厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を理解する/飲食店の分類(業種・業態)-4
飲食店の定義
これまで生活者にとっての飲食店とは、空腹な胃袋を満たすためや渇いたのどを潤すためのものであり、ただ単に生理的欲求を満たすための飲食を提供する施設という認識でありました。しかし昨今では、生活者の生活の変化や食志向の変化により、ただ単に空腹感を満たすための食事から楽しむための食事に志向は変わってきています。
また今日の生活者の食に対する志向として、調味料や加工食品の加工された味ではなく、本物を味わいたいという欲求や願望が強くなり、自分のライフスタイルや志向にあった店を探したり、あるいは食事に高い料金を払うことにも抵抗が無くなってきています。
このように生活者の食に対するニーズは、与えられる食事ではなく、求める食事へと変貌してきているのである。ただ単に食事を食事としてとるのではなく、食事の時間や雰囲気を楽しみ、豊かさを味わい、あるときは、そのひと時の空間を遊び楽しむことなのです。
またその空間は恋人とのデートの場であったり、仲間との語らいの場であったり、あるいは冠婚葬祭や社用の接待の場として席を設けたりする。つまり、生活者の食生活は、生活レベルアップと共に食(食事を楽しみ、そのひとときに身を投じて遊ぶこと)への負荷価値が変わってきているようです。
よく弁当屋やパン屋は、飲食店ではないのかと思っている人がいるが、今日のようにいろいろな要素が複合して成り立っている飲食店は、特に判断が難しく(消費者にとってはどちらでもよいことである)なってきているといえる。しかし一般的な認識としてただ単に弁当を販売したり、パンを販売したりする店は、飲食販売業であり飲食店ではないようです。
あるいは弁当屋やパン屋は、サービス業であり人を介在しての商売ではないのかという人もいるが、飲食店と飲食販売業との大きな違いは、そこで食事を販売する以外に、その他の付加価値的サービスを受けることができるかどうかに違いがあるようです。
しかし今日のように複合業態として、たとえば、パン屋であっても神戸屋のサンドックインのようにパンを販売しながら、そこで飲食できる施設や設備を設けている場合や中食(外食に対して家庭内食を内食といい、この外食と内食の中間にある領域マーケット)という括りの中で、弁当をファッショナブルな形で販売し、さらにそこに飲食施設を付帯しているすかいらーくのオープンやセサミやあじときのデリカフェパルインのような店は、販売業と飲食業の複合業態であろうし、ただ単に飲食販売業であるとか、飲食店であるという範疇だけでは、片づけられなくなってきているといえるでしょう。
したがって飲食店とは、「ただ単に飲食するための空間と設備を設けて食事を提供する場であるだけでなく、食を通していろいろな無形・有形の負荷価値的サービスを受けることができる飲食施設であり、そのサービス対価として報酬を得ることである」と定義づけられるのではないでしょうか。