NHK交響楽団第2015回 定期公演 Bプログラム2日目を、サントリーホールにて。

 

指揮:鈴木優人

ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

 

ウェーベルン/パッサカリア 作品1

シェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲 作品36

(ソリスト・アンコール)

ルイ=ガブリエル・ギュマン:無伴奏ヴァイオリンのためのアミュズマン Op.18  XII Altro

 

バッハ(ウェーベルン編)/リチェルカータ

シューベルト/交響曲 第5番 変ロ長調 D. 485

 

ドイツの名ヴァイオリニスト、イザベル・ファウストが弾くシェーンベルクの12音技法によるヴァイオリン協奏曲。この曲、演奏も難しいそうだが12音技法ゆえ聴いても大変難しく、何度聴いても耳に残らないのである。実演ではコパチンスカヤのヴァイオリン、大野和士指揮都響で聴いたことがあるが、あれはなかなかの演奏であった。

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12432108227.html

今回のファウストはコパチンスカヤと全く方向性が異なるアプローチながら、難解なこの作品に有機的な息遣いを吹き込んだ素晴らしい演奏であった。録音で聴くとそれほど良さが感じられないこの曲、実演で聴くと、12音技法であることを除くと普通にちゃんとした協奏曲である、と感じるのだがそれは言い過ぎか?ただ、ちょっと長いようにも思われるのだが。

ファウストのアンコールは全く知らない曲ながら非常に才気に富んだ佳作で、ルイ=ガブリエル・ギュマン(1705〜1770)というフランスの作曲家の曲であった。

 

上記ファウストが弾いた協奏曲が今回の目玉だったのだが、残りの3曲…これがいただけなかった。

冒頭に演奏されたウェーベルンの傑作パッサカリア。ピアニッシモの作曲家と言われるウェーベルンだが、鈴木優人の演奏にはピアニッシモがなく、あまりにうるさい金管セクション…ウェーベルンの演奏でうるさいと思ったのは初めてである。音の統制が全く取れていないのだ。

後半の1曲目に演奏されたウェーベルン編曲のバッハのリチェルカータ、こちらも全くちぐはぐな演奏でN響の演奏とは思えず、まるでアマオケを聴いているかのようだった。やはり、ウェーベルン特有の繊細な弱音は聞こえてこない。

メインのシューベルト5番。音がくすんでおり明朗快活なところがなく、旋律ももやもやしていて、第2楽章あたりでもう飽きて帰りたくなった。同じN響でもこれがブロムシュテットの演奏だったら幸せな気分で帰れたことであろう。

リチェルカータは10-10-8-6-4、それ以外は14型で対向配置。

 

総合評価:★★☆☆☆