「男はつらいよ」の撮影に喜劇俳優の方が参加すると、
みなさん決まって何か面白いことをやろうとしたそうで。
そりゃそうでしょう、誰だって渥美清という俳優と、
張り合いたいと思うのは当然のことです。
しかし、そういうとき山田洋次監督は、
けっしてそれを許さなっかったそうです。
でも、渥美さんにだけは自由に演じることを許していたとか。
この信頼感はなんなんでしょう。
渥美清さんがあるインタビューで、
「寅がやらないことはやらない」
とおっしゃっているのを聞いたことがあります。
これ凄いことです。
きっと渥美さんのことだから、
寅がやらないギャグもやっちゃえば、
もっとたくさんの笑える場面を作ることが出来たでしょうに。
でも、それでは人間、寅次郎ではなく、
コメディアン渥美清になってしまう。
あの時代にそれがわかって演じていらっしゃる。
それが凄い。
▶︎みりん