東京交響楽団川崎定期演奏会 第98回の前半を、ミューザ川崎シンフォニーホールにて。
指揮:ジョナサン・ノット
ヴァイオリン:アヴァ・バハリ
シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲 op.36
(アンコール)クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ
前日のサントリー定期が後半しか聴けなかったので、聴けなかった前半を翌日ミューザにて鑑賞。忙しい毎日である。
シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲、何度聴いても耳に残らない難曲である。実演では2019年にパトリツィア・コパチンスカヤのソロ、大野和士指揮都響で、今年の6月にはイザベル・ファウストのソロ、鈴木優人指揮N響で聴いているのだが、聴いたそのときはいい曲だなあと感心するも、その後残らないという不思議な曲なのだ。
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聴くたびに毎度同じことを思っているわけだが…今回の演奏、大変素晴らしいものであり感服してしまった。
ソロはスウェーデンの若手美人ヴァイオリニスト、アヴァ・バハリである。スウェーデン人ということだが、名前やエキゾチックな顔立ちからすると、ユダヤ系か中東系か??この人のヴァイオリンはきわめて精確で音色も美しく丁寧な演奏だ。12-12-8-6-5対向配置のオーケストラはとても鮮やかでなまめかしく、難解なこの曲に潤いを与え、受け入れやすいものにしていたと思う。前述の通り実演で2回聴いているが、指揮に関しては今回のノットがベスト。12音技法が生き生きと有機的に聞こえるのは見事である。まあ、また時間が経てばこの感覚は薄くなっていくのかもしれないが…なんとも、つかみどころがない作品なのである。
演奏機会が極めて多い、ベルクのヴァイオリン協奏曲も12音技法で書かれてはいるが、ベルク作品はバッハのコラールが出てきたり、ケルンテン民謡が出てきたりと、もう少しロマンティックな要素が大きいために人気があるのだろうか?
アンコールは前日と同じクライスラー。バハリの音は上品で落ち着いている。
後半の運命も聴きたかったが、次の公演に間に合わないので後ろ髪を引かれる思いでホールを後にした。冒頭のボウイングやノンヴィブラート、第3楽章のダカーポをもう一度確認したかったのであるが。
総合評価:−