厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を理解する/飲食店の分類(業種・業態)-2 | 厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を学ぶ/竹谷経営塾。ティファーズコンサルティング

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厨房設計/飲食店開業繁盛づくりを目指す人へのアドバイスをするブログ、飲食店コンサルタント「ティファーズコンサルティングの竹谷稔宏。その他厨房会社設計部門など飲食店の心臓部である飲食店の厨房設計について解りやすく解説する講座です。

厨房設計/繁盛店づくりの新しい厨房計画を理解する/飲食店の分類(業種・業態)-2

昨今の傾向として、このように業種・業態で区分することが流動化し、あるいは複合化するようになり、ただ単に業態としての捉え方だけで店を捉えることが難しく、すでにファストフードの店舗形態や雰囲気はレストラン化へ、ファミリーレストランの店舗形態や商品構成はファミリーダイニング、あるいはディナーレストラン化へとその内容が複合化してきている。

では、これまでの業態発想の考え方とはどのようなものであったのか、ここで考えておくことにしよう。

 

この業態発想とは、単に店で提供される商品や調理方法による捉え方(単に食材や調理方法でゲストが食べる商品を基準として店を捉えること)だけではなく、ゲストのニーズを捉えたサービスや提供方法、価格、立地など、特にゲストのライフスタイルに合わせた営業形態として、飲食店を捉えることであり、そもそもこの理論は米国のものであった。

 

かつてこの業態理論が経営コンサルタントの間で用いられるようになると、このような米国の業態の捉え方や考え方の理論が業界に定着し、その後企業の飲食店の規模の拡大や急速展開に大きな拍車をかけるようになる。さらにその朗報を耳にした飲食店の経営者や後続企業は、その新鮮な(当時は、猫も杓子も業態論に明け暮れたものである)米国の理論を学ぼうと我も我もとこぞって講演やセミナーへ足を運んで耳を傾けたものでありました。

 

これまでは、ただ単にこのように業種・業態発想だけで飲食業を捉えることで、それなりの店づくりをしてそれなりの成功や繁盛を収めることが出来たし、その理論に惚れ込んだ経営者も多かったが、昨今のような飲食業にとって厳しい時代を迎えると、ただ単に業種・業態区分の発想だけで飲食店そのものを捉えることは難しくなってきています。

 

多くの経営者のほとんどは、いざ店づくりを企画する段階になると、様々な氾濫する情報を有効にいかしきれずに、その店の店舗コンセプトまで曖昧にしたまま店づくりに着手してしまうとか、あるいは街の繁栄店を研究して少しでも自分の店の企画のヒントにしようと、その店に幾度か足を運んでみるが、その店の成立要素が複合化しすぎて、その店の業種・業態が理解できない(とにかくどこかの区分に埋め込まなければ気が済まない)など経営者にとっては頭の痛いところとなっている。その現状をもう少し詳しく考えてみよう。

たとえば、ドーナツやハンバーガーのファストフードのように同種の商品を提供しているにもかかわらず、商品構成や提供方法、立地、戦略の違いにより、完全に店としての利益構造が変わってしまうことがあります。ハンバーガーのマクドナルドとモスバーガーは、誰に聞いても紛れもなくハンバーガーを売っている業種であるし、ファストフード業態であることは違いのないことであるのに、しかしよくその店の特徴や内容を捉えた場合には、ただ単にその業種・業態だけの範疇で片づけるには少し無理があるように思えてならないでしょう。

 

マクドナルドに行ってハンバーガーとドリンクを注文すれば、約1分で商品を受け取ることができる。しかしモスで注文すれば、最低10分~15分(ゲストの注文があってから商品を作り始めるため)は待たされることになり、時間に敏感な人にとって時にはイライラすることもあるでしょう。このようにそれぞれの現状を利用する生活者はどのように感じているのか。一般的に考えてみれば、待たされることより早く商品を提供してもらうことが良いに決まっている。

しかしモスは、マクドナルドのように売れなくても十分に繁盛し、経営は成り立っているのである。さらに立地にしてもマクドナルドは繁盛外立地で流動客を対象としているが、モスは2等地で固定客をターゲットとし客層や利用目的もそれぞれに異なっている。これも商売としては、2等地より繁盛外の立地の方が、当然のことにゲストを集めやすいことになるにも関わらず、まぜモスは2等地を選ぶのか。これをただ単に立地戦略の違いとして片づけてよいのだろうか。

 

このようにその店を捉えるときに、どのような業種でどのような業態であるのかということだけではなく、その飲食店の成り立っているマーケティング(構成要素)や利益構造(客層、立地、メニュー構成、提供方法、価格、店舗構造、その他その店の成り立っている要素)がどのようなことなのかを知ることが、その店の特徴や内容を捉える方法なのである。昨今ではこのような捉え方をマーケティング発想とか利益構造発想と呼び、飲食店の企画づくりや方向性を捉える上でよく活用されてきている。

つまりこれからの飲食店の捉え方とは、どのようなマーケティングや利益構造で成り立っているのかということを具体的に捉えることが大切なのであり、次々と展開される新しい業態の出現に、その店がまぜ繁盛しているのか、あるいはなぜ生活者の支持を受けているのかなどを十分に把握しておかなければ、いざ飲食店を企画する際に生活者のニーズや志向に合った店づくりをすることはできなくなってしまう。