フアン・ディエゴ・フローレス テノール・コンサートを、東京文化会館大ホールにて。

 

フアン・ディエゴ・フローレス(テノール)

指揮:ミケーレ・スポッティ

演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

 

【第一部】

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲

―歌劇「皇帝ティートの慈悲」

序曲

“皇帝の主権にとって、親しい神々よ”

“比類この上ない玉座の唯一の果実がこれなのだ”

—歌劇「フィガロの結婚」

序曲

―歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

“わたしの恋人を慰めて”

ジョアキーノ・ロッシーニ作曲

―歌劇「イタリアのトルコ人」 

序曲

―歌劇「ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)」

“私を見捨てないでおくれ、復讐の希望よ~ “先祖代々の住処よ”~友よ、復讐に手を貸してくれ”

 

【第二部】

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲

―歌劇「シチリア島の夕べの祈り」

序曲

—歌劇「リゴレット」

“あれかこれか”

―歌劇「仮面舞踏会」

“今頃は家に到着し、ようやく落ち着いたことだろう〜永遠に君を失えば”

前奏曲(第一幕)

―歌劇「二人のフォスカリ」

“生まれ故郷の微風よ~委員会へはやく出て真実を明かすように〜憎しみだけが、それも凄まじい憎しみだけが”

―歌劇「椿姫」

前奏曲 第1幕

―歌劇「アッティラ」

“おお、苦しみよ!私は生きてきた”

―歌劇「ルイザ・ミラー」

“ああ!自分の目を信じるにいることができたら!〜穏やかな夜には〜用意されているのが祭壇であろうと墓であろうと”

 

(アンコール)

CHABUCA GRANDA "JOSE ANTONIO"

CARLOS GRADEL "EL DIA QUE ME QUIERAS"

TOMAS MENDEZ "CUCURRUCUCU PALOMA"

ガエターノ・ドニゼッティ作曲 歌劇『愛の妙薬』 "人知れぬ涙"

アグスティン・ララ作曲 "グラナダ"

 

現代の名テノール、フアン・ディエゴ・フローレスのコンサート。フローレス、若いと思っていたけれどもう51歳なのである。

 

私が彼の生の声を初めて聴いたのは2019年、東日本大震災でオペラ出演をキャンセルしてしまったため、私にとっては初の生フローレスだったのだが、このときは「もう旬を過ぎたな…」という感想だった。

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12556173631.html

ところがその後2022年に来日したときはうって変わって、以前の輝きを取り戻したのであった!アンコールでは、連隊の娘ハイC9連発!

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12765217012.html

 

さてあれから1年4ヶ月後の今回の公演。正直言うと、今回の彼の声は前々回の印象に近い。尻上がりによくはなっていったのだけれど、声の伸びがなく詰まり気味で、最盛期の録音で聴くことができた、あの抜けるようなスカッとした快感が得られないのであった。

前半、モーツァルトは声の張りがなく精彩を欠いており、なぜあれでブラボーを叫ぶ人がいるのか私には???であった。

ロッシーニのフランス語歌唱はそれなりによかったし、後半のヴェルディでは彼本来の美声も感じられて悪くはなかったのだが、前回公演のあの豪快な印象に比べると、どこか小さくまとまっているような…前回も同じ東京文化会館で、前回の座席は5階正面、今回は4階正面だった。

アンコールは第3部とでも言うべき充実したものだった。19時開演で、終演はなんと21時35分!前々回も前回も同様だったが、やはりギターを持って弾き語りを3曲。これが実に楽しそうで、正直言うと自分にとってはこれが一番よかった。

 

オーケストラは12型の東京フィル。指揮は若いスポッティで、指揮者は前回と同じだったのだが、前回のオーケストラは東京シティ・フィルだった。今回の東京フィル、弦が精緻さを欠いていてイマイチ。チェロとかもう少し頑張ってほしい。今回の東京フィルに比べたら前回のシティ・フィルの方が断然よかったと思う。

 

前回ほぼ満席だったフローレス、今回はかなり空席が目立つ。前回は祝日だったからか?

 

総合評価:★★★☆☆