『親に気持ちよく遺言書を準備してもらう本』で書けなかったここだけの話(3) | 実務直結!行政書士 開業準備 実践講座

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『そうだったのか!行政書士』『行政書士合格者のための開業準備実践講座』『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』他の著者・竹内豊が、失敗しないための開業準備について語ります。

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「ドロ沼“争族”はなぜ起きるのか①」


 どうしたら親が気持ちよく遺言書を残してくれて、親子双方が満足できる相続を迎えることができるのかをお話しする前に、なぜ相続はモメやすいのか考えてみたいと思います。
 
 親が遺言書を残さないで亡くなると、相続人による話し合いによって親の遺産を分けなければなりません。この場合、相続人全員が話し合いに参加しなければなりません。この話し合いのことを遺産分割協議といいます。そして、相続人全員が遺産分けの分け方に賛成しなければ遺産分割協議は成立しません。つまり、遺産分割協議を成立させるには次の2つの条件をクリアしなければならないのです。


(1)相続人が全員話し合いに参加すること(全員参加)
(2)相続人全員が遺産の分け方に納得すること(全員合意)


 「遺産分けは法律で決められた割合(法定相続分)で自動的に決まるんじゃないの?」と思っている方がけっこういます。たしかに人が死ぬと、その瞬間に法定相続によってすべての遺産が自動的に分配されます。しかし、これは法律が決めた目安でしかありません。

考えてもみてください。もしあなたが親が所有する家に住んでいるとしましょう。親が亡くなったからといって他の兄弟姉妹が「私にも相続分があるからヨロシク!」と言われて乗り込んでこられても困りますよね。そこで、いったん法定相続で分けられた遺産を相続人の事情に応じて具体的に分け合う必要が出てくるのです。そのための話合いが遺産分割協議なのです。

 さて、ご紹介した2つの条件をクリアすることは実はたいへん難しいのです。ではなぜ難しいのかは次回お話しましょう。