集中 | 田窪一世 独白ノート

田窪一世 独白ノート

ブログを再開することにしました。
舞台のこと、世の中のこと、心の中のこと、綴っていきます。


「集中」という言葉を聞いて、

僕たち日本人は「精神統一」とか、

どちらかというと内側へ向うイメージを持ちます。

ところが西洋人に集中しろというと、

それは「相手」に向うことになるんだそうです。

つまりジャングルや森の中で、

敵に対して向かい合うというイメージらしいんですね。

ここに狩猟民族と農耕民族の大きな違いを感じます。


基本的に日本の演技は個人プレイです。

それに比べてアメリカの演技はチームプレイだと思うのです。

歌舞伎なんかでも、誰かが台詞を喋っているときは、

他の役者はお休みって感じですが、

彼ら西洋人にとって相手役は対戦相手なんでしょうね。

相手は敵ですから油断出来ない。

だから相手をじっと見つめる。

相手の喋っていることをしっかりと聞く。


アクターズスタジオ・インタビューで、

司会者の「俳優にとって大事なことはなんですか?」

という質問に、ほとんどの俳優が、

「相手の台詞を聞くことです」と答えていました。

最初聞いたとき、とても意外でショックでした。

この民族の違いは大きいです。

彼らの演技論は素晴らしいけれど、

ちょっと鵜呑みには出来ません。

同じ感覚で見たり聞いたりすることが出来ない以上、

まったく異なる歴史と文化を持つ僕たち日本人は、

たぶん僕たちに合った、

チームプレイの方法を探す必要があるんだろうと思うのです。



▶︎市ヶ谷