ビリー・ミリガン | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


彼は、1977年にオハイオ州立大学キャンパス内で、

3人の女性に対する連続強姦及び、

強盗の容疑で逮捕されました。

裁判を控えた弁護士との打ち合わせの際、

自分はビリーではない、
ビリーは眠っていると証言したことから、

彼が多重人格者だということがわかります。

その後、調べていくうちに、デイヴィッド、ダニー、

トミー、アレン、同性愛者のアダナラ(女性の人格)

イギリスなまりの男アーサー、レイゲンなど、

合計23人の人格を持っていることが明らかになりました。


元々の人格であるビリーは小さい頃、実の父親が自殺、

その後、義父に縄で縛られ吊るされるなどの身体的虐待や、

挿入を含む性的虐待を受けていました。


人間は(特に幼児期に)繰り返し、

強い心的外傷(トラウマ)を受けた場合、

自我を守るために、その心的外傷が、

自分とは違う「別の誰か」に起こったことだとして

記憶や意識、知覚などを、

高度に解離してしまうことがあるといいます。

そうして成人してからも、

心的障害を受けるたびに「別の誰か」に成り代わり、

それが終わると「元の自分」に戻って、

日常生活を続けるというのです。


事件後、精神医学者による治療が行われ、

彼の人格は長い年月をかけて安定していきますが、

周囲の反対を押し切って結婚した女性との破局や、

彼の身を自由にすることに対してのマスコミの避難によって、

一時期彼の人格は再び追い込まれてしまいます。

しかし、その後24人目の人格「教師」と名乗る男が生まれ、

精神医学者は、彼が最も本来の人格に適していると結論づけ、

彼を本来の人格としました。


ビリー・ミリガンは現在は名前を変え、

優れた美術センスがあったことから、

カリフォルニアで映画監督として普通に生活を送っています。

しかし、彼は未だ「自分は多重人格だ」と証言していて、

今は他の人格を自身がコントロールしているだけだと、

話しているのだそうです。


人間の心の不思議、脳の神秘、

俳優、演出家としてとても興味深い事例です。

最後に彼に関するドキュメントの中で、

彼が人格を交代する瞬間を紹介しておきます。


目がうつろになる。

これは先ほどまでの人格が心の中に戻って行った状態。

口が動き何かを喋っている。

これは数人の人格たちが相談している状態。

うつろだった目がはっきりとし辺りを見回す。

別の人格が現れた状態。



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