新美南吉の児童文学です。
両親のいない子ギツネのごんは、
村にやってきては悪戯ばかりして村人を困らせていました。
ある日、ごんは平十が川で捕った、
魚やウサギを逃がしてしまいます。
それから十日ほど経って平十の母親の葬列を見たごんは、
あのとき逃がしたウサギや魚は、
平十が病気の母親のために捕ったものだと知って後悔します。
それからごんはウサギを逃がした償いのつもりで、
毎日、栗や松茸を平十の家に届けます。
しばらく経ったある日のこと、
ごんが家に忍び込んだことに気づいた平十は、
ごんがまたいたずらに来たのだと思い鉄砲でごんを撃ちます。
ところが平十がごんに近寄ってみるとそこには栗や松茸が。
このとき初めて平十はごんのやさしい気持ちに気づきます。
「ごん、おまえだったのか、いつも栗をくれたのは?」
と問いかける平十に、目を閉じたままごんはうなずきます。
新美南吉の初期原稿では、
このあと「ごんはうれしかった」と続くのですが、
子供たちにごんの気持ちを考えてもらいたいと思い、
その一文をあえて削除したんだそうです。
味わい深い作品です。
▶︎みりん