1982年のアルバム(その17 Abracadabra / Steve Miller Band)
1982年のアルバム・シリーズ
全米最高位 No.3のアルバムということで、次に登場するのは・・・
The Steve Miller Band
'70年代、The Joker、Fly Like An Eagle、Book Of Dreams
3作続けて、ヒット・アルバムをリリース
それぞれからヒット曲も生まれ、日本でも人気急上昇
そんな状況の中、活動休止・・・
1978年の暮れに出た Greatest Hits 1974-78は、上記の3枚からのセレクト
・・・にも関わらず、クリスマス・シーズンが功を奏してか大ベスト・セラーに
なんと同時期にリリースされた Wings Greatestより遥かに大きな売り上げに
Steve Miller Bandの人気ぶりが示されたのでした。
そして、’80年代に突入
1981年夏、4年ぶりとなるアルバム Circle Of Love
そこからの第1弾シングル Heart Like A Wheelがリリース
しかし・・・
シングル Heart~はキャッチーなロック・ナンバーでチャートを上昇
・・・ですが、’70年代の一連のヒット曲に比べたら今一つ・・・(全米No.24)
アルバムは、B面が片面1曲だったり、難解に思われた部分もあったのか・・・
全米No.26、それなりのチャート・アクションではありますが・・・
’70年代のアルバムがロング・セラーを記録したことを思えば・・・
The Steve Miller Bandは、ズッコケてしまった
・・・そんな印象を持ちました。・・・
ただその起死回生か、どうかは知りませんが、1982年春、全く新しくシングル
Abracadabraをリリース
前作の低迷()が嘘のように勢いよくチャートを急上昇
タイトル通り、リスナーは呪文をかけられたのでしょうか・・・(笑)
いや、これが待ち望まれた Steve Miller Bandだったのです。
そして、同名アルバム
Abracadabra
こちらも前作とは比にならない勢いでチャートを急上昇
彼らの健在ぶりを見せつけたのでした。
尚、自分はこの Abracadabra
輸入盤が入荷と同時に購入したのでした。
レコーディングは、1981年、カリフォルニア州、ハリウッド Capitol Studioにて・・・
The Steve Miller Bandメンバーは・・・
Steve Millerヴォーカル、ギター、シンクラヴィア他
Gary Mallaberドラムス、パーカッション🥁、キーボード🎹
Byron Allredキーボード🎹、Gerald Johnsonベース
John Massaroギター、Kenny Lee Lewisギター
前作のメンバーにギタリストが2人加入して6人編成となっています。
レコーディング、エンジニアリングは、David Cole
その他、レコーディングは、Gary Mallaber
エグゼクティブ・プロデューサーは、John Palladino
プロデュースは、Steve Miller、Gary Mallaberです。
アルバム・ジャケット、デザインは、Tommy Steele、Jeff Lancaster
アートワークは、Tommy Steele、写真撮影は、David Alexanderです。
レコードA面1曲目、Gary Mallaberの一撃から激しく刻むドラムス
シンセサイザーが加わり、ややハイトーンでシャウト気味に歌う Steve Miller、
Keeps Me Wondering Whyでスタート、最初からパワフルにノっています。
Gary Mallaber、Kenny Lee Lewisの作品
サビの部分のコーラスは、彼らならでは・・・シンセサイザーも効果的に挿入・・・
オープニングに相応しいナンバーといえるでしょう。
第2弾シングルとしてリリースされた国もあり、全英 No.52、オーストラリア No.84といったヒットとなっています。
2曲目、ドラムスから軽快なシンセサイザー音、リズミカルに歌う Steve
Abracadabra、アルバム・タイトル曲で、Steve Millerの作品
"Abracadabra~"とその通り、呪文のようなコーラス・・・
間奏部のシンセサイザーとギターのかけ合いが不思議なムードを作り出し・・・
Steve自身、シンセサイザー (Rolland Jupiter-8, Rolland Juno-60) を多用
ここでは、Kenny Lee Lewisがベースを弾いています。
前述の通り、先行シングルで、全米 No.1、全米メインストリーム・ロック No,4、全米ダンス・チャート No.14、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.28、ゴールド・ディスク獲得、1982年年間チャート No.9、80年代 No.44、オールタイム・チャート No.90、その他では、カナダ No.1、カナダ AC No.1、プラチナ・ディスク獲得、1982年年間 No.5、オーストラリア No.1、1982年年間 No.13、ニュージーランド No.8、1982年年間 No.50、南アフリカ No.2、1982年年間 No.17、アイルランド No.2、西ドイツ No.2、スイス No.1、オーストリア No.1、スペイン No.1、ポルトガル No.1、デンマーク No.2、ノルウェー No.4、スウェーデン No.1、そして全英No.2、シルバー・ディスク獲得・・・世界中で特大ヒット、The Joker同様、彼らの代表曲になりました。
3曲目、ドラムスを中心にフェイドイン、コーラスとともにSteveの歌
Something Special、軽快なナンバーで、サビの部分がメロディアス・・・
