先日、取引先の事務所で役員と打合せを終えた時のこと。このあと、企画を持ってくる若者がいるので、一緒に立ち会ってくれないかと頼まれた。
やって来た若者は、今風のファッションに身を包んだ原宿系の30前後の男性。言葉遣いは丁寧で礼儀正しい印象。しかし、打合せが始まっても、被っていた帽子を取ろうとしなかった。
時々、帽子に手をやっているので、脱ぎ忘れているわけではなさそうだ。しかし、初対面であり、お願いする立場であり、相手は役職についている年配者だ。いくら何でも失礼ではないかと思った。
そこで、役員がちょっと席を立った時、若者に「帽子を取らないと失礼だよ」と小声で注意をした。しかし、「いや、これはファッションの一部ですから」と言ってきた。たぶんそう言い返すだろうなとは想像がついた。さらに若者は続けた。
「皇室の人たちだって公の場で被ったままじゃないですか。それに対して誰も文句を言いませんよね。それだけファッションの一部として帽子は認められているんですよ」
まさか皇室を例として持ち出してくるとは思わなかった。皇室の場合は国際ルールで決められたドレスコードであり、ディナーでは被ってないだろうが。そんなことも知らないとは…。そもそもファッションとマナーの意味をはき違えているようじゃダメだな…。
[編集後記]
知り合いで20代後半の帽子好きの若者がいるが、彼は神社の鳥居をくぐる際、ちゃんと帽子を取ってお辞儀をしている。これこそが正しい着帽スタイルでしょ。