青 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。

 

なぜ信号機の「緑」を「青」と言うのでしょうか。それはもともと古代日本には「緑」という言葉がなかったからです。

 

そもそも日本には色を表す言葉としては「黒」「白」「赤」「青」の四色しかありませんでした。これらの色は空の色を表す言葉が語原となっており、「黒」は夜の暗闇の暗さを表す「暗し」「白」は昼間のハッキリ見える空を表す「白し」「赤」は朝日が出て明るくなる「明かし」そして「青」は日の出前の淡い空を表す「淡し」が元になっていると言われています。日本書紀にもこの四つの色しか出てきません。つまり古来日本には黒と白以外の色を表す言葉は「赤」と「青」だけしかなく、黄橙赤紫はすべて「赤」青緑はすべて「青」と言ったのです。しかし538年頃の飛鳥時代になると仏教が伝来し、その法衣の色などから「黄」や「紫」の言葉が生まれました。そしてこのころから「赤」が細分化され「黄」「紫」などとなりました。

 

では、いつ「緑」という言葉が生まれたのでしょうか。それは飛鳥時代から千年以上経った江戸時代後期、染め物の技術が発達し、様々な色の着物が作られるようになると、あきらかに「青」ではない着物を「青」と表現するのは不便だということから、当時みずみずしいという言葉から「緑」という言葉が生まれました。しかし他の色と比べて千年以上も遅れて誕生した「緑」はなかなか世間に浸透しませんでした。その証拠に、明治時代になってから輸入された林檎はあきらかに緑なのに「青林檎」と名付けられ、同じく昭和5年に導入された信号機もあきらかに緑なのに人々から「青信号」と呼ばれるようになったのです。

 

 

▶︎こどもみりん。