幸せになるために | RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~

RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~

こンな髪形してますが、アラフォーのおっさんです。
このブログでは、過去に体験した奇妙な恋愛話を綴ってます。
一部不快な表現も含まれておりますので、予めご了承ください。

『今日はアタシが見つけたお店に行きましょ♡』

――おいおい、デートじゃないンだから(´∀`;A

1週間後の土曜日。
今日は2度目の打ち合わせのタメに、2人は再びN駅へやってきた。
打ち合わせ内容は決して浮かれた内容ではないが、美紅ちゃんの可愛い笑顔が見るとつい顔が綻んでしまう。

『リンさん、お肉は好きですかぁ?』

「む。嫌いじゃぁないケド、あンまり沢山は食べられないヨ」

『じゃ、パスタはどうですかぁ?川沿いにオシャレなトコロがあるンですぅ♡』

「うん。じゃ、美紅ちゃんにお任せするヨ」

『はぁい♡』

――あらあら、まるっきりデートやないかい(#^∀^)

今からかなりシビアな話をしなければならないのに、美紅ちゃんのこの浮かれようはどうだ。
前回もかなり自制心を働かせてきたというのに、この分では私の良心回路がショートしそうだ。

手をつなぐ



『あ、あのう・・・』

「ん、なに?」

『手、繋いでもらってもいいですかぁ?』

「うほん。あ、あ、え~。」

『お願い!』

――もう、知らんでぇ・・・

先週の打ち合わせ後から今日までの間、私は毎日のように美紅ちゃんにメールを送っている。
最初のころは債権回収のための知識ダケを送っていたが、途中から美紅ちゃんの身の上相談に変っていた。

美紅ちゃんはシングルマザーなので、仕事が終われば話し相手は小学生の娘ちゃんダケだった。
まさか小学生相手にお金の話は出来ないし、仕事の話などはもってのほか、だからストレスは大いに溜まっていたのだろう。
だから、この1週間のメールのやり取りで、2人は何年も前からの付き合いのような話題までしていた。


テラス



『そうそう、昨日、お店の女の子から夜遅く電話があったンですケド・・・』

ここは美紅ちゃんがお勧めのレストラン。
川沿いにあるこのお店にはオープンテラスがあり、今日は天気が良いのでこちらに案内してもらった。
周りには若いカップルばかりが座っているので、アラフォーのオッサンにはちょっと居心地が悪い。

「それで?」

『昨日はもう遅かったので、リンさんには今日逢ったトキに言おうと思ってました。』

「うん。ホンで?」

『昨日から店長が出勤してきたンです。
なンでも証拠不十分で、一昨日に釈放されたって。』

「ほう!」

『だから、裁判所に申立書を送るのはちょっと待って欲しいンです。』

――確かに・・・

相手が塀の中にいるからこそこンな離れ業をやってみようと思ったが、ちゃンと娑婆にいるなら話はもっと簡単に落ち着くハズだ。
ただ、私なら相手が誰であろうと臆せずに追い込めるが、こンな可愛い娘が前科者を相手にちゃんと交渉できるだろうか?

「え~っと。じゃ、あとで借用書を見ながらシナリオを考えるケド、美紅ちゃん一人で大丈夫?」

『あ~!リンさん。アタシのコト、馬鹿にしてるでしょう?ぷぅ!』

「いやいや、なンたって相手は前科者やデ!」

『大丈夫ですぅ!こう見えてもアタシ、お母さンなンだからぁ!』

――お!そうやった(´∀`;A

「でも、もし手に余ったら私も同席するから。
そうやな、私のコトは親戚のおっちゃんとか、従兄のお兄ちゃんって言えばいいから」

『え~!!』

「まさか、こンなオッサンが旦那とか彼氏ってワケにもいかんやろう?」

『じゃぁあ、彼氏でお願いしますぅ♡』

――ん?

「あ、その場ダケの彼氏ネ?」

『違いますぅ!今から美紅の彼氏になってください♡』

――え、え、えええ!!!

『やっぱり、風俗嬢が彼女になるのはダメなンですネ・・・・』

そういった彼女は、唇を噛みながらみるみる涙を浮かべ出した。

「い、いや、そんなコトないよ!でも、こンなオッサンじゃ美紅ちゃんも迷惑やろ?」

美紅ちゃんは黙ったまま顔を左右に振り、そして涙を浮かべたまま私を見つめている。

「俺はアラフォーのオッサンやデ!」

『・・・・・・。』

「今はいいかも知れんケド・・・」

『・・・・・・。』

美紅



♪「いつまでそうやって黙ってるつもり? なんか言ってよ。。」
キミはふくれっつら 唇を軽く噛み締めた

Tell me why ワガママとか思わないから
だからTell me why 何もかもをさらけだして

しあわせになるために もう一人きりで泣かないで
しあわせになるための 涙はもうじゅうぶん流した


――そうよナ。この娘もしあわせにしてあげないと・・・
それが出来るのは、この私しかおらン。

「わかった!でも一つ条件がある」

『?』

「告白は俺からさせてくれ。さっきのは無し!あとで仕切り直しや。」

『あ、ありがとうごじゃいましゅぅ』

――泣かンでもええがナ・・・

「ほらほら、ウエイトレスが料理を下げに来たデ!」

『ふぁあい♡』


つづく