじゃぁないケド、あンまり沢山は食べられないヨ」

『じゃ、パスタはどうですかぁ?川沿いにオシャレなトコロがあるンですぅ♡』

「うん。じゃ、美紅ちゃんにお任せするヨ」

『はぁい♡』

――あらあら、まるっきりデートやないかい(#^∀^)

今からかなりシビアな話をしなければならないのに、美紅ちゃんのこの浮かれようはどうだ。
前回もかなり自制心を働かせてきたというのに、この分では私の良心回路がショートしそうだ。

手をつなぐ



『あ、あのう・・・』

「ん、なに?」

『手、繋いでもらってもいいですかぁ?』

「うほん。あ、あ、え~。」

『お願い!』

――もう、知らんでぇ・・・

先週の打ち合わせ後から今日までの間、私は毎日のように美紅ちゃんにメールを送っている。
最初のころは債権回収のための知識ダケを送っていたが、途中から美紅ちゃんの身の上相談に変っていた。

美紅ちゃんはシングルマザーなので、仕事が終われば話し相手は小学生の娘ちゃんダケだった。
まさか小学生相手にお金の話は出来ないし、仕事の話などはもってのほか、だからストレスは大いに溜まっていたのだろう。
だから、この1週間のメールのやり取りで、2人は何年も前からの付き合いのような話題までしていた。


テラス



『そうそう、昨日、お店の女の子から夜遅く電話があったンですケド・・・』

ここは美紅ちゃんがお勧めのレストラン。
川沿いにあるこのお店にはオープンテラスがあり、今日は天気が良いのでこちらに案内してもらった。
周りには若いカップルばかりが座っているので、アラフォーのオッサンにはちょっと居心地が悪い。

「それで?」

『昨日はもう遅かったので、リンさんには今日逢ったトキに言おうと思ってました。』

「うん。ホンで?」

『昨日から店長が出勤してきたンです。
なンでも証拠不十分で、一昨日に釈放されたって。』

「ほう!」

『だから、裁判所に申立書を送るのはちょっと待って欲しいンです。』

――確かに・・・

相手が塀の中にいるからこそこンな離れ業をやってみようと思ったが、ちゃンと娑婆にいるなら話はもっと簡単に落ち着くハズだ。
ただ、私なら相手が誰であろうと臆せずに追い込めるが、こンな可愛い娘が前科者を相手にちゃんと交渉できるだろうか?

「え~っと。じゃ、あとで借用書を見ながらシナリオを考えるケド、美紅ちゃん一人で大丈夫?」

『あ~!リンさん。アタシのコト、馬鹿にしてるでしょう?ぷぅ!』

「いやいや、なンたって相手は前科者やデ!」

『大丈夫ですぅ!こう見えてもアタシ、お母さンなンだからぁ!』

――お!そうやった(´∀`;A

「でも、もし手に余ったら私も同席するから。
そうやな、私のコトは親戚のおっちゃんとか、従兄のお兄ちゃんって言えばいいから」

『え~!!』

「まさか、こンなオッサンが旦那とか彼氏ってワケにもいかんやろう?」

『じゃぁあ、彼氏でお願いしますぅ♡』

――ん?

「あ、その場ダケの彼氏ネ?」

『違いますぅ!今から美紅の彼氏になってください♡』

――え、え、えええ!!!

『やっぱり、風俗嬢が彼女になるのはダメなンですネ・・・・』

そういった彼女は、唇を噛みながらみるみる涙を浮かべ出した。

「い、いや、そんなコトないよ!でも、こンなオッサンじゃ美紅ちゃんも迷惑やろ?」

美紅ちゃんは黙ったまま顔を左右に振り、そして涙を浮かべたまま私を見つめている。

「俺はアラフォーのオッサンやデ!」

『・・・・・・。』

「今はいいかも知れんケド・・・」

『・・・・・・。』

美紅



♪「いつまでそうやって黙ってるつもり? なんか言ってよ。。」
キミはふくれっつら 唇を軽く噛み締めた

Tell me why ワガママとか思わないから
だからTell me why 何もかもをさらけだして

しあわせになるために もう一人きりで泣かないで
しあわせになるための 涙はもうじゅうぶん流した


――そうよナ。この娘もしあわせにしてあげないと・・・
それが出来るのは、この私しかおらン。

「わかった!でも一つ条件がある」

『?』

「告白は俺からさせてくれ。さっきのは無し!あとで仕切り直しや。」

『あ、ありがとうごじゃいましゅぅ』

――泣かンでもええがナ・・・

「ほらほら、ウエイトレスが料理を下げに来たデ!」

『ふぁあい♡』


つづく