「ニューシネマパラダイス」というイタリア映画があります。
日本でロードショー公開されたとき友達が、
「これお前のための映画じゃないか」
と言ってくれたので見に行きました。
イタリアのある田舎の映画館を舞台に、
映写技師の老人と映画好きの少年との、
友情を描いた心あたたまる物語でした。
僕の実家も田舎の映画館だったので、
共通点がたくさんありました。
たとえば当時の映画館は、
フィルムを映写機にかけて映写していました。
直径30センチくらいのアルミ缶にフィルムを入れたもので、
だいたい10分くらい上映出来ます。
それが10缶くらいでで映画1本分になります。
当時、2本立て3本立ては当たり前でしたから、
隣町の映画館と提携してフィルムのやりくりをします。
これを「かけもち」と言います。
映画では自転車でフィルムを運んでましたが、
うちの親父はバイクで運んでました。
田舎の映画館でしたから、東映、日活、松竹、大映と、
4つの映画会社の映画を上映してました。
ちなみに東宝の映画を上映してる映画館は、
ビルの5階にありました。
従業員用のエレベーターがなかったので、
ここと提携するには、
重いフィルム缶を抱えて階段を登らねばなりません。
ゆえに親父は東宝とだけ提携しませんでした。
子供のころの僕のお気に入りは、
東映の時代劇と日活の無国籍アクション。
もし、幼いころに東宝の黒沢明監督作品を見ていたら、
もうちょっと聡明な大人になっていたかも知れません。
▶︎二子玉川