ちなみに「お茶子(おちゃこ)」というのは、
関西独特の言い方で、
寄席や芝居小屋で、
芸人や役者の世話をする人たちのことです。
高座では座布団を、
ひっくり返したりすることもあったようです。
当時、祖父の映画館ではこのお茶子さんが大勢いて、
売店でお菓子や飲み物を売ったり、下足番をしたり、
館内のいろんな仕事に従事していました。
「お煎にキャラメル~」
という売り声が懐かしいですね。
尾道市には「かんざし灯籠」という伝説があります。
江戸時代の末期、尾道の芝居小屋に、とても美しい、
しかしどこか寂しい影のあるお茶子さんがいました。
そのお茶子に浜問屋の若旦那が恋をします。
しかし身を飾るかんざしひとつない、
みすぼらしいお茶子の姿を見た両親は、
けっして二人の恋を許してはくれませんでした。
世をはかなんだお茶子は井戸に身を投げ命を絶ちます。
そして幽霊となって大銀杏の下に出るようになりました。
娘は夜な夜な悲しい声で、
「かんざしをください」と訴えていたそうです。
そんな薄幸の娘の哀れを慰めるために、
心ある人々がお金を出し合って、
八坂神社に灯籠を奉納しました。