ここは毎週水曜日と土曜日の2回、必ず買い物に来るスーパーだ。
買い物の内容は眞智子サマの家族の食料品で、いつも3日分くらいをまとめ買いしている。
この買い物は、眞智子サマとの付き合いが始まった頃からずっと続いているので、店員はきっと私達のコトを夫婦だと思っているだろう。
店内に入る前から手を繋いでいて、店内でもずっとイチャイチャ、ベタベタしているし、売場の角では必ずフレンチキスをしている。
今は4回目の角を曲った時に私がキスを忘れたので、眞智子サマから叱られているトコロだ。
「いや、あそこのコーナーに玉ねぎの特売があったので・・・
毎週金曜日はカレーでしょ?
そろそろ玉ねぎがキレる頃ですヨ」
もう2年以上も一緒に買い物をしていると、眞智子サマの家族の好みや料理のバリエーション、ついには食材のストックまで覚えるようになってしまった。
『あ、ホントだ。ありがとう!
でも、ソレとキスは別のお話ヨ。
だから、2回してネ♡』
店内でイチャイチャするのは心から嬉しいコトなンだが、この買い込んだ食材で作る料理は眞智子サマの旦那が食べるモノだと思うと、そのたびにやるせなくなる。
でも、そンな想いを少しでも表情に出せば眞智子サマはスグに見破るので、出来る限り考えないように努力して常に笑顔を心がけている。
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『今日はリンがお料理のレシピを考えてくれたから、買い物もスムーズに終わったワ♡
だから、いつもよりたっぷり可愛がってあげるネ♡』
買い物が終わった後は2人の部屋で2時間ほど過ごすのだが、今日は私がネットで仕入れたレシピを提案したので、いつもより長く一緒にいられそうだ。
『そうそう、さっきドラッグコーナーでこンなの買っちゃった。一度リンに試して見たかったの♡』
――――な、ナニ?綿棒?
『尿◯責めって知ってる?
この綿棒にローションをたっぷりつけて、◯道に入れるのヨ♡』
――――そ、そンな・・・
『だ~いじょうぶ!
最初は優しくしてあげるから♡
そうだ!前に綿棒と後にバ◯ブの両方挿したらどうなるのかな?ウフ♡』
あ・あ・あ・あ~‼︎
・・・・・・・・・・・・・・・
私は未知の快感で半ば意識朦朧としていたが、フイに眞智子サマのケータイが鳴ったので眼が覚めた。
『え?あ、そうだった!?
ゴメンゴメン、ゴメンね!
じゃ、ママはスグに帰るから』
――――誰?
電話口から子供がむずる声が聞こえたような気がする。
『ごめんネ、リン。
いつもお母さんに◯◯(子供の名前)を預かってもらってるンだけど、今日はお母さんに用事があるから早く帰るハズだったの。
悪いケド、今日はコレで帰るネ』
――――ああ。私のタメにお子さんに淋しい想いをさせているンだ。
私の存在が眞智子サマの家族に不幸の影を落としているコトを思うと、自責の念で胸がキリキリと痛む。
「ご、ごめんなさい、私の所為で。
あ、後片付けは私がしますから、眞智子サマは早く迎えに行ってください」
『リンは悪くないのヨ。
でも、ゴメンね。今日は急ぐから。
夜に抜け出せたらまた来るから♡』
眞智子サマはそう言うと、急いで身仕度を整えて足早に帰って行った。
私は何度も絶頂を迎えた後なので、しばらくは動けなかった。
ベッドの上にはローションまみれで息も絶え絶えとしている私がいる。
その周りには私を弄ぶタメの様々な道具が散乱していて、スイッチを切り忘れたバ◯ブがまだ鳴っていた。
――――この瞬間が一番辛いなぁ・・・
さっきまでは愛情たっぷりに可愛がってもらって、身もココロも溶けるような想いだったが、所詮は愛人の身。
私は眞智子サマの欲求を満たすダケの愛玩動物で、一番大事なモノは眞智子サマの家族だ。
解っているとは言え、こうして置き去りにされると耐えようもない寂寥感が襲ってくる。
――――どンなに憧れても、どンなに愛しても、報われる日は決してやって来ない。
いつまでこの生活、性活? が続くンだろう・・・
身動きが取れない状態で天井を見つめていると、涙がとめどもなく溢れてきた。
・・・・・・・・・・・・・・・
『もぉ!リンったら。だからって拗ねなくってもイイでしょう!』
――――そ、そンなワケでは・・・
風呂に入った後にコンビニへ夕食の買い出しへ行き、今はチビチビと独り晩酌をしていたが、突然 眞智子サマから電話があった。
もう午前0時を回っているのに、眞智子サマは今からこの部屋に来ると言う。
帰り際が良くなかったので、眞智子サマはそのコトに気が済まなかったようだが、時間が遅いので今夜はもうイイと断った。
私はさっきのコトは気にしてないと伝えたが、ついお子さんのコトに触れたのが癇に障ったようだ。
『だから、謝ってるじゃない!
アタシは子供も大事だけど、リンのコトも大事なの。』
――――だから、私も拗ねてるンじゃないのに・・・
眞智子サマは夜の仕事だから寝るにはまだ早い時間だ。
感覚的には普通のヒトの夕方と同じくらいだろう。
しかし、私は普通のサラリーマンなので、平日のこの時間はもう寝ても良いころだ。
それに、不動産会社はたいてい水曜日が休みなので、明日 木曜日の朝は仕事が山積みのように入ってくる。
「あ、あのう・・・
わ、私、明日は早く出勤しますので、もうそろそろ寝たいンです」
ガチャ!
眞智子サマは堪り兼ねたのか、勢いよく電話を切ってしまった。
こうなるといくら言い訳をしても無理なので、たぶん明日の夜はキツいお仕置きになるンだろう。
私は大きく溜息をついたが、過ぎたコトを考えてもしょうがないので今夜は寝る覚悟を決めた。
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『あ、起こしちゃった?
ウフ♡
リンったら寝てても立派ネ♡』
つづく