宅建業法・自ら売主制限~講義速攻復習(水野塾5回目・スーパー合格Bの3回目) | 水野健の宅建・合格魂!養成ブログ

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本来、契約自由が原則ではありますが、売主が宅建業者、買主が宅建業者以外の者である場合、知識に乏しい買主が不利になるような契約をさせられる可能性があります。

そこで宅建業者が売主で買主が宅建業者以外の時の契約ルールを自ら売主制限と呼び、以下8つの項目について、宅建業者に規制をかけています。8つあることから8種制限と呼びます。

8つ何があるのかを思い出せるようにしておきましょう。

 

ちなみに

売主も買主も宅建業者(業者間取引)

売主が非業者で買主が宅建業者

売主も非業者で買主も非業者

の場合は自ら売主制限の適用はありません。

仲介業者が入っても同様です。

 

  自ら売主制限その1・クーリングオフ

一度契約した後、冷静に考えた結果「やっぱりやめる」と解除できる消費者保護の制度を言います。

ただいつでも解除できるわけではなく。

買主が冷静に判断できない場所で(宅建業のちゃんとしてない場所というイメージ)申込契約した場合という要件があります。

世の中のほとんどの場所がクーリングオフできる場所なので

クーリングオフができない場所を覚えてましょう。

 

  クーリングオフができない場所と出来なるなるケース

1宅建業者の事務所

2宅建業者の土地に定着した宅建士の設置義務ある案内所(モデルルーム)
※テント張りの案内所は土地に定着していないので、クーリングオフできる場所となります。
※専任の宅建士が、申込の時に不在でも上記案内所に該当する場所で、申込みをすれば、クーリングオフはできません。
3売主が媒介代理を依頼した宅建業者の事務所・案内所
4買主から申し出た場合の買主の自宅や勤務先
 
もしクーリングオフできる場所で申し込み契約した場合、
宅建業者から書面(電磁ダメ)でクーリングオフの出来る説明された日から8日を経過した時
買主が物件の引渡を受け、かつ代金全額支払ったとき
はクーリングオフできなくなります。

 

注意ポイント

☆クーリングオフ出来る場所かどうかは、申込みをどこで行ったかで判断します!

☆つまり、申込が事務所で契約は喫茶店の場合はクーリングオフできませんが

☆申込が居酒屋で契約が事務所であった場合はクーリングオフできます。

※問題文に申込・契約が別に書いてない場合は契約の場所で判断して下さい。

☆宅建業者はクーリングオフの告知義務はありません。クーリングオフの告知をしなければ買主はクーリングオフできなくなる起算点が始まらないので引渡し・代金支払いまでずっとクーリングオフできるからです。

☆宅建業者が買主の自宅に行くと申し出、買主自宅で申込をした場合はクーリングオフできることになります。

 

 

  クーリングオフの方法

クーリングオフは、書面でしなければなりません。電磁的ダメ!
そして、クーリングオフの効力は、書面を発した時(例・内容証明郵便を出した時)に効力が発生します。

理由は講義でお話した通りです。

 

  クーリングオフの効果

クーリングオフは無条件解除です。

ゆえに、申込金や手付金などの金銭は買主に返還しなければなりません。
そして、クーリングオフに対しての損害賠償請求や違約金の請求はできません
これに反する特約は買主に不利なものとして無効となります。

 

逆に買主に有利な特約は有効になる点は覚えておきましょう。

 

 

  自ら売主制限その2・手付金の制限

手付金は契約の際に最初に払うお金というイメージです。

民法では、手付にはいろいろ種類があり当事者が決められますが、覚えるべきは解約手付です。

解約手付は、買主から解約する場合、手付金を放棄して、売主から解約する場合、手付の倍額を返す(償還する)ことで契約解除が認める手付のことです。手付解除ができるのは、相手方が履行に着手するまでの間です。相手方が履行に着手したら、手付放棄や手付倍返しをしても、解除できません。ここまでは民法と同じです。

 

しかし、宅建業法では、売主が宅建業者で宅建業者でない一般消費者に売る場合は、

どう取り決めても手付は全て解約手付となります。

さらに自ら売主制限では、代金の10分の2を超える手付を受領してはならないとしています。
この理由は、手付を高額にすると、キャンセル(手付解除)しにくくなるからです。
手付の額が10分の2を超える特約については超える部分について無効となります。

全部が無効になるわけではない点に注意しましょう。

 

  自ら売主制限その3・手付金等の保全措置

 手付金とは、契約締結してから引渡し前の間に支払われるお金で、付金だけでなく中間金のように、最終的に代金に充当されるお金を言います。

 

手付金等の保全措置の概要

 

買主が契約締結に伴い、手付金を支払って契約した後、引渡前に宅建業者が倒産すると引渡しもしれもらえず、

手付金等が戻ってこない可能性があります。


その返金されないリスクを防ぐために、宅建業者は手付金や中間金を受け取る前に

返金をできるように全額返金するための保全措置を講じなければなりません。

 

しかし、保全措置が不要な例外を覚えましょう。

1買主に所有権の移転登記した場合

→ 所有権は買主になっているので、手付を保全する必要はないですよね!

