厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を理解する/飲食店の分類(業種・業態)-1
初めて飲食業を志す企業や個人経営者は、まず店づくりの前に飲食業の基本的な知識(分類・定義など)の十分な理解を深めることから始めることが肝要であると思われるので、初めに飲食業とはどんなものであるのか、その分類について述べておこう。
私たちはよく飲食店で食事をしようとするときに、たとえばラーメン屋に行こうとか寿司屋に行こうとかあるいはレストランへと、ほとんどの場合そこで食べる商品を基準にしている、あるいはただ単にその行為を商品名(ステーキ、焼肉)で呼んで基準としていることもある。
一般的にこのように何々屋とか、その店で提供される商品名や内容で捉え分類したものを「業種」と呼んでいるのである。このようにすでに私たちの生活の中に溶け込んで、何の抵抗もなく利用していることであるが、ではこの業種と呼ばれる分類は、日本に果たしてどれだけの種類があるのか、まずこのあたりの内容から考えてみることにしよう。この営業形態や商売の仕方を知ることは飲食業を捉える上で大変重要なことである。
この業種は、図表1-1の通産省商業統計の分類によると、「食堂・レストラン」、「そば・うどん店」、「すし屋」、「料亭」、「バー・キャバレー」、「酒場・ビアホール」、「喫茶店」、「その他の飲食店」と大きく分けて8つに分類されていて、またさらに、「食堂・レストラン」は、細分化されて「一般食堂」、「日本料理店」、「西洋料理店」、「中華料理店・その他の東洋料理店」と4つに区分されて合計11分類となっている。
たとえばさらにこれを店でとらえてみると、うなぎ料理店、てんぷら料理店、とんかつ料理店であれば、これは日本料理に含まれることになるであろうし、今日流行のイタリア料理やフランス料理などであれば、西洋料理に属することになる。さらに、私たちが比較的馴染みの深い中華そば店、餃子店、中華料理店であれば、中華料理に含まれるといったように、そこで提供される商品の内容や調理方法を基準に分類する飲食店の捉え方を業種発想といっている。
このようにこれまでであれば、ただ単にそこで提供されるであろう商品名を基準に、その店を捉えておけばすんでいたはずが、今日では生活者のライフスタイルの変化とともに、今度は具体的にその店の内容や雰囲気で店を選ぶようになってきた。
たとえば、「今夜は久しぶりに会う友達とディナーレストランに行こう!」とか、あるいは「今日は日本そばにしよう!」など、それぞれの生活者のライフスタイルに合わせてどのような店に行こうかと、そのときのオケージョン(目的、場所、時間)で店を選択するようになってきた。これが業態という捉え方なのである。
このように同種類の商品や調理方法を主として、業種をグループ別に捉えて区分したものを「業態」と呼び、主にファストフード、コーヒーショップ、ファミリーレストラン、ファミリーダイニング、カフェテリアレストラン、ディナーレストランなど6つに分けられている。