書法家 武田双鳳の「そうほう録」

書法家 武田双鳳の「そうほう録」

「書で人生を豊かにする」をテーマに、日々のオモシロさを探求する書法家・武田双鳳の日記

「背筋を伸ばせ」はウソ!? 最近購入した書籍の表紙にー

 

一方で、「背筋を伸ばし…」と高校書道の教科書。

 

「背筋を伸ばし」と、一般向けの書道の書籍にも。

 

「背筋ピン!」と、ヨドバシカメラで購入した正座椅子にも。

 

「背筋は伸ばすな派」よりも、「背筋を伸ばせ派」の方が、多数派のような・・・。

 

ただ、「真理はともに少数派とともにあり」と日本初のノーベル賞・湯川秀樹さん。「多数派の意見が正しいとは限らないよ」と日本国憲法81条。国会=国民の多数派による所て決められた法律を、裁判所=国民の多数派によらない所で無効にすることができます(違憲立法審査権)。

 

 

 

さて、「背筋」については、どうなんでしょう?

 

実際に、背筋をピンと伸ばし、筆で書いてみれば、答えは「書」として現れます。

 

 

「始筆=起筆」。書き始めのことを「始筆」というのですが、始筆は「起筆」とも呼ばれます。まさに、「筆を起こす」こと。絵などの塗るとは根本的に異なる、「書く」という所作がスタートするのです(「書く」には「刻る」を含むがゆえに、筆を起こし、筆尖を紙の奥に差し込むことがスタートライン)。

 

 

 

では、背筋ピンとしたままで、「筆は起きる」ものでしょうか。

 

こちらも、実際にやってみればカラダが納得することであり、コトバによる領域ではないようにも思いますが、背筋をピンとしすぎる骨盤が起きにくくなります。

 

骨盤が起きないと足腰や背中との連動が切れ、手先ばかりで「筆を起こす」という‟無理”が生じます。すぐに、肩首などに余分な力み(過緊張)が生じ、線が凹つき、震えだします。

 

そうなると、脱力をしようとするのですが、今度は、力を抜こうとする力み(過弛緩)が生じ、線が抜けたり、墨色が出なくなります。

 

 

実際にやってみれば、小学校低学年の子供でもカラダで納得するのですが、なぜ、世の多数は「背筋を伸ばす派」なのでしょう?

 

 

 

もちろん、時には背筋を伸ばす必要があるのかもしれませんが、「背筋を伸ばせ」という昭和的?な指導は、令和にもこびり付き、事実として、書道の上達を妨げてしまっています。かといって、「背筋を伸ばすな」と指導してしまうと、余分な緊張が書の妨げとなってしまいますが。

 

 

「書いて肩がコルのはヘタクソな証拠」。

 

そう書の師匠である母の双葉に、何十年も前に教わったことがあります。その言葉が、今更になっても、心に響いてきます。

 

 

「健≒筆」。健康の「健」の旁の「聿」は、「筆」と同義です。筆のような伸びやかで潤いがある状態を、古代人は「すこやか」になぞらえたのでしょうか。

 

 

日本随一の能書家・空海が得意とした筆法は「蹲筆」(「風信帖」の冒頭「風」一画目の起筆を参照)。筆を「S字状」にする技法ですが、そういえば、人間の背骨の自然な形状はどうでしたでしょうか?

 

 

 

 

☆生徒さんに読んで欲しい書籍。

 

 
 

 

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オンライン基礎書法講座をもって、8月の稽古日程は無事に終了ー→8月のお稽古レポート

 

台風上陸で停電のおそれもある鹿児島の方にもご参加いただき、また、全国各地からクイズなどに積極的にチャレンジしてくださり、本当にありがとうございました!

 

 

読み方によっては、意味深なお手紙をいただいたりもしましたが・・・

 

 

 

熱心に書に励んでくださる生徒の皆さんのおかげで、ますます稽古が充実しています。

 

なんといっても、生徒のみなさんの素敵な笑顔!最高の表情に包んでいただいて、大いに感謝!

 

来月も、ぜひ、書を存分に楽しんでいきましょう✨

 

 

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中国の書(唐様の書)にはない、日本の書(和様の書)の魅力に惹かれて、最近、仮名の勉強を本格的に始める生徒さんが増えてきました。

 

初心者の方は、ベーシックな「三大古筆」(高野切・関戸本・元永本古)に触れつつ、随時、アレンジ的な古筆(針切、香紙切など)で遊んでみるといいでしょう。

 

具体的な勉強のコツは、稽古の際にお話ししますが、やはり「論理的」(系統的・時系列的)に仮名古筆を捉えることは必要不可欠です。

 

もちろん、“手習い”は大切で、臨書の回数を稼ぐことも大切です。鉛筆でも筆ペンでも構いせんから、とりあえず、手を動かす習慣を持ちたいもの。

 

一方で、手習いと同じくらい、“目習い”も大切。鑑賞の機会を稼ぎ、様々な仮名古筆の書きぶりを系統的・時系列的に整理分類できれば、必要な技法をナイスタイミングで引き出せるようになっていきます。

 

〇ベーシックな三大古筆 ~標準的な仮名古典

<高野切第一種>

ナチュラル系。直筆(筆を垂直に立てて書く)、中鋒二折法の自然な運筆で、字形も規範的。

 

