RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~ -11ページ目

RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~

こンな髪形してますが、アラフォーのおっさんです。
このブログでは、過去に体験した奇妙な恋愛話を綴ってます。
一部不快な表現も含まれておりますので、予めご了承ください。

『・・・でネ、その時マスターがこう言ったのヨ・・・』

さっきから奥のボックス席で接待してる眞知子サマの声がよく聞こえる。
金曜の夜は決まって、大手リース会社の沼本サンと土田サンの部課長コンビが部下を大勢引き連れてきて、奥のボックス席でカラオケ大会をして盛り上がっている。


カラオケ

だいぶ前からノンちゃんに聞いたハナシによると、中堅社員の酉島クンが眞知子サマにしつこく手を出そうとしているらしいので、私はそれとなくボックス席を監視しているのだが、今夜はやたらと旦那サンの話題が出ているようだ。

眞知子サマは旦那サンのコトを私の前では「オッサン」と言い、客の前では「マスター」と言っているようだった。
いちおう色気も売り物のひとつなので、客の前で「うちの旦那」と言えば興醒めするからだろう。


「ねぇ、麻耶ママ。これだけ通ってるンだから、そろそろキスくらいしてくれてもいいやンか~!」

『え~。じゃぁ、カラオケで100点満点とったら考えて、あ・げ・る♡』


――いつものコトながら、客とこンな風に駆け引きしてる眞知子サマを見るのはつらいなぁ・・・

仕事上での駆け引きだとはじゅうぶん解っているのだが、愛する女性が違うオトコと仲良く会話するトコロを見ているのは、胸に焼け火箸を刺されるように辛いモノがある。
こンなシーンはもう2年以上も見ているのだが、未だになれるコトは無かった。
いや、この店に来る客層はかなり良く、どの客も私より男前もしくは金持だったので、むしろ自分への劣等感が増すばかりだった。

沼本部長は若くして部長になるくらいの敏腕営業マン、その部長に鍛えられた土田課長も売り上げナンバーワン、その二人に追随する酉島クンはジャニーズ系のイケメンだ。
広報・デザイン主任の私は、部下がたったの3人で年収は部課長に遥かに及ばず、爬虫類系の容姿はイケメンとは程遠く、話題の豊富さや女性の扱いなどは比べるまでもなかった。

――なンで、なンでこンなオレを選んだンやろうか・・・・

浮かない顔をしていると、後ろから激しく肩を叩かれた。

『どうしたの?リン。今日は元気ないわネ』

いつの間にか眞知子サマが私の後ろに立っていた。

『ごめんネ。今日は団体サンだから、リンのコトかまってあげられないの』

「い、いいえ。私はここでノンちゃんと岩田クンと楽しく吞ンでますから・・・」

肩を叩かれたダケで、私のモヤモヤは吹き飛んだようだった。
我ながら扱いやすいオトコである(苦笑)


カウンター

「今日は帰るンですか?」

団体客も1時過ぎには帰り、最近めっきり酒に弱くなった高井サンもさっき帰り、従業員のホステスさんも帰ったあと、今は常連客のノンちゃんと岩田クン、それに私と眞知子サマの4人でお店にいた。

岩田クンはもう睡魔が襲っているようで、さっきから意識が朦朧としている。
今、ノンちゃんがトイレに立ったので、私は隙を見て今夜のこの後のコトを眞知子サマに訊いた。

毎回この4人で閉店を迎えるので、帰りは4人でタクシーに乗るコトになっている。
家は当然バラバラだが方向は同じなので、それぞれ1/3の負担で帰れるのは経済的だった。
最初にノンちゃんが降り、次に眞知子サマ、その次は岩田クンが降りて、私は一人で部屋に帰るのだが、タマに岩田君を降ろした後にこっそり眞知子サマを迎えに行くことがある。
その際はいつも予め「今日は帰りますか?」と訊き、『うん』と言えば2人の部屋、『いいえ』と言えば眞知子サマは自宅に帰っていた。
眞知子サマにとって「帰る家」は2人の部屋という意味がわかり、私には嬉しかった。

今夜は『いいえ』と、こっそり合図したので、私の独り寝は決定したようだった。


玄関


ドン、ドン、ドン、ドン、ドン!!!!

