「集中」という言葉を聞いて、
僕たち日本人は「精神統一」とか、
どちらかというと内側へ向うイメージを持ちます。
ところが西洋人に集中しろというと、
それは「相手」に向うことになるんだそうです。
つまりジャングルや森の中で、
敵に対して向かい合うというイメージらしいんですね。
ここに狩猟民族と農耕民族の大きな違いを感じます。
基本的に日本の演技は個人プレイです。
それに比べてアメリカの演技はチームプレイだと思うのです。
歌舞伎なんかでも、誰かが台詞を喋っているときは、
他の役者はお休みって感じですが、
彼ら西洋人にとって相手役は対戦相手なんでしょうね。
相手は敵ですから油断出来ない。
だから相手をじっと見つめる。
相手の喋っていることをしっかりと聞く。
アクターズスタジオ・インタビューで、
司会者の「俳優にとって大事なことはなんですか?」
という質問に、ほとんどの俳優が、
「相手の台詞を聞くことです」と答えていました。
最初聞いたとき、とても意外でショックでした。
この民族の違いは大きいです。
彼らの演技論は素晴らしいけれど、
ちょっと鵜呑みには出来ません。
同じ感覚で見たり聞いたりすることが出来ない以上、
まったく異なる歴史と文化を持つ僕たち日本人は、
たぶん僕たちに合った、
チームプレイの方法を探す必要があるんだろうと思うのです。