厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を理解する/飲食店の分類(業種・業態)-5
1 飲食店の商品(負荷価値)とは
では、ゲストにとっての飲食店の付加価値サービスとはどのようなことであるのだろうか。なぜわざわざ高いお金を支払ってまで飲食店に行くのか。あるいは飲食店に何を求めているのであろう。
① 「おもてなしの心」
まず飲食業にとって大切な商品のひとつは「おもてなしの心」です。
良く飲食店の扉を開くと「いらっしゃいませ!」と気持ちの良い挨拶で迎えてくれる店ばかりでなく、店に入って席についてもしばらく誰も出てこないとか、「すみません!」と声を掛けなければ、ゲストの来店に気が付かないという実に飲食店としては寂しい店に出会うことです。
ときにはその来店に気づかず、しばらくほおっておかれるといった経験をした人も少なくないだろうし、またテーブルに案内されてメニューを見てその商品を注文しようと思いながら、店の人を目で探し「注文お願いします!」と片手でメニューを高く挙げ、声をかけてもその店の従業員が少ないせいか、なかなか注文を取りに来てくれないとか、やっと注文を取りに来たとしても、無愛想な対応でろくに商品説明もできないなど、このような悪例を挙げれば、枚挙にいとまがないといえます。
まず居心地のよう店に共通していることは、店に入った瞬間にその店の姿勢や意気込みを感じることであるだろうし、たとえば、店に入った瞬間「いらっしゃいませ!」と気持ちの良い挨拶で迎えてくれるとか、席に着くなり冷たい水とおしぼりが、即座に提供されてメニューが差し出される、またこれに笑顔のひとつもあれば、ゲストの心を解きほぐし尚且つ安らぎを提供することができるのです。
あるいはディナーレストランのように比較的高い負荷価値を求めて、その店に来店してくるゲストには、そのゲストのその日の体調や雰囲気に合わせて、店のお勧めメニューやオリジナル商品を勧めることもよいだろう。
さらにゲストの心理は、食事を媒体として人とのふれあいやサービスを求めて店にやってくるものであり、人になにか自分のためにしてもらうということは、非常に心地良いもので一種の優越感にも似た気持ちや豊かな気持ちにしてくれるものであるからです。
つまりこのようにゲストの求めていることや感じていることを即座にキャッチして、その容貌や期待に応えることであり、決してその期待を裏切らないこと、さらにゲストを心から「おもてなし」しようとする心、ホスピタリティー(おもてなし)こそ飲食店の大切な商品のひとつなのです。