――だ、誰や?

寝入り端を起こされた私は一瞬何事が起きたか解らなかった。

ガチャ、ガチャ、ガチャ!!!

荒々しく鍵を開ける音がする。

『リン!ナニしてるの!ずっと待ってたのよぉ!!!』

――えっ?今日は来ないと言ったのに・・・・

眞知子サマは怒りの形相で入口に立っていた。
どうやら私は眞知子サマの微かな合図を取り違えていたようだ。

『どうしたのよ、今日のリンは!
お店でもずっと浮かない顔してたし、生返事ばっかりして!
妬きもち妬くなンてリンらしくないわヨ!!!』

――それとコレとはまた違うンですが・・・

逆上したトキの眞知子サマは、私が何を言い訳してもどう取り繕ってもムダなのはよく解っている。
私は嵐が通り過ぎるのをしょんぼりとうな垂れて待つしかなかった。

『ナニ?なンなの!!アタシに不満でもあるの!!!』

今日の眞知子サマは団体客にだいぶ飲まされたせいなのか、いつもより酔いが回っていて、そのせいかいつもより怒りが大きいようだった。

『ウジウジすンなヨ、こらぁ!!!
不満があンねンやったら、いつでも別れたるゾぉ、こらぁ!!』

――え?

『アタシかってなぁ、オッサンが家出て行ったから悩ンどるンじゃ!!!』

お店でやたら話題にしていたのは、このコトだったのか?
いや、違う。そンな話題を客にするはずがない。
では、なンのコトを言っているのか?

『それともナニか、酉島と外でキスしたことを根に持ってるのか?
あンなモン、この商売してたらいくらでもあるコトじゃ!
もうエエ!もうアンタなンか知らン!!!』

眞知子サマはキッチンにあるグラスや鏡を投げだした。
そンなコトは今までになかったコトだった。
そして、言葉使いも普段と完全に変わっている。

「や、やめてください!今は真夜中ですヨ!!」

『うるさい!もう終わりじゃぁ!!!』


つづく


すんません。
今回もエッチシーン無しです<(_ _)>

『リン、見てェ!雪がすっごくキレイよぉ!
でも、やっぱりアイゼンは必要だったかナ?』

登山口

ココはG市とC村の境にあるK山の麓、これから眞知子サマと2人で雪山登山に行く予定だ。
1月のはじめに眞知子サマのお店の常連客と雪山登山に行く話題が出たが、東京生まれのノンちゃんはモヤシっ子で、中年の高井サンは運動不足のメタボでとても無理、道産子の岩田クンは寒さには強いが運動はダメなヒトだった。

――それなら私がお供しますケド・・・

私はそう言いかけたが、常連客の前でそンなコトが言えるはずもなく、その話は立ち消えとなった。

しかし眞知子サマはよほど行きたかったらしく、1月下旬の今日、念願の雪山登山へ出発した。

クルマを停めた麓の駐車場からココまでは道路に雪が積もっていなかったが、登山口から山頂を仰ぎみると一面の雪景色になっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『さ、これで準備完了!リンは雪山登山って初めてでしょう?
慌てずにゆっくりアタシの後ろからついてくるのヨ♡』

登山口周辺にはアイゼンを販売している店があったので、2人はソレを購入して準備を整えた。
私は雪山登山もアイゼンなるモノを装着するのが初めてなので、眞知子サマが懇切丁寧に教えてくれた。

『そうそう、100m歩くたびにキスするのは忘れないでネ♡』

――こンなトコに来てもバカップルですか・・・(*/∇\*)