Gary Mallaber、Lonnie Turner、Greg Douglassの作品
その作者のLonnie Turnerがベース、Greg Douglassがギターで参加
キーボード音🎹も軽快に、最後はリフレインでフェイドアウトしていきます。
4曲目、Steveの歌をメインとした、アカペラで始まるのは・・・
Give It Up、Steve Millerの作品、曲は一転してアップ・テンポのレゲエ風に
キーボード音🎹が軽快に響き、最後はコーラスのかけ合いで盛り上げていきます。
尚、前作からのシングル Heart Like A Wheelを思わせるところもありますが、
あまりヒットしなっかたので、仕切り直し・・・そんなことはないでしょう。(笑)
最初、Abracadabraとのカップリングでリリースされましたが、改めて第3弾シングルとしてもリリース、全米 No.60となっています。
5曲目、ドラムスとギターのカッティングで力強く、そこへコーラス
Never Say No、ビートが刻まれ、合わせて力強く歌う Steve
Gary Mallaber、John Massaro、Kenny Lee Lewisの作品
オルガン🎹が効果的に挿入、最後はリフレインでフェイドアウトしていきます。・・・
B面1曲目、ドラムスから、タイトなギター、力強く始まる・・・
Things I Told You、パワフルに歌う Steve、シンセサイザーも効果的
Gary Mallaber、John Massaroの作品、ノリのいいロック・ナンバーです。
2曲目、シンセサイザー音がフェイドイン、ドラムスがビートを刻み・・・
Young Girl's Heart、優しくメロウに歌う Steve、一転、ハードに・・・
Gary Mallaber、John Massaroの作品、エフェクター等も駆使していて・・・
どことなく、ELOを思わせるとこともあります。
3曲目、いきなりブルー・グラス風のイントロから軽快に歌う Steve
Goodbye Love、Gary Mallaber、Lonnie Turner、Greg Douglassの作品
ここでも作者のLonnie Turnerがベース、Greg Douglassがギター
心地よいコーラスも、歌を盛り上げ、ハーモニカ音も少し入ります。
4曲目、枯れたギターの音のカッティングから、パワフルなロックに・・・
Cool Magic、Gary Mallaber、Kenny Lee Lewisの作品
タイトなリズムに合わせて、力強く歌う Steve、ギターが効果的
サビの部分が転調でポップに、歌のリフレインでフェイドアウトしていきます。
アルバムから、第2弾シングルで、全米 No.57となっています。
5曲目、ドラムス一撃に続いて、ギターのピッキング、そしてコーラス・・・
While I'm Waiting、Gary Mallaber、John Massaroの作品
優しく歌う Steve、コーラスも入り、心地よいムードにも・・・
アコースティック・ギターも少し入り、最後はギター、コーラスのかけ合い・・・
ロック色の強い本作は、メロディアスなナンバーで幕を閉じます。・・・
ここに登場した通り、全米アルバム・チャート最高位 No.3
全米R&Bアルバム・チャート No.40、プラチナ・ディスク獲得
1982年年間アルバム・チャート No.77、西ドイツ No.1、1982年年間 No.27
その他では、カナダ No.4、プラチナ・ディスク獲得、オーストラリア No.5、プラチナ・ディスク獲得、ニュージーランド No.47、オランダ No.11、ノルウェー No.10、スウェーデン No.3、オーストリア No.8、そして、全英 No.10、シルバー・ディスク獲得・・・世界各国で好セールス
世界中に、"Abracadabra"が浸透したのでした。
さて、Abracadabraに話題は集中しますが・・・
本作で、注目すべきは、ドラマー Gary Mallaberの存在でしょう。
収録曲中8曲に作者として名を連ね、Steve Millerと共同プロデュース
そして何よりドラムスで始まる曲がほとんど・・・
結果として、これまで以上にパワフルなサウンドになっています。
また時に、Beatlesを思わせるところもあるように思います。
(尤も、Steve Millerは、Paul McCartneyとは親しいですが・・・)
そのような理由でも、個人的には、Fly Like An Eagle、Book Of Dreams
この2作より気に入っているのですが・・・以前のファンからは賛否両論・・・
それを示すかのように、本作は、全米No.3で、プラチナ・ディスク
それでも、トータル・セールスとしては、この2作に遠く及ばないようです。
ところで、余談ですが・・・
当時、カセット・テープにも入れて、ウォークマンで聴いていたのですが・・・
その自分のウォークマンを聴いた友人が、Keeps Me Wondering Why
これを気に入ってしまい「「カセット・テープに録音してきてほしい」と・・・
そんなこともあって、Olivia Newton-John、Sheena Eastonのアルバム
それと同時期にAbracadabraも・・・
(良くないことですが・・・)カセット・テープに録音してきてあげました。
因みに自分から聞いた以外Steve Miller Bandについて全く知らない人(苦笑)
これも Steve Miller Bandの呪文から、なのかもしれません。(笑)
Abracadabraが、The Jokerと並ぶ大ヒットとなった The Steve Miller Band
・・・但し、これ以降は大きなヒット、ヒット・チャートにおける快進撃
そういったことからは、遠ざかってしまうことに・・・
"Abracadabra"の神通力が消えた・・・からではないでしょう。(苦笑)