6-大皿料理居酒屋企画/厨房設計
大皿料理居酒屋という業態は一時ブームになったものの、流行りと淘汰を繰り返し、生活者に支持されている店だけが存在しているといったことが現実であろう。
雨後のタケノコのように街のあちこちに出没した大皿料理店の業態コンセプトは、京都のおばんざい料理を模した業態であり、ただ単にそのスタイルだけがブームとして一人歩きしてしまったといっても過言ではないだろう。
大皿料理手酒屋としての本質は、あらかじめ調理した料理を大皿に盛り付け、注文ごとに皿に盛り付けて提供する料理や再び最後の仕上げ調理を加えて料理として提供することが本来のカタチであったものの、ただ単に事前に調理した料理を大皿に盛り付けて注文に応じてそのままの状態で提供するのが一般化してしまったことが、料理そのものの味や質の低下を招き、付加価値を失ってしまったことに業態の衰退の要因があることだ。
大皿料理居酒屋としての業態スタイルとしてのブームは終息を迎えたものの、繁盛している店は数多く残っていることなど本来の業態企画をさらに時代のニーズや嗜好に合わせて再生した企画である。
いまや低価格で美味しいのは当たり前という外食業界にあって、ただ単にさほど美味しくもない料理をおばんざい料理のスタイルで提供しても客の集客にはつながらないことだ。
むしろ素材にこだわり低価格且つ美味しい料理を提供してこそ、生活者に支持される店として認知されることであり、大皿料理のイメージスタイルでて供する場合には、あくまでも常温あるいは仕込みがしっかりとした料理のみを大皿に盛り付けてカウンターの上に大皿を陳列することがポイントになることを理解しておくことだろう。
客層としては、男女アダルト層に焦点をあて居酒屋に来店する機会が多い客をいかに大皿料理居酒屋へ集客できるかが新しい業態の企画であり、決して昔流行った大皿料理居酒屋の焼き直しではないことを理解しておかなければならない。
立地としては、繁華街の多層階や商業移設などターゲットとする客層が多く集まる場所であれば、ビジネスとしては成立することは難しくないだろう。
客単価は比較的低価格の2500円から3000円以内で設定し回転率を上げることを想定して事業計画を立てることが大切であろう。
勿論、料理の素材には、こだわりや産地表示など和の切り口で幅広い料理に対応できることが時代のニーズに対応した業態企画になることを理解しておくことだろう。
/ゾーニング計画の重要ポイント
平面計画
この店のゾーニング計画としては、入口に向かって左側にオープンキッチンのカウンター席、右側、中央に種々の客席形態を配置していることであり、正面の奥側に専用のドリンクカウンターを配置していることだ。
比較的大きな店であることを想定すると、種々の客層に合わせて一人席、グループ席、4人席、アベック席など客層に合わせた客席誘導を配慮した計画になっていることだ。
料理に注文やエントリーについては、オーダーエントリーシステムを活用し、スムーズな注文と料理提供ができるような仕組みづくりをすることが必須条件になるだろうし、専用のドリンクカウンターを配置することで迅速な酒類のサービスに対応する計画をしていることを理解しておくことだろう。
カウンタテー席へのサービスは、カウンターに立つ料理人が担当することが理想的であり、あくまでもカウンター席の職人と客の会話や掛け合いを配慮したサービスができることが理想的であることだ。