国語の読解力、というのはどうやったらつくものでしょうか。
網羅的に御理解頂くには、ある程度の説明が必要になります。
何回にも分けて説明することになりますが、何卒、お付き合い下さいます様お願い致します。
結論だけ先に申し上げますと、読解力をつけるために、するべきことは、
語彙力対策・質の高い読書・塾で読んだ問題文の音読
の3つです。
また、もう一つの結論。読解力向上の方法として、巷でしばしば言われている次の手法。
問題文の重要そうな箇所、何度も出てくる単語に線を引いていく、というような読解テクニック。
問題集を解き、解答を読んで、必要に応じて模範解答を写していく。
筆者の考えをつかむために、自分の考えを入れずに読ませるようにする。
この3点、いずれも弊害の方が大きいです。これら実行しない方がいいです。
それでは、本日の説明です。
本日、ご理解頂きたいのは、読解力とは、推論の力、だという点です。
3つの例文で、説明します。
例文1 「ちょっと、もう10時よ。歯は磨いたの?」
これだけを読んで、「夜、母親が子どもに早く寝るように促している場面」を思い浮かべます。
子どもは寝巻きに違いない、風呂は既に済ませている、寝る前にすべきことは後は歯磨きだけだが
ぐずぐずしている、という状況を想起します。
それは、こういうフレーズがそのような状況で使用されるということを知っているからです。
既存の知識をベースに、推論して、話の筋を追いかけていきます。
ですから、その少し後に、
「智子は週末の努力が水泡に帰し、もう到底どうにもならない現実に打ちひしがれていた。
母の声が遠くに聞こえる。明日は月曜日だ。壊れたものは元に戻らない。」
と書かれてあるのが理解できれば、「日曜日の夜に、こんな風に打ちひしがれてしまう小学生がいるのか」
と新しい知識を獲得することになり、推論のベースが拡大した、つまり読解力がついたという
ことになります。
文章を読み解くには、推論のベース(既存の知識)が必要です。
知っていることをベースに、そこから推論をして、文意を汲み取っていきます。
例文2 「家を出て1分も経たずに黒い積乱雲が空を覆い始めた。霧子は “あっ、忘れた!”
とまだ痛む腰をかばいながらきっと踵を返した。」
十分な語彙力があれば、戻って傘を取り戻るに違いない、と推測できますが、
4年生では難しいかもしれません。黒い積乱雲と出てきて、何が起こるか、
踵を返す、とはどういう意味か、が少なくともわかっていなければ、
おばあさんが何かカメラか杖でも忘れたのかもしれない、などと思うことでしょう。
語彙力が不足していると、適切に推論できません。
例文3 「相手の認知状況をどれだけ大きく変えることができるかが、コミュニケーションの価値の尺度になりえる。」
コミュニケーションがいかなるものかについて、ある程度の知識を
持っておかなければ、このような文章はちんぷんかんぷんになってしまいます。
正しく読み解くには、語彙力とともに、知識(推論のベースになるもの)が必要です。
今回は、読解力とは推論する力である、ということを説明しました。
次回は、国語の読解力強化のためにするべきこと、
語彙力対策・質の高い読書・塾で読んだ問題文の音読
の3点について申し上げたいと思います。
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(2011年9月9日のメルマガ第29号に加筆)
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