東京府が「東京都」に変わったのは戦時中のことでした。それまで東京府には東京市と他の四つの地域から出来ていました。しかし東京市の人口が増加し税収が増えることで東京市は力を付けていきます。その結果、東京市長と東京府知事の対立が起き首都での二重行政が国を悩ませることになりました。しかし当時は戦時中、一致団結して戦わねばならないときに大日本帝国の都で対立が起きているのはいかがなことか。そこで対立を取り除く意味もあって東京都ひとつに統一されることになったのです。
東京都にあって他の県にないものがあります。それは「区」です。これを「特別区」と言います。京都府や大阪府や横浜市にも区はありますが、それぞれの区に区議会があるのは東京都だけです。東京以外の区は単なるエリアですが、東京都の区には区議会があり独立した行政機関なのです。
各県では固定資産税や法人住民税などの税金は市町村に入りますが、東京都の場合は区ではなく、都に直接入ります。たくさん税金が入るので東京都は一元的にいろんなことが出来るようになります。その代わり本来市町村がやることを東京都が肩代わりしなければなりません。消防、水道、交通、公立病院、公立学校、大規模な都市計画などです。首都東京だからこそ、区の対立などで都市計画がなかなか進まないということがないよう都だけが特別な仕組みになっているのです。