2金額が少額の場合

未完成物件:代金額の5%以下かつ1000万円以下の場合

完成物件:代金額の10%以下かつ1000万円以下の場合

 

未完成か完成かは契約時点で決まります。

 

保全措置の種類(3種類)

〇銀行等による保証(銀行に返金の保証人になってもらう)保証委託契約を締結し、保証証書を、買主に交付する

〇保険会社で保険(返金するための保険に入る) 保険会社との間で保証保険契約を締結し、保険証書を買主に交付する

〇指定保管期間による保管(別のところに預けておく) 指定保管機関(保証協会など)に預かってもらう

※指定保管機関による保管は、完成物件の場合しか利用できません。理由から思い出せるようにしましょう!

 

 

  自ら売主制限その4・損害賠償額の予定の制限

債務不履行などにより、損害賠償が発生した場合、損害賠償額は請求する方が証明する必要があり大変です。

なので事前に損害が発生した場合、いくらと決めておくことを損害賠償の予定とか違約金として取り決めておくのです。

 

損害賠償額の予定等の制限

損害賠償の予定が高額になると、消費者は約束を破ったと言っても困ります。
そのため、損害賠償の予定額の上限を決めることで、消費者を保護することを考えました。

損害賠償額の予定違約金を合わせて、代金の10分の2(2割)まで となっています。
万一、10分の2を超えて契約した場合は、超えた分が無効となります。

 

また、損害賠償額の予定を定めなかった場合は裁判等で証明した額となり上限はなく

実際の損額額の負担となる点に注意しましょう。

 

  自ら売主制限その5・自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限

民法では他人物売買は認められていますが、自ら売主制限では、

他人物や未完成物件を売買することは原則、禁止しています。

例外として、宅建業者が取得する契約(予約も含む)を締結している場合は、自ら売主として非業者に売買できます。

 

要するに売主の宅建業者の仕入れができていれば、引渡しや登記がなくても売っても良いと言うことです。

なので停止条件付契約はまだ仕入れができているといえないので、自ら売主として契約を締結することは禁止です。

 

逆に所有者と契約や予約をしていれば、宅建業者が非業者に停止条件付売買契約することは可能です。

 

  自ら売主制限その6・契約不適合責任の特約制限

引き渡されたものに、契約内容と異なる場合(欠陥がある等)に売主が負う責任を「契約不適合責任」といいます。

そして、買主は売主に対して、①追完請求、②代金減額請求、③損害賠償請求、④契約解除できます。

また、売主が「種類又は品質」に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合、

原則、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、責任追及できなくなります。

民法では、契約不適合責任を負わない特約も有効となります。

しかし、宅建業者が一般消費者に対してそんな無責任な売り方は認めず、宅建業法で契約不適合責任の特約に制限を加えました。

 

契約不適合責任の特約制限

宅建業法では、契約不適合責任の通知期間についてのみ「引渡しから2年」以上とする特約は有効としています。

それより買主が不利となる(短い)特約は無効とし、無効となった場合は、

民法に戻り通知期間は、「不適合を知った時から1年」となります

 

 

  自ら売主制限その7・割賦販売特約の解除等の制限

割賦販売とは、売主に分割払いで支払する契約です。住宅ローンは銀行からお金を借りて一括で売主に支払い、銀行に返済するものなので割賦販売とは異なります。

割賦販売において、買主が割賦金の支払がない場合、30日以上の期間を定めて書面で催告しそれでも払わない時でないと契約解除や残代金の一括請求はできません。

 

民法だと相当期間を定めてとなっていますが、非業者相手なので30日以上は催告して待ってあげて

電話とかだと本気度が伝わらないから書面でやれということです。

つまり、少しでも支払いが遅れたら、直ちに残代金を一括で請求することができるというような特約をつけた場合、

無効になります。

 

 

  自ら売主制限その8・所有権留保等の禁止

所有権を買主に移転せず、売主に留保しておくことを「所有権留保」と言います。

宅建業者が割賦販売を行った場合、原則、その物件を引き渡すまでに所有権を買主に移転登記をしなければなりません

 

しかしながら、1000万円の物件について、10万円しか宅建業者がもらっていないのに、所有権移転登記としろというのは宅建業者もかわいそうなので、宅建業者が受け取った代金が10分の3以下の場合は登記を移転しなくても良いです。

 

あと、代金の10分の3を超えて受け取っても、残代金について買主が抵当権や保証人を講じてくれないような場合は所有権移転登記する必要はありません。

 

なお、買主に所有権移転した後に譲渡担保として宅建業者に登記をするのは元も子もなくなるので禁止されています。

 

 

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