クレーム対応する電話オペレーター |  ライター稼業オフレコトーク

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アイドル記者を皮切りに、心霊関連、医療関連、サプリ関連、
コスメ関連、学校関連、アダルト関連、体験取材など様々な
分野の取材執筆をしてきました。
ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

 何でもかんでもクレームをする嫌な時代になった。本物の絶対悪に対してクレームするならいいが、場違いなクレームをする者も増えているからタチが悪い。自分の言うこと考えることがすべて正しいと思っている者相手の状況も考えずに一方的に自分の正義論を押し付ける者自分勝手な勘違いで関係のない人を責める者。

 電話やネットという顔の見えない伝達手段がこのような歪んだ現象を生んでいる。これは収まるどころか、ますます増大するだろう。

 

 

 生キャラメルで有名な花畑牧場で、以前コールセンターの電話オペレーターをやっていたという女性に出会い、クレームに関する取材を行ったことがある。やはり、いろいろと理不尽なクレームがかかってきたそうだ。なかでも訳が分からないクレームとして印象に残っているのは、東日本大震災が起きた後の電話だったという。

 

 多数の動物が放置され問題になっていた時のことだ。

「おまえんとこの牧場で、被害に遭った牛を引き取って面倒を見てやれよ。よしたけはキャラメルで儲けてるから余裕あるだろ!」

 …ただの思いつきで電話をかけてきた単細胞クレーマーだ。そもそも訴える所が違う。ただ社名に牧場という名前がついてるだけで、お菓子メーカーのお客様相談室に、そんなことを掛けてくること自体イカれてる

 

 

 別の話として、かなり前に大手電機メーカーに勤める電話オペレーターからもクレーム対応で面白いことを聞いた。

 文句を言ってくる相手に対して逆らってはいけないし、後腐れのないように会話を終わらせなければならない。その時に心ならずもマニュアル通りのセリフ「貴重なご意見をありがとうございました」と言うのだが、実際は「うるせえな、この野郎!」という意味が含まれているそうである。

 

 また、相手を喜ばせるセリフとして「ご指摘いただきありがとうございます」というのがある。さらに「上の者に伝えておきます」というのもある。これを言うと、相手は「良いことをしてやったんだ」という気持ちになり、たいていは機嫌が良くなるそうである。

 本当に役に立つ内容で、紳士的な指摘をしてくれたのなら心から感謝しているのだが、理不尽なことばかりを言う悪質クレーマーに対しては、「ばーか!」という意味が含まれているそうである。まぁ、そうでもしなければクレーム処理係なんてやってられないだろう

 クレーム電話をした際、「貴重な御意見~」とか「ご指摘いただき~」と言われても有頂天にならないようにしよう。心の声は別物で、鼻で笑われてるかもしれないから

 

 

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 は口下手&説明下手なので、電話での応対は大の苦手としている。ましてやクレーム対応なんて絶対できない。自分が関わっていないことで、知らない奴からいきなり文句を言われると頭にくる。いくら組織の一員だからといっても、自分がミスしたわけでもないのに、一方的に責められて謝罪させられるというのは納得いかないからだ

 

 こう思うのはだけではないはず。電話オペレーターという職種の中でもクレーム対応はやりたくない人が多いと聞く。だが、中には平然とやれている人もいる。先に紹介した女性もその一人。私は彼女にこんな質問をした。

「自分が悪くないのに謝らなければならないなんて悔しくないのか?」と

 彼女は「私が悪いわけじゃないから、口で謝るくらい何とも思わない。そもそも自分のことじゃないし、心底謝ってないから気にならないそれで相手が満足すれば、心の中でベロ出してるし」と笑いながら答えていた。

 確かにこういう考え方の人ならクレーム対応もできるというだ。分かっていてもにはできない…。

 お客の中には、オペレーターが電話に出た途端いきなり怒鳴ってくる客もいるという。バカじゃないのかと思う。いくら応対に出た者が組織の一員だからといって、その人を罵倒してどうなるだ。ただの八つ当たりと変わらない。

 には冷静な客もいて、その人はクレーム内容を告げたあとで「あなたに怒っても仕方ない。だからこのことを会社の上層部に必ず伝えて欲しい」と紳士的に言ったそうだ。

 これが正しいクレームのあり方だと思う。見も知らぬ一個人に対して怒りを発散したいだけのクレームなのか、会社の経営陣に確実に伝えたいクレームなのか、そこをしっかり考えて意見すべきなのである。

 クレーム電話は文句を言うだけでなく、二度とミスを起こさないように注意喚起する内容でなければならない。そうすることで物事は円滑に進む。これはクレームに限ったことではない

 

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 クレームには、店のためになる忠告とただの言いがかりの2種類ある。後者の場合はただのクレーマーだが…。

 

 彼女は、他の菓子メーカーでもお客様相談をやっていたことがあり、そこでも頭の悪いクレーマーが多くて困ったと言っていた。

例1:「みんなが美味いと言ってたから買ったのに不味かった」…個人の好みで判断されてはかなわない。しかも極少数意見など聞いていられない。

例2:「中身が崩れている」…ケーキだったら問題だが、ポテチとかだったらどの商品も崩れた欠片があるもの。

例3:「袋が空気でパンパン」…膨張をメーカーのせいにするな。

例4:「量が少ない」…これは分からないでもない。量が少ないというより、パッケージを豪華に見せ過ぎるというのはよくあり、開けてみてガッカリさせられる。

例5:ジジィからのしつこい電話。オペレーターはほとんどが女性で、受け身の低姿勢で話を一方的に聞いてくれる。それをいいことに、女性と話をしたい暇なジジィが何度も長い電話をかけてくるのだという。

 

 

[編集後記] 人間は多ければ多いほど狂った奴も多い…。