厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を理解する/コロナ禍の新業態の店づくりのポイント-4
4テイクアウトに向いているメニューは何か
テイクアウトとして販売するものは、店内のメニューと同じというわけにはいきません。次の3点はクリアする必要があります。
- 食中毒を起こす心配がないもの
- 時間がある程度経過しても味が劣化しないもの
- 車の中や公園など、どこでもすぐに食べられるもの
この3点を満たすものといえば、かつ丼、牛丼、天丼、寿司、ピザ、パスタ、弁当、おにぎり、サンドイッチいうことになりますが、どれもコンビニやスーパーの人気商品です。そこで大事なのは、コンビニなどの低価格にどう対抗するかということです。
ワンコイン以下という低価格に負けないようにするには、「できたて」を販売することです。コンビニのお弁当や惣菜は、製造工場から店舗までの配送時間がかかっているのに対し、飲食店のテイクアウト商品は、調理場で作ったものなので経時劣化の度合いが違います。
これが最大の武器であり価値ですから、なるべく作り置きではなく、できたてに近いものを提供するようにしましょう。
5テイクアウトを導入するときに注意したいこと
それでは、テイクアウトを始めるときに注意しておく点をご紹介します。
① スピードを心がける
テイクアウト営業を始める際は、イートインのピーク時と重なったときに、手際よく対応できる態勢を組んでおく必要があります。接客がどちらかに偏ったり、調理場が混乱するようでは売上アップは望めません。
テイクアウト営業で失敗するのは、「二兎(にと)を追う者は一兎も得ず」ということわざがあるように、二つのものを同時に得ようと欲を出して、結局どちらも取り損なってしまうというパターンです。
特にランチタイムは、店内のお客様も外で待つお客様も時間がないのです。待たされる状態は大きなストレスになることを配慮して、スピーディーなサービスを心がけましょう。
それには、注文を受けたら火を通すだけですぐ、盛り付けられるように下ごしらえをしておくことです。たとえば、肉や魚のフライは揚げるだけですむようにしておき、副菜として添えるサラダやおひたしなどは事前に作っておきます。こうすれば待たせないだけでなく、できたてですからイートインと同じ状態で提供することができます。
② 包装に工夫をする
テイクアウトの場合は包装のしかたにも工夫が必要です。近くの職場へ持ち帰る人、遠方の自宅へ持ち帰る人などお客様のタイプはさまざまですので、中身が崩れたり汁気がにじんだりしないよう、きちんとパッキングして袋に入れるようにします。
袋を用意するにはそれなりのコストがかかりますが、色やデザインでどこのどんな店なのかがわかるようにしておくことで販促効果があり、集客率アップにつながります。
そのほか、割り箸やスプーンなどの必要数を、お客様に確認して入れるようにします。うっかり入れ忘れたりすると、それだけでお店の評判を下げてしまいますから要注意です。
③ 売れる量をしっかりと予想する/価格と料理の量目
もう1つ注意したいことは、テイクアウト用の商品を過不足なく準備することです。慣れるまでは難しいかもしれませんが、見込み違いで作りすぎれば食品ロスが発生します。
逆にすぐ売り切れてしまうようでは、お客様に迷惑をかけてしまいます。天気予報や曜日、その日のイベントの有無などから適切な量を判断するようにしましょう。
今後の外食ニーズは、テイクアウトや宅配ビジネスの便利さは生活者の生活の中に浸透してくるでしょう。
まだまだコロナ禍の先行きは見えないという現実がある不安の中でどのように飲食店は業態創出していかなければならないかは、生活者のニーズをしっかりと把握することが大切になることです。