統合失調症の方が詐欺被害に遭う。 | 重度訪問介護の地域格差をなくす 平等なサービスを

重度訪問介護の地域格差をなくす 平等なサービスを

在宅介護の要、重度訪問介護の地域格差がなぜ生じるのか、制度の欠陥を正し、平等なサービスがどこでも受けられるようにしなければなりません。この問題を多くの方に知ってもらいたいため、このブログを開設しました。

 統合失調症はかつて精神分裂病という呼び名だったが、あまりに差別的な表現だとして家族会連合会の訴えで病名を改めたのが2002年の事だ。

 

およそ100人に1人が罹患すると言われ、決して珍しい病気ではない。

 

しかも発症時期が比較的若い世代(10~20代)で、現状では完治することはない。

 

薬物等で治療を行いながら、長い年月をかけて寛解になれば良好という厄介な病気だ。

 

症状は様々だが、幻聴や妄想が特徴的で、治療しなければ社会生活が大変難しくなる。

 

以前、ネットニュースやテレビの番組で、患者さんを医療機関につなげている探偵会社があると話題になった。

 

その会社は広島にあり、依頼者の中に統合失調症を患った人が多かったことがきっかけだという。

 

探偵というと、浮気調査が主な仕事というイメージを受けるが、統合失調症患者が相談する理由は、盗聴されている、電磁波攻撃を受けている等が多いとのことだ。

 

盗聴器を仕掛けられているという場合に、実際に調べても何も出てこなくて、結果を伝えると納得せず、別の所に相談し、そこに何十万、何百万とお金を支払っているという話を聞いたことがきっかけになったそうだ。

 

盗聴の苦しみから解放されるなら安いということだろうか。

 

そういう話を聞くたびに、何とか医療機関につなげたいと思うようになったそうだ。

 

しかし、あなたは統合失調症だから病院に行きましょうと連れて行くのは大変なことだ。

 

実際に医療につなげたのは全体の2~3割だという。

 

精神疾患のある人をカモにして成り立っているのは探偵会社以外にも多く、そもそも盗聴器の調査に決まった値段があるわけでない。

 

リフォーム業者に壁を張り替えれば電磁波攻撃を防げます、と言われてその通りにしている人もいるという。

 

被害を受けているのに、カモにされている人たちが納得してお金を払っているので、問題として表に出にくいのだという。

 

この広島の探偵会社は、同業者から好ましく思われていないらしいが、この様な問題が起こる背景には、社会の無関心があると思う。

 

病気の発症が思春期に多いのにも関わらず、その年代の若者にどれだけ理解されているのか。

 

うつ病の方に頑張れと言ってはいけないと、最近はいろいろなところで聞くようになったが、うつ病そのものを怠けているのだと言われたとの話もまだまだよく聞く。

 

慢性疲労症候群なども、訴えが理解されずに医療機関を点々として、病名が確定するのに10年かかったというケースも少なくない。

 

精神疾患があると分かると急に態度が変わり、満足に診察もしない医師の話もよく聞く。

 

精神疾患は、偏見と差別との戦いであり、治療せずにいる患者も多い。

 

医療が受けやすくないから、放置される患者が出て、詐欺被害に遭っていても救われることもない。

 

酷い世の中だが、医療と何の関係もない業種の方が、精神科への受診を勧めていることがニュースになる。

 

福祉業界にいる私も、大いに考えさせられる話だ。

 

実際患者さんを訪問することもあるが、盗聴器の話はよくあることだ。

 

お前が仕掛けたのだろうと言われたこともあるが、冷静に対応し、相手の不安を聞いてあげると落ち着かれることが多いが、正直冷や汗が出る。

 

対応が難しいが、訴えを真摯に聞いて、生き辛いこと、苦しんでいることを理解しようとしないかぎり前に進まない。