書道家 武田双鳳の「書で人生を豊かに」

書道家 武田双鳳の「書で人生を豊かに」

バランストレーニングや書道古典講座など「書かない書の稽古」を取り入れることで、本来の「書の稽古」を実現。経験を問わず、子供から大人まで、存分に『書のたのしさ』を味わる場所をつくっています。

武田双鳳の書法道場は「書を通じて人生を豊かにするための場所」です。京都道場(京都駅近く)と滋賀大津道場(堅田駅近く)には全国各地から生徒が集っています。オンライン受講も可能で、自宅にいながら書法道場の稽古を嗜むこともできます。

・こども(習字・硬筆)…美しい字の書き方だけではなく、論理的思考能力や身体感覚、コミュニケーション能力など、書を通じて「生きる力」を養います。

・おとな(大筆・仮名小筆・ボールペン字・筆ペン字)…古典臨書などベーシックな「書く書道の稽古」に、基礎書法講座やバランストレーニングなどの「書かない書道の稽古」をブレンドすることで、『本来の書のたのしみ』を味わっていただきます。

初心者歓迎です。まずは、お気軽に体験入会されてください。

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まとまる。

身体がまとまると筆もまとまる。
筆がまとまると身もまとまる。

文化的な道具が内包する相乗効果。
それらを引き出すことから、本来の書道は始まります。


来月の書かない書の稽古(運動編)のテーマは、「てだまる」。

書は目ならい。どんな「目」をもって対象に接するかが、ターニングポイント。お手玉の力を借りて、目の使い方を整えることからスタートする予定です。

今月のテーマは「寝る」。筋力に頼らなくても、いかに自分の身体のバランスが豊かなものか。睡眠の質、ひいては稽古の質を向上させる良き機会にもなっています。


書の世界に身を置く皆さんにとって、競書大会「ふたば書道会展」は、これまでの稽古の集大成を披露する絶好の舞台です。その清書提出が目前に迫るこの時期、まさにラストスパートの真っ只中。緊張感と集中力が高まり、抜群にそれぞれが書力を磨いてくれています。

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自分の書の『お披露目』が生む刺激

競書大会への出品は、単なる自己満足で終わりがちです。

 

そこで、書法道場ではジコマンでは終わらない仕掛けを用意しています。例えば、リアルで書き合い・見せ合う機会を設けたり、オンライングループを設置します。互いの書きぶりを露わにしていくことで、同じ場所でウロウロと迷っていた人でも、自らの書の相対的な「立ち位置」を知ることができ迷いが晴れていきます。また、様々な書きぶりに実際に接することで、これまでにない筆法や発想などに出会うこともできます。


同じテーマであっても、一人ひとりの表現や筆遣い、構成の工夫が異なり、それを見ることによって自分の表現の幅を広げるヒントが得られるのです。まさにこれは、「試し合い」。己の書を通じて他者と向き合い、切磋琢磨することで、さらなる高みを目指すことができるのです。

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清書に向けた心得:自分の「書」を信じて

この最終段階では、練習を重ねた中で見えてきた「自分らしさ」を大切にしましょう。美しさや技術だけでなく、書に込めた想いこそが見る人の心を打ちます。焦らず、落ち着いて、そして自分の在り方に誇りを持って筆をとってください。

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書だけに「閉じない稽古」を

清書の時間は、自分との対話でもあります。過去の稽古が今の自分の書を生み、今の集中が未来の自分の書を築いていきます。ふたば書道会展は単なる競技ではなく、自己研鑽の場です。互いを刺激し合いながら、自分の限界を超えていくこの機会を、ぜひ、丁寧に味わってみてください。

 

 

観峰館にて開催されている特別展で、楊峴(ようけん/1838–1914)の書作品を鑑賞してきました!


楊峴は、書の世界では「隷書の達人」として有名で、あの清朝最後の文人として名高い呉昌碩(ごしょうせき)が教えを仰いだほど。


楊峴の書は、古代の隷書に深く学びながら、そこに独自の生命感を宿らせています。

なかでも、碑学派の書法(逆筆蔵鋒や逆入平出など)をベースとしながら、筆毫の柔軟性を点画や字形に内包させる技法は、現代の書にも少なくはない影響を与えています。


筆を入れる際の繊細なねじり、筆揮の開閉、そして収筆の角度変化…。それらのすべての技法が、楊峴という人物を語っているようでした。




このような貴重な資料を、観峰館の静かな展示室でじっくりと鑑賞できることは、書を学ぶ者にとって大変ありがたいことです。

ぜひ、多くの方に実物をご覧いただきたい展覧会です。



※楊峴の書法的特質について

楊峴の書法において特筆すべきは、秦漢隷書の復古を旨としつつ、それを単なる臨模に留めず、詩書における表現力と融合させた点にあります。

とりわけ隷書における筆法の一つ、「逆入平出(ぎゃくにゅう・へいしゅつ)」──すなわち起筆において逆筆気味に入り、終筆において水平に出る構造──を、単なる型の模倣ではなく、有機的に運筆の中に取り込んでいます。

