「算数は論理的思考力で決まる」、という言い方は、しばしばされます。
私が中学受験した頃(30年ほど前)にも、このことは言われていましたので、
一種の常識になっているかもしれません。
「論理的思考力」というのは、「論理力」「論理的思考力」「自分で考える力」
「活用する力」「応用力」、、、
というような用語とほとんど同じ意味で使われます。
そして、その論理的思考力を伸ばす方法として、
例えば、次のような問題を解く方法が紹介されることがあります。
Aさん:「彼はワインがとても好きだ。」
Bさん:「フランス人はみんなワインが好きだ。」
Cさん:「なら、彼はフランス人だね。」
Cさんは論理的に正しいか?
正解は当然ながら、Cさんは正しくない、です。
このような問題は、論理性を問う問題として、国家公務員Ⅰ種試験(官僚になるための試験)でも
登場しますし、アメリカのSAT(大学進学適性試験)にも登場します。
上記と同様の問題を解くことによって、正答率を上げることはできますが、
限界があり、一定の知能水準を受験者を選抜する方法としては有効な手法です。
知能水準は通常、短期的にはどうにもなりません。
(知能検査の結果は、類題演習によってかなり変わりますので、
一般的な知能検査では知能水準はあまり正確には測定できません)
つまり、中学受験対策として、上記のような論理性を問う問題でトレーニングすることは、
限られた効果しかない、ということです。
一般的には、「論理的思考力」や「算数の力」、「考える力」というのは、広義の知識量に依存します。
「200mの距離を2分走った場合の分速を求めなさい。」
という問題は、距離を時間で割れば速さが求まる、という知識があれば正解できる問題です。
「7時55分に、D君は、200メートル離れた学校に向けて家を出発しました。
一旦学校に到着したのですが、弁当を忘れたことに気がつき、同じ速さで家に戻りました。
家に戻ってお母さんに「弁当!」と言ったところ、「あんた、バカじゃないの!給食よ!」
「そうだった!」と気付いて、また学校に同じ速さで向かいました。
学校に着いて、時計を見たら、8時1分でした。D君の速さを求めなさい。
ただし、お母さんとの会話は一瞬で完了したものとします。」
という問題も、結局は、8時1分-7時55分=6分、6分÷3=2分、200m÷2分=100、
というように、上と同じような計算式で解けますが、速さの単元の習いたての段階では、
上の問題に比べてはるかに正答率が低く、いわゆる応用問題です。
しかし、ある程度速さの文章題を解くことで、このような問題も難なく正答できるようになります。
つまり、文章題・応用問題と言われる問題も、類題演習によってそういう問題への解答プロセス、
という知識を獲得することで、狭義の知識問題と同様な認知プロセスで解けるようになります。
結局、すべての問題は知識問題であると解釈できますし、
認知心理学では、論理性は知識に大きく依存する、と一般的に扱われており、
中学受験についてもこれが正しい認識です。
論理的思考力、という実態のよくわからないものを獲得することを学習目標に設定するべきでは
ありません。一つ一つの知識の習得過程ととらえ、堅実に着実に既有知識との結びつきを
深め、学習を進めていくことが、学力形成の王道であると考えるべきです。
≪どちらか、ポチっとして頂ければ幸いです。≫
にほんブログ村
にほんブログ村
☆問い合わせ:info@takeoff-takeoff.com
☆ホームページ:http://www.takeoff-takeoff.com/index.html
☆中学受験記事は無料メルマガでもお届けしています。登録は↓
:http://www.mag2.com/m/0001276420.html
(パソコン)
:http://mobile.mag2.com/mm/0001276420.html
(携帯)
☆高校受験記事は無料メルマガでもお届けしています。登録は↓
:http://www.mag2.com/m/0001422330.html
(パソコン)
:http://mobile.mag2.com/mm/0001422330.html
(携帯)
☆ツイッター @Takeoff_Morishi
(ブログの記事を要約したもの、受験に関連するものを中心に発信しています。)
☆役に立ったと思われましたら、こちらのランキングボタンも、どちらかをクリックして頂ければ幸いです。
--------------------
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。