今年も残すところわずかとなってきました。
今日は、今年、私が一番いいと思った国語の問題文を紹介したいと思います。
高校入試の問題なのですが、平成22年度の東京都立高校の国語の5番です。
↓に掲載されています。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr100223n-mondai.htm
何がいいか、って、純粋に感動しました。
なかなか感動できる問題文というのはありません。
入試問題をつくるために、仕方がないから引っ張ってきた、という問題が多いですが、
しかし、これは良かったです。鳥肌立ってきて、ブルブルきちゃいました。
内容は、私なりに要約すると、以下の通りです。
其角(芭蕉の第一の門弟)の作った句に対して、芭蕉が、
「あれはどこがいいのだろうか。其角ほどの人間が、どこに良さを見出してつくったのだろうか。」
と門弟の去来に問う。
去来は、「実に見事に桜の満開の様子が伝わるじゃないですか。」と答える。
芭蕉はすかさず、「言い果たせて何かある」と切り返す。
言い尽くしてしまって、一体そこに何があるのか、ということ。
それを聞いて、去来は、何が俳句に詠まれるべきなのか、気付かされ、感動に襲われた。
芭蕉というのは、どうしてかくも偉大なのでしょうか。第一の門弟の其角でさえ、足元にも及ばない。
芭蕉の句の中で、私が一番好きなのは、かの有名な、
夏草や 兵どもが 夢の跡
です。奥州藤原の栄華と、義経とともに葬り去られた悲哀と、
かつて死闘が演じられた眼前の草むらのすべてが、このわずか17音で立ち上がってきます。
同行した門人の曾良がこの場で詠んだ句は、
卯の花に 兼房見ゆる 白毛かな
です。どうしてもこんなにも違うものなのか。
平成17年度の東京都立高校の国語の5番でも、芭蕉が取り上げられています。これもすごくいいです。
多賀城にて、聖武天皇の時代、つまり1000年以上も前に刻まれた石碑を見て、
芭蕉が涙する、という下りがあります。この問題文を読んで、私も目頭熱くなりました。
芭蕉さんが何に突き動かされて涙したのかが、わかったからです。
国語の勉強の到達目標というのは、先に紹介した平成22年度の5番の問題文、
このような文章をしっかり理解できるようになること、だと思います(だからこそ入試で出題される訳ですが)。
去来が何故に感動したか、それがわかるようになること、だと思います。
中学受験の勉強においても同じで、やはり、こういうものを読んで、わかるようになることだと思います。
ご家庭でお子さんの国語の勉強を見る際には、ちょっとこうした観点も考えて頂ければと思います。
どうすれば正しい選択肢を選べるのか、というような視点だけに捉われないように、して頂けたらと思います。
ちなみに、この平成22年度の問題文での、本文の核心についての理解を問う最後の設問で、
正答率は43.7%でした。簡単ではなかった訳ですけど、難しい問題という訳でもありませんでした。
個人的には、このような問題を、中学受験の最難関校では出題してほしいと思っています。
トップ校で古典的素養も要求されるような問題が出題されれば、それに応じて、
塾の教材も変わってきて、他の学校にも波及していきます。
解法どうのこうのと、うんぬんできないような出題になれば、
中学受験の国語教育のクオリティがぐっと上がると思います。
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