この「逆入」の角度と「平出」の微細な傾斜変化には、筆の重心と身体感覚を一致させる高度な技術が必要であり、それを無理なく詩文のリズムに織り込んでいる点が、楊峴の書法の妙です。

また、漢碑や張遷碑・石門頌などの「方筆・角筆」の影響が濃厚であるにも関わらず、鋭角的な断筆をあえて避け、線質に丸みと余韻を残す点は、呉昌碩らとの詩文交流に通じる「文人の書」としての円熟を感じさせます。

今日、現代書道においても「隷書の詩書化」「線における生命感の追求」「碑法と帖学の融合」など、複数の課題が模索されているなかで、楊峴の作品はその橋渡しとして非常に示唆的です。

たくりたい、たくりたい、いつかは拓ってみたい〜との願いが、思いがけず叶っちゃいました!

「武田先生、よろしければー」と、観峰館の職員の方のご厚意でお声がけいただき、短時間ながらも、貴重な機会が実現したのです。



実際にやってみると、想像以上に難しい。丁寧に刷毛で紙を貼り付け、タンポで墨量を細かく調整しながら文字を浮かび上がらせてきます。

体力も必要で、一文字一文字に集中しながら、身体全体を使って取り組む作業です。

これほどまでに精緻で、大変な手技だとはー。だからこそ、いつも手にしている美しい拓本がどれだけ尊いものか、深く実感することができました。


印象的だったのは、拓本を採る行為そのものが「臨書」であるという発見です。

墨跡では感じにくい、石碑に刻まれた「角度」や「深さ」「勢い」までが、手を通して、じかに伝わってくる。

紙を貼り、押さえ、叩き、浮かび上がらせていく過程において、古人の息吹や技法が浮かび上がってきたのです。


この体験で得た感覚や発見は、今後の臨書にきっと活きてくるでしょう。

「見る」だけではなく、「触れる」ことで学べることもたくさんある。

そんな原点を改めて感じる、かけがえのない体験となりました。

このような貴重な体験をさせていただいた
観峰館の皆さまに、心より感謝申し上げます。

ぜひ、近いうちに、全拓にもチャレンジしたいものです。

【観峰館・拓本体験紹介ページ】
👉 
https://kampokan.com/2025/06/%E3%80%90%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B%E3%80%91%E6%8B%93%E6%9C%AC%E4%BD%93%E9%A8%93%E3%81%94%E7%B4%B9%E4%BB%8B%E2%9C%A8/



書法道場では、年に2回「書遊び大会」に向けた特別な稽古を実施しています。


この稽古の目的の一つは、書をデザインしながら、自分の言葉や世界観を“伝える力”*を育むことにあります。

今回も、小学生から大人まで幅広い世代が参加し、それぞれの発想や工夫を楽しみながら、準備に取り組んでいます。
 



 

制作した作品を他者に紹介するプレゼンテーションも大切な稽古のひとつです。
「なぜこの言葉を選んだのか」「どんな工夫をしたか」を、自分の言葉で伝えることで、表現力や伝達力が育まれていきます。

 



 

「筆以外の道具で書く」ことで、逆に筆らしさを学ぶ。
たとえば歯ブラシを使えば、毛先が割れ、思ったように運筆できません。
だからこそ、「どうすれば筆のように書けるか」を考えながら、創意工夫を重ねます。

 



 

登場した道具は実に多彩です。
歯ブラシ・ヘラ・マッサージ器・チョーク・竹・木の枝・コットン・スポンジ・テニスボール…
それぞれが新しい「線」の発見につながり、そこから生まれるのは、筆では得られない新鮮な運筆感覚です。

 


 

書道といえば「お手本をなぞるもの」と思われがちですが、書法道場では、
「書を使って自分を表現する力」そのものを育てることも大切にしています。

 

「なぜ線ではなく“点画”と呼ぶのか」
「なぜ“塗る”ではなく“書く”なのか」
― そんな問いに向き合うことが、未来に繋がる書の力を磨いてくれるのです。

 


 

☆ただいま体験入会も受付中です。
書を学ぶことは、書くだけでなく「考え」「伝える」力を育てることでもあります。
ぜひ一度、その稽古の楽しさを体感してみてください。