普段は明るい空の下でイチャイチャするコトが憚られる2人なので、こうして見知らぬ土地に来たトキの眞知子サマはとてもイキイキとして嬉しそうに笑っている。

私が自宅を飛び出してからもうすぐ2年が経とうとしているが、相変わらず2人の関係は誰にも秘密だった。
2人での買い物は自宅から離れたスーパーにしか行くコトができず、繁華街を歩くトキや電車に乗るトキはいつも人目を気にしていた。
2人が人目を憚らずに太陽の下を並ンで歩けるのは、旅行などの見知らぬ土地でしか有り得なかった。

――どンな場所でもこうして2人で歩ける日が、いつかは来るのだろうか・・・

私は土・日以外はいつも1人で寝ているワケだが、1人でいる時間が1年半を超えたあたり、つまり昨年の夏が終わるころからこンなコトを考えるコトが多くなってきた。
秋の終わりごろにはついにその思いが膨れ上がり、1度は眞知子サマに口答えをしようとしたが、結局はウヤムヤのままに歳を越してしまった。

へたり込み

『ダ・ダメェ・・・もぉ歩けない・・・』

――プっ!なぁンや、クチほどにもない・・・

モノの30分も歩くと、眞知子サマは息が上がって道端にへたり込んでしまった。

「だ、大丈夫ですか?慌てなくてもイイですヨ。ゆっくり登りましょう」

私は笑顔で励ましながら眞知子サマの回復を待った。

私がいくら雪山登山の初心者でも、これでもれっきとした格闘技の黒帯だ。
夜の商売で不摂生ばかりしている眞知子サマと違って、肺活量は6,800ccもあるので、体力と持久力には自信があった。

が、しかし、負けず嫌いの眞知子サマにはそンなコトはおくびにも出さず、しばらくすると立ち上がった眞知子サマの腰を優しく抱きながら歩き出した。

「大丈夫ですか?しンどくなったらまた休憩しますから、無理せずに言ってくださいヨ」

眞知子サマは激しい息遣いのまま無言で歩き続けた。
私はほとんど汗をかいていないが、眞知子サマはこのクソ寒い中で大汗をかいていた。

「無理しないでくださいヨ。イザとなったら私が背負って歩きますから」

『ム、ムリよぉ!だって、アタシ最近肥ったモン・・・』

「ははは。大丈夫ですヨ! 私は60kgくらいなら普通に背負って歩けるンです。
自衛隊の選手だって投げ飛ばしたコトあるンだから、眞知子サマなンて羽毛みたいなモンですワ♡」


稜線

『はぁい、お弁当!アタシの手作りよぉ♡』

なンだかンだ言いながら、眞知子サマは自力で頂上まで歩き続けた。
ソコはソレ、やはりそこいらの小娘とは根性が違うので、一度はへたり込ンでしまったものの、その後は一度も休まずに歩き続けた。

――このあたりが並みの女性とは違うトコやなぁ。
やっぱりオレが憧れて好きになったヒトやわ。

汗まみれの顔を拭きながら、私の前でにこやかに微笑む眞知子サマを見ると、自然と私の顔も綻びだした。

「めっちゃ美味しそうですネ、このお弁当!」

『さっきはごめんネ。
アタシを支えながら歩いたから、しンどかったでしょう?
おなかも減っただろうから、たくさん食べてネ♡』

「いやいや。道場で汗まみれのオトコ相手に2時間も練習してるコトを思えば、眞知子サマとぴったりくっついて歩けるなンて天国と地獄の差がありますヨ♡」

『そぉ!ありがと♡』

――太陽の下でこうやって眞知子サマと笑顔で食事できるなンて、それも眞知子サマの手作り弁当を食べれるなンて、ホンマ夢のようやなぁ・・・・

私は眞知子サマの作ったおにぎりを頬張りだしたが、なぜか涙がこぼれだした。
好き合った2人が大空の下で食事をする、そンな当たり前のコトが普段は出来なかった。
こンな平凡な幸せが、とても得難い幸せに感じられた。

