10年以上も前のテレビバラエティで、
有名人の奥様ばかりが集まって、
ワイワイやってる番組がありました。
一般のミセスも参加して自分の体験談を話すのですが、
ある中年女性が自分の人生を語ったとき、
他の女性たちから総スカンを食ったことがありました。
彼女は若い頃に黒人の米兵と恋に落ち、
彼の子供を身ごもるのですが、
彼には本国に妻子がいて、
けっきょく彼女と子供を捨てて帰国してしまいます。
そして、彼女は現在も、
別の黒人の米兵と暮らしているのですが、
今の彼にも本国に妻子がいるらしいのです。
しかし、彼女は「今度の彼は大丈夫、
わたしは今ても幸せです」
と主張します。
他の奥様たちは彼女に向って意見します。
「目を覚ましなさい」「あなた騙されてるわよ」
攻められれば攻められるほど、
彼女もムキになって反論します。
しかし、彼女の味方をしてくれる人は誰もいません。
議論が白熱して収拾がつかなくなってきたその時、
番組は彼女の生い立ちの再現ドラマを流しました。
幼い頃、大好きな父親がある日突然蒸発してしまい、
彼女はずっと父親の愛に飢えて生きて来ました。
その後も、不幸続きの彼女の人生。
今の彼に望みをかけて、幸せにすがりたいと願う、
彼女の心情が痛いほど理解出来ました。
再現ドラマを見終わった奥様たちの中で、
彼女を責める人はもう誰一人いませんでした。
人が怒ったり泣いたりするのには理由があります。
この番組のおかげで、人間を演じるとき、
その人物の「理由」を見つけてあげることが、
とても大事なんだと気づかされました。