東北応援ツアーその8~津波被害をみる、閖上地区 | Looking Back , Moving Forward

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10月28日( 「津波被害をみる、閖上地区

<東北応援ツアー

その1 
弱き若者が被災地へ向かえたキッカケ

その2
郡山から喜多方へ~朝霧の中で

その3 
喜多方ラーメンと酒蔵のじいちゃん

その 
元ヤン夫婦と食べる2杯喜多方ラーメン 

その5   風評被害のリアル現場 

その6   白虎隊と会津の夜   

その  武家屋敷・鶴ヶ城・渋川問屋  


昨年末から書き始めた被災地を中心に東北を訪れた際の旅行記です。
10月に訪れたので時間は随分と経ちましたが、ゆっくり書き記していきたいと思います。

※東北応援ツアーとは

被災地に実際に足を運び、被災者の方との交流を通して学ぶ。
その中で少しでも活性化に貢献するという趣旨のもと、立命館大学が主催した復興支援事業の一つである。東北に住む校友(卒業生)の力をお借りして成り立っている。


では前回の続きから・・・

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photo:07


一同は渋川問屋を出発し、郡山駅へ向かう。
濃密スケジュールだったため、私を含めバスの中は寝静まっていた。

郡山駅で解散となり、今回の東北応援ツアーでお世話になった方へお礼の挨拶。
目上の人への挨拶は儀式的なものが多くて苦手だが、この時ばかりは自然と身体と喉が動いた。


さて、そこから私には向かう場所があった。
宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区。

東日本大震災で深刻な津波被害を受けた場所である。

閖上地区には平野が広がり、付近に避難できる高台などがほとんどない沿岸部特有の地形をしている。
おそらく震災前は見晴らしの良い光景が広がっていたのだが、その地形ゆえに大惨事の舞台となってしまった。閖上地区の住民の約1割が亡くなっている。


駅から閖上地区まではかなり距離があるとのことで、当初は「語り部タクシー」を利用するつもりでいた。
※語り部タクシーについてご存じない方は、その理解も込めてご自身で調べていただきたく。

しかし、今回のツアーで仲良くなった歳の近い方(以下、Hさん)が連れて行ってくれると言う。
宮城出身で震災後はボランティアなど精力的な活動をされているHさんは、車で郡山まで来られるそうで帰り道に乗せて案内をしていただいた。何ともありがたい話だ。

その場所へ近づくにつれてあたりの風景は変わってくる。
何も考えなければ何食わぬ日常風景であるが、よく見ると仮設住宅が点在している。

更に沿岸部へ近づくとまるで風景が変わった。
そこにあるはずのほとんどのものがない。
家、木、電柱。
なぜか頑丈なガードレールだけが見たことのない形状をしてあの日のまま残っている。
グニャグニャ、という表現では甘い、何とも言い表せない姿。

瓦礫撤去はほとんど終わっており、いわゆる瓦礫の山のようなものは見当たらなかったが、まだまだ車やよくわからない大きく使いものにならない機械が多数、視界へ飛び込んできた。

時は夕刻を過ぎ、あたりは暗くなってきた。360度何もない。
たまに遠くに見える黒い物体は学校や工場であった。
そこはまるでゴーストタウンと化しており、人が住んでいる気配はない。光もない。

目の前に広がるのは、平野という名の絶望の景色だった。
皮肉にも何もないのでかなり遠くまで視界が広がる。
それはどこまでも続く平野でしかなく、ここに多くの住宅が建っていて多くの人が暮らしていたことを想像すると本当に恐ろしい。

テレビでは一部の切り取った視界しか映らないが、閖上の真ん中に立つとテレビでは伝わらないモノを感じる。どこを切り取っても何もない。そして何もないのに何かが襲ってくるような恐怖感を覚える。


昼間に来ることができれば閖上中学で行われているボランティア活動に参加したいと思っていた。
そこでは瓦礫に埋もれ、津波に流され全てが混沌となったモノの仕分けのボランティアが行われていると聞いた。
特に写真。家族ごとにまとめるという地道な作業が行われている。今はそういう形のボランティアがある。
遺体を探し、瓦礫を撤去し、仮設住宅や金を渡して終わりでは決してない。


閖上地区を後に、名取駅まで送ってもらい仙台へ向かった。
初めて訪れる仙台、ベタだが牛タン定食(利休)を食べ、代ゼミ前から夜行バスに乗る。
朝に京都に着き、午後から出社した。何ともハードな強行スケジュールは無事幕を閉じた。


今回車で案内してくれたHさんには本当に感謝したい。
Hさん自身も被災者だ。トンネルを挟んだ隣町は津波で壊滅的だったらしい。
Hさんはこうやって被災地を見に来てくれるだけでも嬉しいと言ってくれた。

今回東北へ訪れる時に決意していた想いがより一層強いものとなった。

自分が感じたこと・考えたことを身近な人はじめ多くの人に伝えよう


photo:08


(続)

※次の記事で被災地を訪れて感じたことを総括して終わりたいと思います。

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