『どうしたの?おなかでも痛いの?』

そう尋ねた眞知子サマの眼も少し赤かった。
おそらく同じ想いだったンだろう。

――こンな幸せがずっと続けば良いのになぁ・・・・

私は晴れ渡った空の下にある、美しく雪化粧された山を見ながらそう願ってみた。
しかし、その願いがかなうコトは永遠に無かった。



つづく

すんません。
今回はエッチシーンは無しでした<(_ _)>

『あ、起こしちゃった?
ウフ♡
リンったら、寝てても立派ネ♡』

下半身に重みを感じたので眼を開けると、そこには全裸の眞智子サマが跨っていた。
私のモノも暖かくて柔らかい感触がするので、どうやらもう中に入っているようだ。

――――や、ヤられた(≧∇≦)

以前は旅行先で私が先に酔い潰れるとよく寝込みを襲われたが、この1年くらいは絶えて無かったコトなので、すっかり油断していた。

眞智子サマの調教のせいで、私は1年前からとうとうドライで逝けるようになり、それからは射◯の回数を少なくさせられた。
◯精で逝く快感は一瞬だが、ドライのソレは女性のソレに似ていて、逝ったあとは体中が痙攣して動けなくなる。

眞智子サマは私が涙目で痙攣してる姿が好きなので、この半年は前より後ろで逝かされる方が多かった。
ところが、寝ている間に後ろを犯すのは難しいようで、寝込みを襲われるのは久しぶりだった。

『リンを独り置き去りにしたみたいで辛かったの。
ソレに、さっきはリンだけが逝って、アタシはまだだったから疼いてきちゃったの♡
さ、起きたのなら激しく動きなさい!』

――――敵わないなぁ・・・

眞智子サマは私に動けと言いながら、自分でどんどん激しく動いている。
寝ていたアタマが動き出し、カラダの方にも感覚が戻ってきたのか、私はそろそろ限界になっていた。

あ・・・・・・!

・・・・・・・・・・・・・・・

『だってネ。
リンはアタシに尽くしてくれるケド、最近はよく淋しそうな眼をしてるでしょう?
アタシだってリンとずうっと一緒にいたいケド、子供がもう少し大きくなるまでは我慢してネ♡』

――――私は自分の家族を捨てさせられたンだけど・・・

一瞬そンな思いがアタマを過ぎったが、慌ててその思いを打ち消した。
しかし、眞智子サマは私のその表情を見逃さなかった。

『ナニ?リンはアタシのコト恨ンでるの!』

――――ああ、恨んでますとも!
自分で食べられない食材をずっと見続けて、ソレをいつもカゴから袋に入れ替えて、両手いっぱいに持っているンです。
その料理は家族が集まる明るい食卓で食べられて、私は独りでコンビニの弁当を貪っています。
不公平極まりないです。

私はクチに出して言いたかったが、「ああ、」の声の後はコトバにならず、とうとう泣きじゃくってしまった。

――――言っても仕方ないコトは言うべきじゃない。
眞智子サマはこうやって心配して夜中に来てくれたンだ。
それだけでも愛人の身分としては上等な扱いだろう。

私は自分にそう言い聞かせて、どうにか堪えるコトができた。

『ほらぁ!やっぱり!
リンも淋しかったンでしょう?
ごめんネ、置き去りにして♡』

眞智子サマはそう言うと、私を優しく抱きしめてくれた。
その気持ちが嬉しかったせいかまた涙が溢れてきたが、さっきの涙とは違ってココロが暖かくなっていた。

『明日の夜、あ、もう今夜だネ。今夜はお店の突き出しにアタシの手作りロールキャベツを出すのヨ♡
さっきまでお家で仕込ンでたンだ。
リンはいつも羨ましそうに見てたから、今夜はアタシの手料理をご馳走してあげる♡』

――――やっぱり、全部お見通しか・・・


つづく