2022年 HIP HOUSEがキテいるという話 | DJ TAKI-SHIT の Music Saved My Life

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DTM、作曲、アレンジ、リミックスのノウハウ、音楽業界の動向、おススメの音源などを主に書いています。

こんにちは、DJ TAKI-SHITです。すっかり夏です。少し前からすでにめっちゃ暑いのにこれから8月なんですよねぇ...。まだこの猛暑が後一ヶ月あるのか、と思うと気が滅入りますが、夏は音楽をクルマで聴くとハマるので、良しとします。

 

さて、少し前にリリースされたビヨンセのシングル。これが驚くべきことに80年代の後半くらい90年代の初頭辺りにかなり流行ったHIP HOUSEサウンドなんですよね。

 



四つ撃ちの909のキックドラムのハウスビートにアングラ感のあるオルガンと少し下世話なくらいの煌びやかなシンセピアノの音色を使ったコードフレーズ。そしてシャウト系のサンプリングボイスという。そんな感じのトラックアレンジの中、平歌ラップ、サビが歌というのが、HIP HOUSEの定義と言って良いかと思います。

僕はクラブサウンドにハマるきっかけになったのがこのHIP HOUSEなんですね。中1だった'88は、世の中は猫も杓子もバンド!バンド!という熱狂的なバンドブームでした。どのくらいバンドブームだったかというと、それまで本気で質の高いサウンドを追及してきたバンドの方々がバンドをやっていることが恥ずかしくなってしまうくらいのブームさ加減です。僕も中学生だったこともあって、'88~'89年は完全にそのブームに乗っかってそれこそ知らないバンドはいないというくらい聞きまくっていたのですが、たまたま聴いた とある HIP HOUSEの曲で、ある日突然それまで聴いていたバンドサウンドに一瞬にして飽きました。

それがこの曲でした。


Technotronic - Pump Up The Jam


どこから鳴っているのかな、と思うくらいに深~い低域のベース音とお腹を撃たれるような909のキック音に完全にヤラレました。そこからはもう手のひらを返したように、あるいは、オセロが白から黒にひっくり返されたように、一切日本のバンドを聴かなくなって、クラブミュージック一辺倒になりました。'90年当時は、HIP HOPよりもHOUSEの流れがとても強くて、アメリカのラッパー達も流れに乗ってハウスでラップするというブームがあったんですね。まあそれをセルアウトって言われてしまう風潮もありましたが...。因みにこのTechnotronicはアメリカではなく確かベルギーのグループでした。

ということで、この2022年現在、ビヨンセがHIP HOUSEをやっているということで、僕の個人的に思い入れの深いHIP HOUSEの曲をご紹介したいと思います。


2 In A Room - Wiggle It


後に Strictly Rhythm レーベルの副社長となるGeorge Morel(プロデュース)の出世作です。909キックとスネア連打の跳ねるトラックに暴れ回るようにラップして、サビがノリノリ合唱系♪というのがキャッチーで当時本当によく聴いていました。ちなみMVを初めて見たのは、つい最近です。

続きまして、Numarx - Do It Good (Basement Mix)

まだCRYSTAL WATERSの「GYPSY WOMAN」を手掛ける前のBASEMENT BOYSプロデュースによる知る人ぞ知るHIP HOUSEクラシックです。今、聴いてもホントカッコイイですね!2022年の今だからこそ鮮度高いんじゃないでしょうか。


kc flightt – Planet E


元ネタがtalking headsですが、まさかのデビッドバーン本人出演というのもイイですね。タイトルの「Eの惑星」というのもあって、どこかブレードランナー的というか近未来感があることと、ニューウェーブをサンプルしたことで、なんともヘンテコな(笑)、"気持ち悪いけどクセになる"サウンドに仕上がっています。まさにサンプリングサウンドの面白さが詰まった1曲ですね。

こちらが元ネタ

Talking Heads - Once in a Lifetime 

 

 

betty boo where are you baby

こちらはイギリスのアーティストbetty boo。今見ても可愛いです。振り返るとセルアウトというワードがほとんどなかったヨーロッパの国々の方が商業主義的にHIP HOUSEサウンドをやっていたというのが多かったかもしれません。


続いて、ニューヨークのネイティブタンの代表的な3グループ

JUNGLE BROTHERS What "U" Waitin' "4"? (Love Ride and Orchestra Mix) (Tony Humphries Mix)


 

De La Soul - A Roller Skating Jam Named ''Saturdays'' (6:00 A.M. Mix)


 

Black Sheep - Strobelite Honey (David Morales Yes We Did Mix)



当時HIP HOPの12インチのシングルレコードを買うと、だいたい勢いのあったハウスDJのリミックスが収録されていました。僕は、当時DEF MIXのデビッドモラレスがとても好きだったので、LPヴァージョンとの違いが凄くあってワクワクしながらレコードに針を落としたものです。この3枚も全部レコード持ってましたが、どこかで売っちゃいましたね。。今の様なレコードブームが来るなんて、思わなかったですね...。


Tyree Cooper Turn Up The Bass 1989


これとかは、今回のビヨンセのシングルにかなり近いですね。

ということで、私 DJ TAKI-SHITの個人的に思い入れのある HIP HOUSEの曲をご紹介してみました。
ここ数年のシティポップブームもそうですが、歴史は繰り返す、ということで、一周回る、あるいは、3,4周回って、再評価されてまた同じようなムーブメントが起こるというのは、やはりありますね。まあ起こす、誰かが起こしている、といった方が適切かもしれません。商業音楽の場合、マンネリ化を防いだり、トップランナーが、これがカッコイイよ、と提示することで、それまでとは違ったアプローチが出来て差別化に繋がったりもしますしね。そうすると、フォロワーたちが一気にそれをやり出して、一大ムーブメントになっていくという。そういえば、ドレイクの新譜もハウスでしたね。今回のビヨンセのHIP HOUSEに火が付いたら個人的には面白いなと思います。アメリカで流行れば、少し経つと日本でも流行るので、1年後にはみんなHIP HOUSEやってるかも(笑)。そうなったら面白いですね。