市川猿之助の自殺事件。両親は死に、本人は意識不明から命を取り留めた。なぜ同じ睡眠薬を使ったのに、両親だけが死んで本人は助かったのか?
私は以前、監察医の権威・上野正彦先生に「睡眠薬はどれだけ飲むと危険か?」という質問をしたことがある。その際「飲み過ぎると助かる場合もある」という奇妙な回答を得た。今回の事件で、なるほどなと思ったものだ。それを上野先生の話をもとに解説したい。
報道によると両親の死因は向精神薬中毒と言われているが、なんかピンとこない。一般的に睡眠薬は100錠から200錠も飲めば、眠り続けながら心不全を起こして命を落とす。これが死因の多数を占める。薬の種類にもよるのだが、50錠ほどだと死ぬことはない。
普通に考えると、大量に飲めば即効性があり確実に死んでしまいそうだ。ところが、飲み過ぎると逆効果になってしまうという。
その理由だが、睡眠薬を多く飲むには、そのぶん水も大量に飲まなければならなくなる。そうするとお腹は水腹になり膨れ上がってしまう。そして、意識不明状態で寝ている最中に嘔吐することになる。それはつまり飲んだ睡眠薬が体外に出てしまうということだ。それにより死を免れる結果になる。
猿之助が意識不明の状態で見つかり助かったというのは、そういう状況だったのではないだろうかと推測する。若いから両親より大量に飲めば確実に死ねると思ったのだろうが、真逆の結果を招いてしまったというわけだ。
[編集後記]
辻褄が合うでしょ。