<関戸本古今集>

ふっくら系。側筆系(筆を傾けて書く)の運筆で線の太細の変化あり。大らかな旋回運動で字形は躍動的。

 

<元永本古今集>

ほっそり系。随所に逆筆(筆を斜めから突き刺す)によるシャープな切り返しがあり、キュッと引き締まった字形で図られた料紙との調和が見事。

 

〇アレンジ三大古筆 ~変化豊かな仮名古典

いろいろありますが、最近取り上げた、寸松庵色紙、曼殊院古今集、本阿弥切をピックアップします。

 

<寸松庵色紙>

ザ・散らし書き。文字単体ではなく行(行の流れや行間、行の構成など)で魅せる。中国書のように「天と地」(垂直・水平)を前提とせず、無重力空間に浮揚するような和(日本的)の書きぶりの規範。

 

 

<曼殊院本古今集>

乙女の書。余分なことはしない、例えば、墨が枯れるまでは墨継ぎをしないシンプルさ。運筆は、筆の先を丁寧に利かせながら、いつまでも繊細さを失わない。

 

<本阿弥切>

ダイナミックな書きぶり。ドンドンドンドコドン♪と打楽器的なリズムで、筆の面(側筆)も巧みに使って線に太細や直曲、潤渇などの変化を出しながら、大らかな旋回運動で情感の豊かさをかもしだす。

 

 

日本名筆選(二玄社)で“目習い”の回数を稼ぐことが、上達への近道なのですが、最近、手に入りにくくなっているとの声が生徒さんから・・・。


二玄社のホームページには「品切れ・重版未定」となっていますが、和の文化を次世代に繋いでいくためにも、ぜひ、再販売していただきたいものです。

 

 

日本名筆選が手に入らない場合は、ひとまず「平安かなの美」を手に入れておきましょう。手に入るならば、「書道技法講座」もおススメです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

コメチキ大好き中二の三男坊。

 

「小腹が空いた」と言われ、おやつ時にちょっと足を運んだコメダ珈琲。シロノワールも、ペロリと平らげます。


 

ぐんぐんと背も伸びて、そろそろ身長183㎝の父を追い抜かしそうです。

 

 

背の高い「書」と言われたら、やはり、初唐代・欧陽詢(557~641)の楷書。


欧陽詢は身長は高くなかったらしいですが、そびえ立つような凛々しい楷書は「楷書の極則」と評され、書体の歴史を終わらせたとまで言われます。

欧陽詢の楷書としては、上記の四碑が有名で、どれも晩年(75才~81才頃)に書かれたもの。



 

七十代の化度寺碑(75才、631年)と九成宮醴泉銘(76才、632年)、八十代の温彦博碑(81才、637年)の皇甫誕碑(81才頃、637年頃)では、若干、書風が異なります。

 

年を重ねてまるくなるーと思いきや、欧陽詢の場合は80代の書きぶりの方が、より、シャープさ増しているような・・・。 


年をとればとるほど、線に粘り強さが出てくる鄧石如の書が思い出されます(ちなみに、褚遂良の場合は、47歳「孟法師碑」より58才「雁塔聖教序」の方がまろやかになります)。

 

 

10年単位で通ってくれている生徒さん達の書を眺めていると、やはり、それぞれに異なる成長変化をとげていっています。

 

年を重ねていくと共に、自分の書がどのようになっていくのか。書は、自分では気づかない自分の内面の変化に、そっと気づかせてくれるものです。


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グツグツの味噌煮込みうどん!

 

夏だからこそ、冷えやすい現代人のカラダ。


涼ばかりを求めてしまいがちですが、あえての熱々、身体が蘇るような感覚です。

 

 

書についても涼を求めたくなるのか、どうも、かなに触れたくなります。


グツグツと煮えたぎるような鄧石如の書なども、積極的に勉強したいものですが…

 


「かな」いえば「高野切」。高野切といえば、「第一種・第二種・第三種」の三人の書き手。

 

 

「情の第一種」、「意の第二種」、「知の第三種」といった具合にキャッチコピーがつけられたりすのですが、そのデザインは、どのように違うのでしょう?

 

「全部おんなじに見える~」というのが通常だとは思いますが、やっぱり、神は細部に宿るもの。

 

ふわりふわりと優雅に筆が開閉する第一種。スパスパッと意志的に書き進める第二種。ひゅんひゅんと軽快なリズムの第三種。

 

どうやったら、自分の“手”にその技法をインストールできるのでしょう?「目習い」から始めつつ、そのコツを、9月の稽古では分かち合っていければなぁーと思います。

 

 

 

ちなみに、平仮名の書き方を変えれば、一挙に書き方を美しくなります。日本語の文章のほとんどは平仮名ですから。

 

平仮名の書き方を変えるもっとも効率のよい方法は、平仮名の源流=かな書法≒高野切に触れることです。

 

『かな(古筆技法)を含む』の書き方と、『かなを含まない』書き方では、次元そのものが違います。


日本語の実用ペン字などを教える人が、すべからく、かな(古筆)を学んでるのは、そういうことなのです。

 

☆おススメの「かな」の書籍!

 

 

 

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